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Chaos・World  作者: 鳴海真樹
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一章第二節:ゲームのロード画面って黒背景のイメージ

カオス・ワールドというゲームを語るに当たって外せないのが、[異能]の存在である。

この異能というものはプレイヤー毎に異なり、どんな異能が顕現するかは未知数なのである。

また、異能はゲーム内のステータスに左右されない。

発現にMP消費といった制限があるわけでもなく、能力に技の固定があるわけでもない。

発現は容易くでき、能力も顕現した異能に応じて自由な発想で扱える。

故にプレイヤーは各々に顕現した異能を駆使してゲーム攻略に勤しむのである。


カオス・ワールドにログインして最初にすることは異能の確認である。

初期プレイヤーはログイン時にNPCの指示の下で巨大な体育館のような場所に案内される。

そこで自分の異能をある程度検証、確認し済み次第本格的にゲームが開始するのである。


瑞希は自分の異能が何かを探る為期待に胸を膨らませながら、瑠璃香に案内されて巨大な体育館のような場所に入った。

そこで瑠璃香先生のありがたい異能講座を受けていた。


「一括りに異能って言っても色んなものがあるの。

直接的な能力から間接的な能力まで、その異能形態は様々なんだよ。」


そう瑠璃香は得意げに話している。

どうやら無知な瑞希に先生として振る舞えるのが嬉しいようだ。

そんな得意げな顔もカワイイですぞ先生。

瑞希はそんなカワイイ瑠璃香に見とれつつも相槌を打っていた。


「実際どんな異能が現れるかはやってみないとわからないから、とりあえずやってみよう!

私も瑞希がどんな異能なのか滅茶苦茶興味あるし!」


そういって期待と興味の眼差しで瑞希に向けた。

瑞希はその期待に応えるように


「そうだな!」


と快活に答えた。

しかし急に熱い眼差しを向けられた瑞希は


(うっ、そんなキラキラした瞳で見つめるな・・・。萌えてしまう!)


と一人密かに身悶えしていた。

美少女と一対一でお話なんて緊張しちゃうもん。是非もないよね!

そんな瑞希の様子はお構いなしに瑠璃香が話を続ける。


「じゃあ肝心の異能の発現についてだけど、これは凄く単純なの。

瑞希が今思う異能の力をイメージしてみて。」


そう言われて瑞希は早速異能のイメージを始める。

といってもイメージを固めるのに10秒もかからなかった。


(異能のイメージか・・・。そんなものは俺の長年の黒歴史で十分過ぎるほどに培われてきたんだよ!)


悲しいかな瑞希は厨二病。

超能力の類の妄想は常日頃行っていたのでこれくらい朝飯前なのである。

そして全身に力を籠め、溢れんばかりのイメージを形に変える。

そして、かっこいいポージングを決めつつ


「行くぜ瑠璃香!俺の悲願の結晶、風よ巻き起これ!」


瑞希は全力で技を発現する素振りを見せた。

瑠璃香もそれにつられて風が出るのをキラキラした瞳で期待した。

しかし現実というものはあまりにも無慈悲だった・・・。ゲームだけど。

瑞希が長年築きあげた風使い[ウィンドマスター]への憧れはここで無残に打ち壊された。

どうやら瑞希の異能は風の類では無いようだ。

瑞希が羞恥と現実のショックから膝から崩れ落ちて固まっていると、瑠璃香が気まずそうに


「か、風は出なかったね。でも次があるよ!」


と涙ぐましい励ましをした。そんな姿もカワイイ

しかし瑞希は現実を受け止めきれず


(うぅ。俺の心はボロボロDA☆)


と傷心の様子だった。

しかし瑞希が培ってきた超能力のイメージは何も風だけではない。

(俺にはまだあれがあるじゃないか!)

と何かに思い至り再び立ち上がった。

瑞希が!瑞希が立った!

そうして、先ほどとは違うポージングで


「我が黒炎、今ここに顕現せよ!ダークフレイム!」


と盛大に叫び、右手を前に突き出した。

瑠璃香もつられて、今度こそ、その突き出された右手から凄まじい炎が飛び出すのではないかと期待した。

しかし現実というものは(ry

瑞希の右手から仰々しい炎は出ておらず、代わりに人差し指の先端にライター程度の小さなピンク色の炎が灯っていた。

おめでとう瑞希、今日から君は[着火男チャッカマン]だ!

またしても現実に打ちひしがれている瑞希に瑠璃香は


「おめでとう!なんか闇の炎?は出なかったけど異能の発現は確認できたね!」


と溢れんばかりの笑顔で慰めていた。

14歳に慰められる高校生・・・。

(優しい言葉が逆に辛い!)

しかし、何はともあれこうして瑞希の異能が何かは確認できた。

どうやら瑞希は炎系統の異能のようだった。

まぁ、炎と形容するにはいささか火力不足な気もするが・・・。


「とりあえず、無事瑞希の異能がどんなものか分かったところで次のステップにいこう。」


瑠璃香は瑞希の異能がしょぼいことに関しては気にしてない様子だった。

なので瑞希も先程のことは無かったことにし


「次のステップ?」


と平静を取り戻した体を装った。

内心恥ずかしさのあまり心臓バクバクなのは内緒の話である。


「うん。次は異能の源、つまり[トリガー]を探っていくんだよ。

このトリガーていうのはつまり、異能を使うためのガソリンみたいなものなんだ。

これが分からないと異能をちゃんと使えないからね!」


だから心配しなくても大丈夫だよ!

みたいな眼差しをこちらに向けてくる。

瑠璃香が瑞希のしょぼい火について気にしてないのはこの話があるからであろう。

(ふぅ、まだ俺の異能人生は終了してなかったんだな。)



こうして異能の力を手に入れた瑞希は、瑠璃香先生の指導の下でトリガーを探っていくのだがそれはまた次のお話。

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