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おわコン!~お笑い芸人は異世界で最高のコンビ!~  作者: 印朱 凜
第5章 倦怠期フライドチキン
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お笑い芸人ダケヤマ


「おい、あんた、本気で言うとるんか? アスカロン……」


「もちろん、俺は真面目に頼んでるよ」


「マジか……」


「上級の悪魔相手に、剣技や魔法攻撃は全く通用しない。歯が立たないのは当たり前だ。奴はゲームマスターであり、この世界……ディアブルーンの創造主なんだから」


「それは分かるが……だからって何で俺やねん?」


「……条理を超えて破るんだ、ダケヤマ殿! ヤマナンもヘカテも人間を全て理解したつもりで、高を括っている。だが……俺達は、そんな単純なモンじゃないだろう?」


「おうッ! せやな」


「人の潜在意識に眠っている無限の小宇宙。つまり根底に流れる……大河のような果てしない先、いや底なしの奥深さを、今こそ見せつけてやるんだ!」


「よぉ~分からんが……偉そうな奴らに俺の……ハイレベルなお笑いを披露すればええんやろ?」


「そうだ、君の全てをぶつけてこい!」


「うおおぉ! やったるで! 見とれよ、お前ら!」


 さすがに回復(ヒーリング)魔法中のアビシャグが心配して、ぼんやり蒼く光る手を止めた。


「ちょっと、アスカロン! 一体何をやらせようとしているの? ダケヤマさんに無茶させないで!」


「彼の力を信じてみよう。『混ぜるな危険』作戦はきっと成功する。……見てみなよ」


 ダケヤマは勇んで立ち上がると深呼吸した。大きな舞台の前では、いつもこうしている。緊張感や、ぎこちなさは微塵も感じられず、堂々としていた。数々の前座舞台をこなしてきたダケヤマは、出番が回ってくれば、恐ろしいまでの集中力と巌のような落ち着きが巡ってくるのだ。


「ダケヤマさん……あなた……」


「心配すんなって、あっちゃん! すぐ戻ってくるさかい」


「…………カッコいいけど、ここで死ぬかもしれないって事を、本当に理解しているの……?」


 ここに来て、お笑いコンビ『スカンピン』唯一無二の相方、カヤタニは隣にいない。


「よっしゃああああああっ! 今日はカヤタニの分までハジけんといかんなぁ!」

 



 ……壊れた電灯が瞬く度にヤマナンとヘカテの顔に影が差し、暗闇に赤く光る4つの瞳が、妖しげに浮かび上がる。

 ついに白き悪魔が、待ちくたびれたように口を開く。


「……何だ? 皆で葬式の相談なのか……」


 すかさずネクロマンサー・ヘカテも続けた。


「さあ! ゾンビになりたいのか、それともスケルトンか? 10秒以内に今すぐ答えろ!」


 そんな中、根拠のない自信に彩られたダケヤマは、満面の笑みで人外の前にしゃしゃり出てきた。


「そんなぁ〜ご冗談を~旦那~! ハイハイは~い! どうも~、スカンピンのダケヤマです~! 残念ながら、相方のカヤタニは便秘で入院中なので、今日は俺一人でっっっす!」


「…………誰だ、お前は?」


「だ・か・ら~、お笑い芸人のダケヤマで~す! さて、一発ギャグからいこうかな?」


 ヤマナンと違い、ヘカテには多少なりとも面識があった。『また、こいつか!』といった表情になる。


「マシンガン・ギャグ炸裂! ……君ィ……ひょっとして!? 運送屋? うん、そうや!」


「……………………………………!」


「………………………………………………?」


 いきなり思いっきしスベった。








 





 



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