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槍使いわき役  作者: toroyawa
1/1

prologue

この程度の文章力なんだなってぐらい雑な気持ちで読んでほしいプロローグです。

造語がかなり出てきますが本編で解説入れるのであしからず。

ぐっと背伸びをする。6時起床。二度寝したい気持ちをぐっと抑え、顔を洗い、朝の自己鍛錬をするため訓練所に出る。


毎日のルーチンだ。俺が入団勲章を叙勲されてから、一日たりとも欠かしたことはない。

訓練所の扉を開けると、既に素振りをしている人がいる、これもいつものことだ。


「おはようございます、ガゼルさん」


「おはようさん、カズ。今日も時間通りだな」


額に流れる汗をぬぐうこの筋骨隆々の男こそ、ディエナ王国騎士団団長、ガゼル=ローデリアだ。


「ガゼルさんこそ、いったいいつからやってんですか。毎朝いるし」


「カッカッカ、毎朝くるのはお前さんもだろ?実は俺ァ眠らねえんだ。」


「嘘ですか?」


「つまらん奴だ…そんなことより、今日もやんだろ?」


そういってガゼルさんは木槍を投げ渡してくる。


これもルーチンの一つだ。いつからだったかは覚えがないが、来る日も来る日も早くから訓練場に来ている俺に、「お前は熱心だから毎朝一回だけ手合わせをしてやる。ただし寝坊しなければ、な。」と言われたのだ。もう入団して5年と少し経つが、いまだに一本すら取れる気配はない。


軽く体を動かし、魔力を巡らせる。体中の黒穴から滲み出る魔力を、薄く、空気に溶け込ませるように広げていく。魔力範囲目いっぱいに薄い魔力を満たせば、準備OKだ。


「いつでもいけます」


「おし、じゃあかかってこい」


両者の視線が重なる。

リーチは正義だ。相手はやや幅広に作られた木剣。それに対してこちらは2m弱の長槍だ。この差を覆すのは難しい。使用する人間に著しく能力差がない場合に限られるが。


我流ではあるが、構えをとる。ルールは簡単。相手の急所に攻撃を当てれば勝ち、それだけだ。


先手はいつも俺。深呼吸をし、より密な魔力で、魔力範囲を埋めていく。ガゼルさんは早くしろと言わんばかりに立ち呆けている。


「いきますッ!」


「待ちくたびれたぞ」


初手、全身を使って鋭い突きを繰り出す。狙うのは心臓。体の中心部だ。


ガゼルさんは体を右に反らして避ける。


すかさず二手目。まだ、俺のターンだ。

右にそれた体の脇を狙うように槍を薙ぐ。が、敢え無く剣の腹で止められてしまう。


「鋭いな。いや、まるで俺がそうするのがわかってたみてえな動きだ。」


「ガゼルさんこそ」


「カッカッカ、わりぃな。俺のは反射神経だ、いや、勘というのが正しいか?」


槍と体の間に30㎝の隙間もなかったうえに僕は槍を薙ぐことを決めていた。それを反射神経で止めたというのだから聞いてあきれる。

だが、止められるのはまだ想定内だ。ここはすでに僕の間合い。ガゼルさんは僕の魔力範囲に足を踏み入れている。この空間に満たした濃密な魔力はいわば手足だ。見るより早く、ガゼルさんの一挙一動がわかる。肩を押されればわかるように、魔力圧が、ガゼルさんの動きを教えてくれる。


三手目。ガゼルさんの足を払おうと左足を出し、槍を引く。が跳躍で避けられる。よし!


「最後です!」

ここまでは読み切れた。

槍を押し返しながらの無理やりな跳躍。体のバランスは崩れ、空中に浮いた体、逃げ場はない。あとは当てるだけだッ!


四手目。引いた槍をまっすぐに突く。


「あぁ、終わりだ。」


ピトっと首筋にあてられた木剣に、体から力が抜ける。


「ふぅーっ、アブねぇとこだったぜ。連勝記録が破られちまうところだったな」


「うがぁぁ!!ま・た・負・け・た~~~ッ!!」


「んおお、相変わらず起伏が激しいなぁ、カズは」


「何がいけなかった?読みは完璧だった。筋力が足りなかったか?いや、押し切られてはいなかった。二手目で勝負をつけるべきだったか?いや、それには確実性が…」


「叫んだと思ったらぶつぶつと…せわしい奴だ」


「団長、もしかして空飛べますか?」


「寝言は寝て言え。俺は羽も翼も生えちゃいねえよ。」


「じゃあ!なんでジャンプした後に突きが出るより早く僕に攻撃できるんですか!もう空中で好き勝手動けるとしか思えな」


「跳んでねぇよ」


「え?」


「俺はジャンプしてないっての。」


「は?いやでも、確かに少しかがんで…」


「扱える魔力量がだいぶ多くなったようだな。意識しなくてもわかるくらいには濃密な魔力だった。」


「それがどうかしたんですか?」


「正直ヒヤヒヤしたぜ。基本的には敵に気づかれないように魔力は薄くするもんだ。そうしなかったのはなぜだ?」


「そんな小手先じゃ止められないと思っただけです。これだけの魔力をつぎ込めば次の動きは手に取るようにわかる。そうなれば、読みが外れても勝ちの筋は残る。だからそうしたまでです。」


「カッカッカ、小手先か、いい読みだ。俺が気付けねえ程薄い魔力なら、魔力圧より先に

俺が一本叩き込める。」


「そんなことより!確かにガゼルさんは跳んでたはずだ、じゃなきゃはらった足に…」


「その答え合わせはまた今度な、俺は寝る」


思いのほか時間が経ってしまっていたようだ。他の団員たちがぞろぞろと集まってくる。


「ちゃんと通常の訓練もこなすんだぞ~」


そう言うと、ガゼルさんは訓練場を後にした。


「眠らないんじゃなかったのかよ…」


小さい呟きは、訓練場の喧騒に溶け込むばかりだった。


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