37日目 「みんな一緒に!」
楽しい時間は早いものであっという間に過ぎ去り、気がつけばすっかり遅くなっていた。
「ふぁ~、眠いのです」
みいがうとうとしながら眠い目をこする。
「じゃあそろそろ寝ましょうか」
ルキアが廊下に出てパチンと指を鳴らすと、並んだ四つの扉が同時に開く。
みよは"魔法らしい魔法"をみて目を輝かせている。みよはどちらかといえば、火や水が空を舞ったりするような派手な魔法よりも、生活の中にあるちょっとした魔法が好きなのだ。
「部屋はたくさんあるから自由に使ってちょうだい」
ルキアがそう言うや否やマリーがみよと腕を組む。
「私はみよと一緒の部屋がいいわ!」
思いの外がっちりと組まれた腕からは何か強い意志を感じる。
「あらあら、じゃあ少し大きな部屋を用意しましょうね」
そう言いながらルキアは柔らかく微笑んだ。
その時、みよは反対の袖をギュッと握られるのを感じた。
「みい、も......」
みいはふにゃふにゃとした声でみよの袖を握っていた。
「あら! あらあら、大丈夫よ。部屋は色々あるから。そうしたらもう少し大きな部屋がいいわよね」
すると、みよはどこからか視線を感じた。そちらの方に目をやると、リリがすごーく羨ましそうな顔でこちらの方をまじまじとみている。
「ええと、リリもくる......?」
みよがそう言うと、リリは目をキラキラと輝かせながら、
「良いんですか!! はい!」
と元気よく答えた。
「じゃあ私は森でゆっくり休むわ」
シエルがそう言って窓から外に出ようとすると、みいがシエルを引き寄せ、抱き抱える。
「ちょ、ちょっと......」
みいはふにゃふにゃしながら、
「えへへ、抱き枕ぁ......」
と言ってシエルをがっちりとホールドしてる。
「し、仕方ないわね! ついていってあげるわ。何かあったら彼に怒られてしまうもの」
(シエルの力を持ってすれば、何かあってもすぐに助けに来れそう......だけど今はまあいっか)
シエルは満更でもなさそうな顔をしている。
「それならこっちの部屋を使ってちょうだい。それじゃあ、おやすみなさい」
ルキアはかなり大きな寝室に案内してくれた。
「あ、あんまり夜更かししてはダメよ。怖いお化けが出るんだから」
そう言ってルキアはいじらしく微笑むと、扉をゆっくりと閉めていなくなってしまった。
程なくしてみよはぽつりと呟いた。
「ねえ......お化けってなんだろうね?」