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第四話:冒険者ギルドと初依頼

2020/06/11:タイトル変更しました。

 今、俺たちは街にいる。テントを張るとかそういうこともなかった。

 なぜなら、よくよく考えるとミルハだって一応マッハウルフだ。人型でも音速で走れるだろう。

 その後、俺たちはレベルを3まで上げてアイテムボックスを取得、即座にスキルレベルを2に上げ、素材をしまったら、全力疾走。レベリングも合わせて大体1時間程度だった。


「こんなことに気づかないとは、まだ頭脳ステータスが低いのかな?」


 俺はミルハにも気づかれないくらいの小声で呟いた。


「早く冒険者ギルドに行こうよ!」


 ミルハは袖を引っ張りながらこう俺に催促する。

 

「わかってるから叫ばないでくれ…獣人美少女をいじめる年上のお兄さんのように周りから見られかねん。」


 この世界には都合よく、獣人という種族がある。獣人は筋力のステータスの平均が他に比べて高く、知能の平均が低いらしい。要する脳k…なんでもない。

 なのでミルハは頭のいい獣人ということにしておくことにした。


「美少女ッ?!」


 幻覚かな?一瞬だけミルハの顔が赤くなった。


「世間一般的にミルハは美少女だろ。」


 恋愛なぞしたこともなかったこの時の俺は、女心というものを全く理解していなかった。

 だから、なぜミルハが赤くなったのかわからなかった。


「まあそれはさておき、早く行くわよ」


「お、おう。」


 急にミルハが落ち着いたことにびっくりしつつ、俺は答えた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ようこそ!冒険者ギルドへ!登録ですか?」


 受付嬢が元気よくこう聞いてきた。少し驚いたが、普通に受け答える。


「はい、そうです。あとこの子も。」


「獣人の方ですか!わかりました!」


 この世界には人型のヒューマン以外に対する差別などはなく、実際街にはエルフも獣人もいた。


「それでは冒険者ギルドについての軽い説明をいたしますね!」


「よろしくお願いします。」


「まず、冒険者には冒険者ランクというものがあり、これでだいたいの強さを知ることができます!冒険者ランクはSSからFまでの8種類があり、初めは全員Fからのスタートです!」


 なるほど。


「そして、依頼はその人の冒険者ランクに合ったものを選んでいただきます!具体的にはその人の冒険者ランク+1までを許可しており、それができればその冒険者ランクでは一流とみなされ、ランクアップできます!また、冒険者ギルドにはクランという制度があり、こちらは冒険者ランク関係なく、自由に組むことができます!」


 仲間が増えてからのものか。まあいつか役立つだろう。


「クランには冒険者ランクとは別に、クランレベルというものがあり、こちらのランクの初期値はクランメンバー全員の冒険者ランクの平均となり、クランで受ける依頼はクランレベル+2までを許可しています!また、冒険者ランクとは違い、クランレベル+2のクエストを5回クリアできれば、一流とみなされ、クランレベル、およびそのクランに所属するメンバー全ての冒険者ランクとクランレベルが一つ上がります!ここから、冒険者ランクとクランレベルはあまり関係なくなってきます!」


 そう言うことなんだな。


「さらに、クランよりも小さい単位として、パーティがあります!クランの人数が五人以下の場合のみパーティとして扱われます!」


「クランとは何が違うのですか?」


「パーティには、クランレベルはないんです。そのかわり、クランよりも個々の冒険者ランクが上がりやすくなっています。具体的には個人での冒険者ランクと上がり方が同じです!」


 今のうちはミルハとパーティってとこだな。


「なるほど。よくわかりました。」


「では、冒険者カード作成のためにステータスとスキルを計測しますね!お二人はこの水晶に手を置いてください!あとは自動で更新されるので、計測はこれっきりです!裏は身分証としても使えるので、身分証明が必要な街にも入れますよ!」


 この時のためにステータスは頭脳は英才教育を残して平均の倍、運は平均より高めに偽装し、スキルは中級以上の魔法や破壊術式、復元術式や神の加護などステータス強化系スキル、アイテムボックスは消した上で、全てのスキルレベルを下げておいた。これによっておれはThe 平均の座を手に入れられる。


