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【10話】転職しました!


朝日が登る前に起きて、身支度を整える。

埃が付いていないかとか、髪がほつれてないか確認して部屋を出る。


早歩きだけどなるべく音はたてないように歩いて、ついたのは洗濯場。


「おはようございまーす」


と、挨拶をすれば、


「あ!ナイおはよー」


「おはようマリーナ」


メイド服を着た、くるくるの巻き髪の女の子が走り寄ってきた。

どうやってこの色素が作られてるのか分からないくらい、綺麗な薄ピンクの髪。

髪よりもちょっと濃いめの、やっぱりピンクのぱっちりした目。

そばかすも彼女の愛嬌を際立たせていて、すごく可愛い。


そして行動の制限が一切無く、自由に動き回っている姿。

会話も問題なく可能。


お気付きでしょうか?

そうです。

このマリーナは、【フォーチュンラブ❤︎アドベンチャー】のサブキャラクター。


ゲーム序盤で、主人公に色々と王宮のやり方だったり噂話を教えてくれるメイドさんが居るのだけど、彼女がそれ。


マリーナは頻度高くは出てこないキャラだから、詳細設定はほとんど無くて、確か公式設定集にも"先輩使用人"だけだった。だから、どう言う子なのかはよく知らない。

ただゲームしてる時は、お喋り大好きな子って印象を持ってた。

新しい噂話を仕入れると「知ってる?」って、わざわざ教えに来てくれるくらいだから。


実際私のその印象は当たってて、お陰様でお喋り大好きなマリーナとは、すぐに仲良くなれた。


初めて、ゲームっぽくない。ちゃんと人らしい行動を取る子と知り合いになったので、ちょっとだけこの世界が異世界としてちゃんと機能してるんだなって思えるくらいには、凄く人。


まぁ相変わらず、モブはモブなんですけどね。

主要キャラとかマリーナから見て、モブってどう見えてるのか気になる。主に、目があるか否かとか。


実はパン屋を潰されてから私、ちゃっかり王宮使用人に転職しました。


と言ってもまだ見習いだから、基本的に洗濯物とか掃除とか、下っ端中の下っ端がやることをお仕事にしているのだけども。


まぁどうしてこうなったのか、経緯を説明すると。







まずレイから離れてパン屋の店員から女Aに着替えた私は、その姿でレイの所に戻った。


戻るとは言っても、話しかけるとも近づくとも言ってはいないから、ちょっと離れた所で様子を見てるって言う屁理屈を最大限に使って。


ちょっとした賭けだった。


もしレイが私と同じ、或いはもっと性能の良いステータスチェックが出来たとしたら、この実験は失敗するから。

成功率は五分五分。


そして案の定レイは少し待ったあとに、迷いなく私が自動お着替え機能を発動した路地裏まで歩いて行った。

絶対何かしらの追跡能力持ってんじゃんって、ビクビクしてたんだけど……。


無事、回避出来ました。


約束は破ってないしね。

ちゃんと行ったもの、気付かれなかっただけで。だから、気付かなかった方が悪いと思うよ。


途中、レイに「こう言う子見なかった?」って話しかけられた時にはドキッとしたけど、ステータス確認は出来なかったみたいで、別にバレることもなく、私は逃げるのに成功したのだった。


こんな感じで、またしてもモブなことを良いことに、セコイ小技使って奴から離れたのに。


それなのにいま、何故そうまでして逃げた王宮に、使用人としているかって言うと。


実はちょっとした問題があって……。



まずレイから逃げた次の日に、私はステータスの確認をしたのだ。

何が変わったのか、正確に把握しときたかったから。


そうしたら。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


【名前】ナイ/女A ⚠︎

【年齢】12

【職業】国民▼

【■■■】

■■■■■■■■■■■

■■■■■■■■■■■


【好感度パラメーター】


■■■■■■■■■■■

■■■/■■■


・ヴァルデ・ベルク▼

000/100


■■■■■■■■■■■

■■■/■■■


■■■■■■■■■■■

■■■/■■■


・アシュレイ・スティロアビーユ▼

025/100 ⤴︎︎︎⤴︎︎⤴︎︎︎


【■■】

■■■■■■■■■■■

■■■■■■■■■■■


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




って。


ステータスは概ね大丈夫だったんだけど、一部見落としてた記号を見付ける。

名前の横の"⚠︎"マーク。


なんだあれ?初めて見たってなったし、なんだかどうにも気になって嫌な予感がしてならないから、そのマークの所を凝視した。


するとやっぱり⚠︎マークは詳細ウィンドウと同じだったみたいで、出てきた言葉がこれだった。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


