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第三話:ミルハ

 俺は明後日15歳になる。そう、独り立ちするのだ。今から俺は独り立ちする最終試験として近くの森最速の獣、マッハウルフの毛を少しいただいてこなければならない。だが、すでに俺の最高速は光を超えていると思う。なぜわかるかって?一回最高速でトレーニングしてたら、周りが動いてなかったからだ。

 そうして俺は父母とまだ独り立ちしていない弟のカーメル、妹のオーベルに見送られながら森に入った。


「父上…言いづらいな。親父から毛の見本預かってるんだけどこの毛見たことあるな…」


 と呟いていると、今まで森で最強だったけどトレーニングの過程で気絶させたら翌日から従順になったのでペットにしたオオカミのフールが飛びついてきた。

 そして、よく見ると、親父から借りた毛とフールの毛並みがそっくりだった。


「お前、もしかしてマッハウルフなのか?」


 俺が聞くとフールはうなずいた。


「そうだったのか…すまないが、独り立ちの試練としてお前の毛が必要なんだ。分けてくれるか?」


 そういうとフールは首を横に振った。


「どうしてなんだ?」


 俺は聞く


「私を1人にして欲しくないんだ。」


「へーそうなんだ…って、お前喋れたんかい!!」


「私とて一応高ランクの魔物だぞ。会話くらい簡単にできるわ。」


 そうだったのか…


「初めから喋ってくれれば意思疎通も簡単だろうに…」


「お前が猫のように扱うから喋ると驚くだろうと思っていたのだ。」


「そうなのか。まあ実際驚いた。」


「反応が軽いな…さて、本題に戻りたい。連れて行ってはくれぬか?」


 そういうことだったか。


「うーん、ちょっとびっくりすると思うけど、できなくはない。」


「本当か!」


 フールは目を輝かせる。


「ああ。お前には人型になってもらう。」


「え??」


「まあ驚くよな…前に俺山菜採りに来てたじゃん?その時に薬用効果がありそうなものを拾って隠し持ってて、それを全部混ぜて薬にして草にかけたら人型になって動き出したんだ。ただ、火をつけたら燃えた。」


「?????????」


 フールの頭にハテナが渦巻く。


「それで俺は推理したんだ。これは飲んだ生物を正室そのまま人型にするものだと。つまり野獣にかけると凶暴な人になる。そして今意思疎通ができるとわかったのでケモミミ青年になってもらおうというわけさ。」


「それについて1ついいか?」


「なに?」


「実はな…私はメスなのだよ。」


「まじか…それは想定してなかった。ついオスだと…」


「ごめんね」


「一瞬なのに口調まで作ってたってわけね。じゃあ君の毛少しと5分くれ。」


「毛皮ならたくさんあるよ」


 そういうとフールはふわふわの毛皮の中から昔の毛がたくさんでた。


「凄い量だな…じゃあ5分後に」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 俺はナイフでもらった毛皮を少し切り取って鞄に入れてから風魔法の風刃(空気を圧縮して飛ばすことで対象を切断する初級魔法。骨は切れない。消費MP:3)の応用で木を薄くスライスしたものを編み、その穴の表裏にもらった毛を詰めて即興式のもこもこの服と帽子の出来上がり。ゴワゴワしちゃってるな。街についたら服を買ってあげよう。

 そういえばオスを想定してフールってつけちゃったからメス…いや、女の子用に改名してあげないとな。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ほら、後ろ向いているからこれ飲んでこれ着とけ。」 


 俺は薬と服も帽子を置いといた。


「絶対こっち向かないでよね。」


「わかってるって。あ、そうそう。多分お前ほどの知能と強さがあれば自由に元の姿に戻れるんじゃないかな。」


「へぇ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「いいよ」


「おお…」


 完全なるケモミミ美少女だ。あの服も即興にしてはよく似合っている。


「ていうかお前若いな。」


 見た目同い年くらいである。


「そりゃそうよ。あなたのお兄さんの代までは私のお父さんの毛を取ってたんだもの。」


「会ってみたいとこだな。娘さんを連れて旅に出るわけだからな。」


「………実は、死んじゃったんだ。」


「おっと、これは悪かった。わざわざ思い出させはしないさ。」


「じゃあ連れて行ってくれる?」


「待ってくれ。俺はオスを想定してフールってつけちゃったから、名前を新しく考える必要があるんだ。それと一回家に戻る時に女の子を連れて帰ると怪しまれるから、帰るときはついてこないでオオカミでいて、森の入り口あたりにいてくれ。服は魔法で伸びるから毛皮と一体化すると思うから本物のオオカミに見えるから安全だろう。」


「なるほど」


「あとでちゃんとした服持ってきてやるからオオカミにならざるを得なくなっても大丈夫なように街では今来てるやつの下にそれ着て、その上に防具を着ててくれ。」


「わかった」


 あとで思ったのだが、熱そうだけど大丈夫かな。

 フールによるとマッハウルフは順応力が高い故に大丈夫らしい。


「あとは名前だな…マッハウルフ、音速のオオカミか・・・ミルハなんてどうだ?オオカミのミ、ウルフのル、マッハのハで、ミルハ。」


「いいんじゃない?私は気に入ったよ。」


「決まりだな!これからよろしく、ミルハ。」


「うん!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 俺は帰って父母にミルハの毛を渡して着替え用の服とミルハの服を少しもらった。そして、出発を2日早めて今日から街に向かうと伝えたら、10分だけ家にいてくれと言われた。断る道理はない。