 だが、ここで事件が起こった。


「ソラトさん…あなたジメン家の方なんですか?」


 受付嬢は俺のファミリーネームと二刀流スキル、英才教育スキルを見てこういった。


「ええ、そうですが?」


「まさか…ご自分の両親が何者かご存知ない?」


「まあ…はい。」


 ちょっと話が長かったので要約すると、父さんはユニークスキル、二刀流と高い筋力で最前線で戦っていたギルドでも伝説となっていた剣士だったらしい。剛腕は隠さなくてもよかったな。

 一方母さんは高い頭脳ステータスで父さんの作ったクランの戦況分析の天才らしい。

 そして、この2人は恋に落ち、お互い30歳にしてクランは解散、結婚して森で平和に暮らしている、と言う噂だったらしい。二刀流も英才教育も教えて貰えば習得できると思ってたんだけど、才能もあるらしい。

 あ、ジョセフ兄さんは商人になったからスキルについて気づかれてなかったのか。

 とはいえ、このままだと獣人美少女のミルハを連れているだけでも目立つのに、もっと目立っては困る。


「すみません。くれぐれもこのことは冒険者のみなさんの誰にも教えないでください。目立つと仕事がしにくくなるので。普段は片手剣を使います。」


 俺は受付嬢にこう伝える。


「わかりました。ですが、剣はどうするのですか?あなたの実力だとなまくらは一振りでへし折れてしまう可能性があります。」


「大丈夫です。父からもらった剣があるので。」


 そう言って背中から黒鉛色で山のような重厚感のある剣を一本引き抜いた。

 それを見て受付嬢はまたもや驚く。


「これはっ…!“グラファイトメタル・マウンテン”!」


 見た目通りの名前だな。


「この剣、お父様からもらったと言うのは本当ですね!これは“グラファイトメタル・マウンテン”と言う剣で、お父様が二刀流剣術で右手に持っていた剣なんですよ!なんでも依頼ランクBのダンジョンのボスからまれにドロップするんだとか…まあ要するにこれはお父様のお古ということになりますが、持ち手の形があなたに合うようになっていたり、刃が研いであったりと、あなた用に改造されていますね!」


 そんなことがされてたのか。鑑定スキルも取得しておくべきかな。


「もう片方は“アザレアピンク・オーシャン”という剣で、名前の通り綺麗なツツジ色をした透き通った剣です。もしかして、持っていたり…?」


「はい。持ってますけど、重くて持てなかったのでこのアイテムポーチに。」


 というとは真っ赤な嘘で、これはただのポーチ。本当はアイテムボックスに入れた。だが重かったのは事実。

 というかあれそんな色だったのか。鞘の上からだと色が確認できなかった。


「アイテムポーチはお母様からもらったのですか?」


 貰い物ですらないけどそういうことにしとこう。


「はい。」


「それではミルハさんもどうぞ。」


「これは…マッハウルフ並みの敏捷と頭脳ですね。服もマッハウルフの毛皮を使用しているみたいですし…」


 まずい!ミルハが可愛いだけでなく強くなってしまっては俺がもっと目立つ!


「あ、これ、お父さんの形見なんだ。少し前に病気で…」


 ミルハ、ナイス嘘!ミルハはマッハウルフに育てられたってことにしよう!

 ミルハがこちらを向いてウインクしている。


「そうなんですか?」


「ああ。家の近くの森に倒れていました。15年前に領地内でエルフとの戦争があったじゃないですか。そこで親が決死の思いで逃がしたところをマッハウルフに拾われたのでしょう。」


