33日目 「絶体絶命!」
「確かにおかしいわね。流石に勘違いってことはないでしょうし、とりあえずこの場をどうするか考えましょうか」
みよたちは考え込んでいる。
「どうにかするって言ったって、さっきから歩き続けてばっかりでまったく景色が変わらないんだからどうしようも......」
「景色が変わらない、歩いても歩いても。何かの魔法かしら、でもそんな気配はしないのよね」
シエルも上手くこの状況を説明できないようだ。
「こんな状況だし魔法とか使って外出られないのです?」
みいがとんでもないことを言い出した。
「えっと、流石に人の家だし流石にまだ早いと思うな」
みよは動揺してるみいの頭を撫でながら諭す。
「魔法じゃない何か、もっと上の......まさかね」
シエルは一人で納得したように頷く。
「ね、ねえ、さっきからこの廊下、どんどん狭くなってきてない?」
みよがそう呟いた。
「えっと......そうみたい。どうしよう、みよ」
マリーもみいもみよにしがみつく。流石に2人とも焦っているようだ。それとは対照的にシエルはじっと考え込んでいる。
「ね、ねえ、シエルどうしよう。私何にも思いつかないや」
そう言っている間にも廊下の幅はどんどん狭くなり、あと人が何人入れるかという細さになっていた。
「マ、マリー魔法お願い!」
みよがそう叫ぶとマリーはこくりと頷き廊下の壁に向かって魔法を放った。
しかし、上手くいくように思えた魔法は、ただの壁に弾かれてしまった。
「ご、ごめんなさい......私、ダメだった」
そう言ってマリーは諦めたように瞳を閉じてみよの手を握った。
「みよ、会えて嬉しかったわ」
マリーがそう切なげに微笑む。
(こんな表情まで愛おしく思えちゃうの、何で何だろう。やっぱり私、変なのかな)
その瞬間だった。シエルがハッと我に返ったように話し始める。
「あ、ごめんなさい! 少し考え事をしてたわ......ってそんな場合ではなさそうね」
シエルは何やら詠唱を始める。その場にいる誰もがこの場の空気の変化に気がついただろう。シエルの周りに光の球が集まり始める。
「シエル! はやくはやく!」
みよは最後の希望に縋るようにそう叫ぶ。
「うるさいわね。今話しかけないで、集中してるから。
時は迫りみよたちは壁に圧迫される。それと同時に周囲は白い光に包まれた。
その時、遠くの方でパチンと指を弾く音が聞こえた。