43日目 「わたしたちの未来」
ひらけた草原の先には大きな街があった。いつかマリーと共にドレスを買ったあの街よりもはるかに大きな。
私たちは新しい街へと一歩踏み出す。
賑やかな笑い声、活気ある市場のある大通りはキラキラと輝いて見えた。
「ひ、人がいっぱいなのです......」
みいは少し不安そうな様子だ。
「大丈夫、みいには私たちがついてるから」
みよがそう言うとマリーもコクリと頷いている。
何を話すわけではないが、シエルもまるで"私も忘れないでちょうだい"と言うようにその場をひらりと舞った。
「それにしても大きな街だね......道に迷っちゃいそう」
「そうね! みよ! はぐれないように手を繋ぎましょ!」
マリーはみよの手を握った。
「もー、大丈夫だよ。でも、マリーもはぐれちゃいけないから、このままがいいね」
少し揶揄うようにみよがそう言うと、
「そうね」
と一言だけ言って、綺麗な街並みを見ながらただただ目を輝かせていた。
「いきましょ!」
マリーはそう言うとみよの手を強く引いた。
「待ってよ~」
それに続くようにみよも歩みを進める。
「まずはこの街で情報収集ね。あんた達は宿でも探してなさい」
そういうとシエルは気まぐれに飛んでいってしまった。
「あ......」
シエルの行動は読めない。それでもいつも頼りになるから、流れに身を任せるのが一番だとよく知っている。
「くんくん......美味しい匂いがするのです!」
そう言ってみいは路地の方へと入っていってしまう。
「もー、みんな自由なんだから。マリーもそう思うよね」
「そうね、でもそれがいいんじゃない? 今のみよに必要なのはきっとそれよ!」
マリーはみよのほっぺたをちょこんと触る。
「んー......そうなのかなぁ」
みよは少し納得できない様子で、みいに続いて路地の方に入っていく。
みいは何かを見つけたように走っていく。
その先には小さな露店があった。
「おやおや、いらっしゃい」
食べ物の店かと思えば、そこには水晶を前にした老婆が座っていた。
「お嬢ちゃん達、"未来"に興味はないかい」
老婆は怪しげに微笑む。
それを無視するようにみいは机の下に潜り込む。
「こら、まっとくれ。あんたはなんなんだい」
みよは慌てて制止する。
「す、すみません。この子少し好奇心旺盛なもので」
つかまれたみいは少し不服そうにじたばたしている。
「だってこの下に!」
「どーどー」
そう言ってみよはみいを優しくなだめる。
「それで今、"未来"っていったかしら?」
マリーは興味ありげに尋ねる。
「えぇ、言ったねぇ」
老婆は怪しげに微笑む。
「お婆さまにはわかるの?」
「さあねぇ、わかるかもしれないし、わからないかもしれない」
マリーは首を傾げている。
「ち、ちょっとマリー。この人怪しい人なんじゃない? 大通りに戻ろうよ」
みよはマリーの肩をトントンと叩いて耳打ちをする。
「あんたたち、面白い関係だねぇ。あんたはそっちの小さな子に拾われたってわけかい。これは面白い」
みよは驚きを隠せない様子だ。
「どうしてわかるの?」
みよは真剣な眼差しで尋ねる。
「さあねぇ、なんでなんだろうね」
なんともはっきりしない老婆だ、どこを見て、何を伝えようとしているのか何も見えてこない。
「まあいい、一つ教えといてあげるさ。あんた、これから大変な目に遭うよ。それこそ命に関わることさ」
マリーは少し顔を歪ませる。
「冗談でも言って良いことと悪いことがあるわ」
いつにも増してマリーは真面目な面持ちだ。
「冗談でこんな事は言わないさ」
「それで......その先はどうなるの?」
みよは恐る恐る尋ねる。
「離れ離れになる」
「それってどういうこと? その後は? どうなるの?」
「知りたいかい?」
みよはのめり込むように老婆に尋ね続ける。
「それはねぇ......」