 戦争があったのは事実だ。

 どうやらエルフと獣人はちょっとした領地争いから発展して大喧嘩になった結果、500年ずっと犬猿の仲なのだとか。


「なるほど、マッハウルフが鍛えたのですか。」


「言葉もソラトから教わったんだ。」


「まあ元々獣人はステータスが高いのでマッハウルフのトレーニングについていけたのでしょう。」


 そういうことになった。


「それではこちらが冒険者カードです!なくしても再発行できますが、手数料として銀貨一枚が必要になるので、出来る限り無くさないでくださいね!」


 この世界の通貨は金属製だ。銀貨は大体千円くらい。

 種類は銅貨、大銅貨、銀貨、金貨、白金貨の5種類。

銅貨一枚が大体十円で、銅貨十枚で大銅貨一枚、大銅貨十枚で銀貨一枚、銀貨十枚で金貨一枚、金貨百枚で白金貨一枚だ。つまり、白金貨は大体百万円だ。


「結構なお値段がするね…二人ともなくしたら四日分の宿代が吹っ飛ぶね…」


「気を付けます。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 今俺たちは宿屋にいる。


「一泊かい?」


 女将がいう。


「はい。部屋は一緒で。」


「二人で一部屋に泊まるとベッドが狭いけどいいのかい?」


 それだと熟睡できないな…仕事に触ると困る。


「じゃあ別々で…」


「まいど!一泊食事付き二部屋で大銅貨五枚だよ!」


 なんか上手いこと丸め込まれた気がする…

 まあいっか。出発の時金貨十枚くらいもらったから金には困ってねえし。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「おっはようミルハ君!この朝食を食べ終わったら早速依頼を受けに行こうじゃないか!」


「なんかやけにテンションが高いね。」


「当たり前だろ!俺たちの最初の仕事だからな!」


 そうこうしてるうちに完食。俺たちは早速冒険者ギルドへ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「おはようございます!ソラトさん!依頼ですか?」


「はい。いい依頼あります?」


「そうですね…もう早速ランクアップのための依頼を受けてもいいのではないかと思います!」


「流石にそれは早すぎませんかね?」


「そんなことはないですよ!うちのギルドではEランクの依頼はよほど弱くない限り簡単にクリアできますよ!むしろFランクというのはまだ仮登録みたいなものなんですよ!また、依頼の難易度はBランクの依頼から急に上がりますので、冒険者は大半の方ががCランクですね!」


 Bランクになると目立ってくるってとこなのか。

 生活費も稼ぎたいし、できるだけランク上げていこうかな。

 まあBランクになるまではひっそりと仕事しよう。


「分かりました。じゃあEランクの依頼ください。」


「では、これなんてどうでしょう?」


 受付嬢が出したのは、ざっくりいえば害獣駆除。報酬は大銅貨二枚。

 ただ、その害獣が、魔物なのだ。

 まあ、ミルハもマッハウルフという立派な魔物だけど。

 魔物の中にも、益獣と害獣がいる。益獣は人に害がない、もしくは役に立つ魔物のことで、害獣は人に害がある魔物のことだ。

 魔物は、冒険者のようにランク分けされており、基準は同ランクの冒険者が頑張って倒せるくらいだ。

 ちなみにミルハはAランクらしい。こう聞くと俺って異常だな。


「Fランクの害獣駆除ね。お安い御用だよ!」


 ミルハが力強く応える。

 何個かの依頼をさっさと終わらせて今日の宿代は稼ごう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 俺たちは依頼主の家である料亭“狐の丘”についた


「こんにちは。害獣駆除の依頼を受けてきたソラトです。」


「ありがとねぇ。ここ最近畑を荒らされて困ってんのよ。」


 この料亭は使う野菜は庭の畑で育てているらしい。


「何体くらい駆除すればいいんですかね?」


「うちには1日三体くらいのガイアラットが来るから、三体くらい倒してくれればいいよ。それ以上倒してもうちは報酬は出せないからね。素材はあげるからそれを商業ギルドに売って金にするなりドワーフの鍛冶屋に持っていって防具にするなりしな。」


