嵐の前の静けさ? ~其の十~
「友達に恵まれたっつーか、これも前世の縁ってやつだな。聖戦士繋がり?それよか真由美、おまえどうする?俺はしばらくこっちにいるつもりなんだけど、おまえも今春休みならゆっくりしてけば?」
「えー?………うん、そうだね……」
真由美は少し考え込んだ。本当は兄を探し終えたらすぐにでも家に帰るつもりだったが、久しぶりにみんなに会ったり、五大都市を見て回るのも悪くないかもしれない。それに、せっかくシェルとヴァイスが再会出来たのに、またすぐに引き離すのも可哀想な気がした。
「じゃあもうちょっといるかな」
「だったら僕ももう少しここにいます。ルシフェルやリーナさんも会いに来てくれたことだし、みんなが揃うのも滅多にないですしね。……そういえばリーナさん、さっき何か言いかけてましたけど、何だったんですか?」
「あ、そうそう。それだけど…………………うわ、いざ言うとなるとなんか恥ずかしいなぁ」
リーナは顔を赤くして口を手で押さえた。彼女は何でもズバズバ言うタイプかと思いきや、特に恋愛に対しては結構照れ屋だった。
「なんだよ、らしくないな」
綾子がはっきり言えよ、と話の続きを催促する。
「いや、実はさ……、子どもが出来たんだよ。まだ小さいから連れてこられなくてリーナの兄さんに預けてあるけど、報告だけでもしたいかなって思ってさ」
恥ずかしがるリーナの代わりにルシフェルが答えた。彼もなんとなく照れくさそうにだったけれど。
そして、勿論それは綾子や真由美にとって「へー、そうなんだ」で終わるような内容ではなかった。
「………………こどもぉ!?マジで!?」
「だって、ルシフェルはともかく、リーナがお母さんって………」
真由美と綾子の「おいおい大丈夫か」という態度にリーナがキレた。
「ムッ。なによその言い方。聞き捨てならないわね!私のが年上なのにルシフェルはともかくって!大体、私だって今16歳なんだからねっ!」
「16っ!?あれ、だってこの前まで14じゃなかった!?」
綾子が驚いて聞き返す。
「天使は3ヶ月で一歳年を取るんでしたよね?あの戦いから半年経ったから、ルシフェルも14歳になったんですねぇ」
到が冷静にそう言って二人を見た。確かに以前より顔つきが大人になったような気もする。……………が、なにぶん体が小さいのでよく分からない。
「何はともあれおめでとう!」
「今度会わせてくださいね」
スィフトと到がニコニコ笑って祝福した。
「それで、女の子ですの?男の子ですの?」
みゆりもまるで自分の事のように嬉しそうに尋ねる。リーナもそんなみゆりを見て、嬉しくなってきた。えへへと幸せそうに
「両方だよー」
と満面の笑みを浮かべた。
「両方?二人いるの?」
「うん、双子なの。男の子が風天使でルウト、女の子が炎天使でアンリって言うの。ルウトはルシフェルそっくりで、すっごいカッコ可愛いの!」
「アンリはリーナそっくりだよな。ちょっとドジだけど一生懸命で可愛い」
だんだん二人の親バカっぷりが露見してきた。それだけならいざ知らず、
「やだルシフェル、私のことも可愛いって思ってくれてるの?」
「あっ、当たり前だろ。つーか言わせんなよ、ハズいから!」
二人ののろけが始まった。
「………な、なんだか見てられませんわね」
「むしろイライラすんのは綾子だけか?」
リーナはルシフェルと会ったばかりの頃「私はあんたなんか認めないんだから!」とかなんとか言っていたのに、両思いになった今じゃこのザマだ。
「恋をすると変わるって言うけど、ヴァイスもリーナも変わりすぎだろ」
「今からそんなこと言ってたらどーすんだよー。まだみゆりとゆっきーがいるのに。ゆっきーとか恋愛したらどうなるんだろうなー」
博がうーんと唸りだす。
「……………あんま想像したくないかも」
真由美はのろけまくってる幸広を想像したくなかった。そんなことしたら彼のイメージが崩れまくりだ。今頃幸広はくしゃみをしているかもしれない。
「そうですわ!余計なことを仰らないでくださいな!」
みゆりもやはりデレデレ顔の幸広は嫌らしく、頭をぶんぶん振って博に抗議した。
すると到が「あっ」と思い出したように声を出した。