 その後、我が家は2日早く俺の誕生日パーティーを行った。ワイワイごちそうやケーキを食べ、俺が出発しようとした時、それぞれからプレゼントをもらった。

 カーメルからは手作りだという皮の手袋、オーベルからは同じく手作りだという皮の靴をもらった。どちらも質も良く、体に馴染む。

 父母からはそれぞれ剣を一本ずつもらった。2人は俺に二刀流の剣士になってほしいらしい。

 どちらも重い。いい剣なのだろう。持てないわけではないが、2本同時に使うと自慢のスピードが殺されてしまうだろう。使う時までにはもう少し筋力に振っておこう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「行ってきます。」


 俺の家族は本当にいい人たちだ。涙ながらに手を振っている。

 そりゃ凡人が同じ速度を保って歩いて行っても2日はかかる距離だから心配もするだろう。だが、これは冒険者になる前の良いレベル上げとなる。もっといえば本気で走れば光の速さを超えられるので、1秒でいける。だけどミルハがついてこれないので2日かけていく。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「さて、ミルハを迎えに行くか。」


 森の入り口に着くとミルハが寝て待っていた。


「待たせたな」


「じゃあいこっかー。」


 まだ寝ぼけてるのかオオカミのまま歩き始める。


「おーい、まだ寝ぼけてんのか?オオカミのままだぞ。」


「うわっ!おはよう!」


 ミルハは一瞬で人型になる。相も変わらず美少女だな。


「起きたな。じゃあ行くぞ!まずはレベリングだ!」


「素材はどうするの?」


 そこで俺は考える。


「ああ、お前には説明しとくか。これは他言無用で頼む。たとえ酒に酔っても。」


 そういうとミルハはニヤリと笑った。


「甘いね。私は未成年だよ?お酒は飲まないしもちろん言わない。」


 そういえばそうか。


「じゃあいうぞ。俺、実はレベルアップでもらえるスキル選べるんだ。」


 5秒程の沈黙が平原に訪れた後、


「なにそれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」


 平原にミルハの声が響き渡る。


「ということでこれは誰にも言わないでほしい。」


「で?それとどう関係するの?」


「それはな…俺が最初に取る予定のスキルがアイテムボックスであって、素材をしまえるようにしておきたいからだ。」


「マッハウルフを倒すパワーを持った上で、そんなスキルを最初から取れるなんて大したものねえ…反則なんてもんじゃないわね…」


「だろ?そして俺はひっそりとしてたいんだ。バレるわけにはいかないってわけよ」


 あえてステータスには触れない。


「じゃあ敵を倒してレベル上げしながら王都目指すよ!」


 なぜミルハが先導しているのか。まあいいけど。


「おう!」


 ステータスポイントがないので仕方ないし剣は片手剣にしよう。

 こうしてこの俺、ソラト・ジメンの旅は始まったのだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ソラト・ジメン AGE:14


体力:86

筋力:147

頭脳:68

頑丈:29

技術:52

魔力:124

敏捷:188

運:135

回避:20

MP:72941600


ースキル(修業、もしくは才能による獲得)ー

柔道:レベル5

拳術:レベル10(MAX)

剣術(片手):レベル10(MAX)

大剣術:レベル3

二刀剣術:レベル10(MAX)

弓術:レベル4

神の加護(スキルにより上昇するステータスに×2の補正がかかり、MPが上昇):レベル1(MAX)

生活魔法:レベル1(MAX)

初級魔法:レベル1(MAX)

中級魔法:レベル5(MAX)

上級魔法:レベル10(MAX)

英才教育(頭脳に×2の補正):レベル1(MAX)

鑑定(相手のスキル、ステータスが見れるようになる):レベル1(MAX)

破壊術式(自作魔法。対象が何かがわかっていればそれを破壊する。物質であれば対象の原子を空気中に霧散させることで破壊する。本人によると、対象の戦意やスキルも破壊できるらしい。):レベル1(MAX)

復元術式(自作魔法。破壊術式と対をなす魔法。破壊されたものであれば復元できる。本人によると相手を鑑定して厄介だと思い、そのスキルを破壊してそのままにしていたら心が痛むであろうということがこの術式の発想の起因となったものだとか。):レベル1(MAX)

神速(敏捷に+30の補正):レベル1

剛腕(筋力に+30の補正):レベル1

身体強化術(継続的にMPを消費することで全ステータスに×2の補正):レベル1

偽装術(ステータスの偽装を可能とする):レベル1(MAX)


ースキル(SPによる獲得)ー   残りSP:20

アイテムボックス(アイテムを収納できる。SPや熟練度の上昇によるレベルアップで容量UP):レベル2(容量:二十キロ四方)

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