【名前】ナイ/女A ⚠︎この項目はロックされて

         います。※変更の場合は

         [ナイ]の命名者が解除後

         に変更可能になります。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




まぁ、つまりね。

名前にロックが掛かっちゃったせいで、変更出来なくなっちゃったんだ。


変更可能だったの?!って言う疑問については、うん、なんか可能だったみたい。

いやぁ気付かなかったわ〜気付かないまま、使えなくなっちゃったわ…………。


とりあえず書いてあることによると、1度"ナイの命名者"=レイに、名前解除してもらわないとダメみたいで。


私名前がナイなのは嫌だし、女Aも出来れば取りたいから、折角離れたのに結局接触しなきゃいけない用が出来ちゃったのだ。


この3歩進んで2歩下がる感ね。


でも困ったことにレイが認識する姿、パン屋の店員は使えなくなった訳だから、また新たな問題に直面して困り果てていた時に、私は間違えて職業のところの詳細ウィンドウを開いてしまった。


それ見てもう、びっくりしたよ。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


【職業】パン屋の店員▲


   【所持職業】

    ・国民

     ∟現在この職業に設定中です。


    ・パン屋の店員

     ∟※現在この職業は使えません。


    ・王宮使用人見習い

     ∟この職業に変更可能です。

      [変更する/変更しない]


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




なんか1つ、取得した覚えのない職業が増えてたから。


たぶんね、あくまで予測だよ。

予測なんだけど、私レイに、「とりあえず使用人になる?」って言われてたんだ。

はいともいいえとも答えて無かったんだけど。


あの発言で恐らく、雇用されたって判断されたのかと。


主要キャラ恐るべし。

もしかしたら、レイの立場が王子だったのも関係してきてるかもしれないけど。


とりあえず、不幸中の幸い?なのかな。

いつの間にか手に入れてた"

王宮使用人見習い"を使って、私は王宮入りをしたのだ。


そしたら、使用人って忙しいんだね!


見習いですらやることありまくって、必死で順応しようと思って働いてたら、あっという間に1年経ってましたよ。


生前のブラックにギリ負けるくらいには忙しいから、慣れてやりやすくなるまで、名前だなんだって言ってられないくらいには大変。


見習いでもこのレベルなんだから、見習い明けた使用人とかもっとハードモードでしょ?

いま心から、これ以上のことを涼しい顔でやり続けていた主人公のことを尊敬出来る。主人公凄いよ本当に。

まぁ正確には、ゲーム開始まで3年早いから、まだ主人公王宮の仕事はやってないんだけどね。


そう言えば、王宮に入って詰んだこと。


私、年齢もだし経験値も無いしで、がっつり見習い使用人スタートだった。

それは別にいいんだけど、見習いだから上層の人が寄り付くところには入れないし、行くような仕事も無い。


だからレイに接触することも、それどころかヴァルデにさえ、すれ違うことすら今のところ出来ていなかったりする。

変な話。王宮に居るのに、王宮に住んでる奴らに会う手段が無いのだ。


後は、運良くレイに接触出来たとしても、あのパン屋のモブが私だって、レイに分からせる方法も無いし……。

そもそも分かったら分かったで、この国の王子を待ち惚けさせた罪とか出てきちゃったら、あっさり処罰されそうなんだよね。なんせモブだからね。


あ、ちなみにいま現段階でほんの少しも目は取得していません!取得する兆しすらない。

謎の固定名もどきと追加職業以外、他に変動したところは特に無し。

見れるようになった項目も特に無い。


ただのモブがモブ使用人に変わっただけで、未だ変わらずモブなので、この1年で何が出来るようになったかって言われたら、めちゃくちゃ洗濯と掃除の腕が上がったことくらい。


私の脱モブ計画は、当分達成見込みが無いようだった。



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