表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おわコン!~お笑い芸人は異世界で最高のコンビ!~  作者: 印朱 凜
第5章 倦怠期フライドチキン
107/116

お笑い芸人ダケヤマ2


 ダケヤマは1ミリも動揺せず、白いスーツ姿の悪魔の前で変なポーズをした。こんな事は前座において慣れっこで、当然の反応なのである。

 ヤマナンは青白く気品に満ちた顔を崩さず、やけに生々しい口元をCGのように動かしながら言った。


「…………運送屋? ――運送屋とは、旅客や貨物の輸送に携る運輸業を営む者の事を言っているのか? それに答えて『うん、そうや』とは……肯定の意味? だが少し日本の西域における言葉の訛り……つまり方言が含まれているように思う……」


「うん、そうや! トム・ソーヤ!」


「トム・ソーヤだと? 確か私の記憶によれば、アメリカの作家・マーク・トウェインが1876年に書いた小説『トム・ソーヤーの冒険』の主人公の名だったはず……。韻を踏んでいるのか? いや、これは連想ゲーム?」


 ダケヤマと白い悪魔のやり取りを見て、アスカロンは拳を握り締めた。


「やった! 思ったよりヤマナンが食い付いているぞ。今のうちにティケを捜すんだ」


 ヴァンパイア忍者カゲマルは静かに頷くと、さっそく大量にあるカプセルの中に眠るヘカテのクローン人間を、猛スピードで一体ずつ確認し始めた。

 一方……ダケヤマの登場に調子を崩したネクロマンサー・ヘカテは、虫ケラを追い払うような仕草でローブ下に隠す形のよい胸を揺らせた。


「ヤマナン様、かような道化の言葉に、耳を傾ける必要はありませぬ!」


「トム・ソーヤ! 寒そうや!」


「ええい! 貴様は黙れ!」


 固唾を呑んで見守っていたアビシャグも、ネクロマンサー・ヘカテのただならぬ様子の変化に思わず唸るのだ。


「う~ん……す、すごいよ、ダケヤマさん。氷山のごとく冷酷かつ冷徹で名高いヘカテを、ここまで動揺させるとは……。やっぱり、彼は本物……!」


 円卓の騎士・アスカロンとのべ太、そして穴金(アナキン)までもが、ダケヤマの一歩も引かない華麗な戦いに見入ってしまった。


「おおう! あなたはヘカテ様! ご無沙汰してます~、相変わらずのべっぴんさんやな~。スタイル抜群やん!」


「黙れと言うのが分からんのか!」


「女の子のアンタには分からんやろうけど、最近なあ~……金玉が痒くて痒くて仕方ないねん!」


「……くっ……!」


「そんでな、蒸れるのを防ぐため、チン毛にライターで火ィ着けて燃やしたんや……。そしたらなぁ~、アロマの香りに包まれたのはええんやけど、畳に引火してエラい事になったんやで。部屋が火事になってしもうたんや!」


「………………っ」


「ほんで、駆け付けてきた消防隊員に変なあだ名を付けられました。……陰毛放火魔やって! これでやっと俺も、悪魔の一員なんやろか? 知らんけど」


 命懸けのコントにダケヤマは、おかしなテンションになってしまったのだろうか。

 あろう事か、ネクロマンサー・ヘカテのふくよかな胸に手を伸ばすと……谷間をなす、スベスベで綺麗すぎる柔肌を指先で突っついた。

 

 ――セクハラしてしまった!






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