 おお、結構いい人だ。普通素材は依頼主のものになるのだ。ありがたくいただこう。

 ちなみにガイアラットとは、背中が地面のように硬いネズミだ。その背中は、武器をぶつけるなりしないと砕くことは難しい。

 だから、ひっくり返して中身を殺すことが多い。


「ありがとうございます。では遠慮なく駆除させていただきますね。」


「でも、畑はあまり傷つけないようにね。」


「わかっていますよ。」


 さあ、仕事開始だ。


「おい、ミルハ、聞いてたか?畑は傷付けんなよ。」


「うん。所詮Fランク、一瞬で終わらせてやるわ!」


「背中の岩みたいなのはあんまり傷付けんなよ。加工しにくくなってお前の装備が作れないから。」


「うん。気をつける。」


 なんて話していると、


「お、来たな。」


 ガイアラットが三匹きた。厄介だな…

 一度にあの岩みたいなので体当たりされると流石のミルハでも怪我は負うだろう。


「おいミルハ、焦らずに一匹ずつ倒すんだぞ」


「セイっ!」


 という俺の言葉はおそらく聞こえてないだろう。地面に手を叩きつけた衝撃で三匹一気にひっくり返し、潰してまわった。

 そうするとガイアラットどもは殻だけ残して中身は霧のように消えていった。


「おつかれー。まさか一気に倒すとはな。どこでそんなの覚えたんだよ。」


「お父さん直伝のガイアラット狩猟法だよ!食べないから潰してまわるのは疲れるけど。」


 マッハウルフって魔物食うんかい!まあ普通の狼も同じ動物食べるけどさ。


「これでいいですかね?」


「まさかこんな速いとはねえ…驚きだよ。」


 確かに冒険者の中でも結構速い方だろう。約五秒。


「私マッハウルフに拾われたの。訓練の結果だね。」


「拾い主直伝らしいですよ。一応焼いて食べてたとか。」


 きっと生だっただろうけど。


「あら、お嬢さん結構過酷な生活だったのね。」


「そうなの。だから宿屋のご飯美味しくってびっくりしちゃった。」


 昨日の晩飯はあれは俺から見ても結構うまかったな。


「あ、そうだ!ちょっと待っててね!」


 そうミルハに言って家に入った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 しばらくして、依頼主さんはお椀を持ってきた。

「お嬢さん、これ食べてもいいわよ!うちの特性野菜シチュー!料亭の人気メニューさ!冷めてるけど美味しいよ!」


「わあ!美味しそう!いただきます!」


 鑑定して作り方真似できるかな。


「鑑定ッ!」


 俺はこっそり言った。

 残念ながら作り方はわからなかったが、野菜の旨みが溶け込んでいるらしい。ますます美味しそうだ。


「美味しいかい?」


「うん!美味しいよ!」


「それはよかった!」


「なんかありがとうございます。」


 そう依頼主さんに言う。


「いいんだよ。私が好きでやったことだから。」


 なんかミルハだけズルくね?

 いつか食いに行こうかな。


「またいつか客として来させてもらいますね。」


「うん!うちは開店時間内であれば大歓迎だよ!」


「それでは失礼しますね。」


「はい!お疲れさん!」


 そう言って俺たちは“狐の丘”を後にした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ソラト・ジメン AGE:14

種族:ヒューマン


Lv.5


ジョブ:剣士


体力:97

筋力:165

頭脳:72

頑丈:29

技術:73

魔力:147

敏捷:194

運:165

回避:20

MP:72941600


ー装備ー

グラファイトメタル・マウンテン

皮の鎧


ースキル(修業、もしくは才能による獲得)ー

柔道:レベル5

拳術:レベル10(MAX)

剣術(片手):レベル5

大剣術:レベル3

二刀剣術:レベル1

弓術:レベル4

神の加護:レベル1

生活魔法:レベル1(MAX)

初級魔法:レベル1(MAX)

中級魔法:レベル5(MAX)

上級魔法:レベル10(MAX)

英才教育:レベル1(MAX)

鑑定:レベル1(MAX)

破壊術式:レベル1(MAX)

復元術式:レベル1(MAX)

ザ・ワールド・フォー・ミー(オリジナルスキル。時を止められる、および止まったときの中で動けるようになる:レベル1(MAX)

神速:レベル1

剛腕:レベル1

身体強化術:レベル1

偽装術:レベル1(MAX)


ースキル(SPによる獲得)ー   残りSP:25

アイテムボックス:レベル2(容量:20km四方)


ーアイテムボックス内ー

アザレアピンク・オーシャン

長くなってしまった…

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