表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おわコン!~お笑い芸人は異世界で最高のコンビ!~  作者: 印朱 凜
第2章 魔女の卓球部員
33/116

異世界デビュー3


 異世界の人達と打ち解けて、握手しまくるダケヤマに対し、早くも男性ファンが着いて、サインまで求められるカヤタニであった。

 揉みくちゃにされて嬉しそうな二人に、置いてけぼりにされたダフニーが少しふくれっ面で近寄ってゆく。荒くれ者達に押し潰されそうになる前に、小さな功労者はカヤタニに救われた。

 

「ダフニーちゃん、ありがとう。お姉ちゃん達、ずいぶん助かったわ」


「そう? よかった……」


 カヤタニに頭を撫でられていたダフニーは、次にダケヤマの両足にしがみついた。


「うわ!? コアラ?」


「お兄ちゃん、本当に楽しかったよ。大好き~」


 ピッタリとくっ付いて離れようとしないダフニーを見て、カヤタニはふふん、と笑った。


「良かったやん、ダケヤマ。やっと女性ファンができたな」


「いや、女性ファンは前からいてますけど……」


「ほんまかぁ~? 私はスカンピンの人気が今ひとつなのは、お前がキモイからやと思ってるけど」


「そ、そんな失敬な! お兄さんカッコいいよな? ダフニーちゃん?!」


「うん、カッコよくて全部大好き!」


 ダフニーは輝きを取り戻した笑顔で背中に回り、家猫のようにいつまでもスリスリするのだ。


 その時、集まっていた人々に動揺の波が広がった。群衆が見事なまで二手に割れて、お笑い芸人までの無人地帯が栄光の道のようにできあがったのだ。


「何や何や? 俺達しょっぴかれるんやろか? 確かに無許可営業やったけど」


「何言うとるねん! 営業なんかしてへんわ」


 青ざめたコンビが目を凝らし、割れた観客の先の先へと焦点を合わせると、会った事のある美女が独りで佇んでいた。ダケヤマは思わずダフニーを、子供達の集団へと逃がす。


「おい、あの人は……」


「ああ、確か城にいた騎士の内の一人で、え〜っと名前は……」


「ダイナゴン……さん?」


 円卓の七騎士に名を連ねるダイナゴンは、護衛も付けずに颯爽とした姿で微笑みかけてきた。昨日のような鎧に身を包んだ正装ではなく、よそ行きのゆったりとしたドレスを着ており、花びらをモチーフにしたような可愛らしいデザインであった。ついつい豊かな胸元に目を奪われがちだが、腰に吊った長剣が只者ではないオーラを放ち、見る者をやけに緊張させる。


「わわ、こっちに来てもらえるようでっせ」


「あほう。余計な事を口に出して怒らせんようにな。私ら別に、何も悪い事してへんし」

 


 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