ロボと少年とゴーグル
「お前変わってるよな」
「いえいえそんなことないですよ」
ロボが作業しているときに、ベンチに座っている少年がそう言った。
「だってロボットなのにゴーグルなんかつけて、意味ないだろ」
「いえいえそんなことないですよ。
これはご主人様に無理を言って買ってもらったんです」
少年はそう言ったロボの背中を見つめ、それからロボが使っている道具を見て
「なんでそれ買ってもらったんだよ。
それ買ってもらうよりもっと作業がはかどるやつ買ってもらえよ」
「いえいえそんなことないですよ
本当は、ご主人様がしているメガネと同じ物が欲しかったのですけれども
引っ掛けるところがなかったので」
ロボはつるっとした頭部をぺちんと叩いた。
少年はぶすっとした顔を浮かべて
「お前やっぱ変わってるよな」
「いえいえそんなことないですよ」
それから少年はぶすっとした顔を浮かべたまま、ロボの作業している背中を見続けるのだった。