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プロローグ

「あ」

 コロンと、金色の玉が福引マシーンから転がり出てくる。

「お、大当たりー!!」

 係の者が高らかに鐘を打ち鳴らしアーケードに響き渡る。ここは佑奈の家近所の商店街。今日は年の瀬12月31日。年越しの集まりのため、勲、佑奈、真白が三人で買い出しに来ている最中である。サークルメンバー及びイイチコ含め久しぶりの全員集合。コミケも無事?終わり、儲けたおぜぜで豪華メニューの大忘年会。そんな中、恒例ともいえる年末の福引を引いている。結果はご覧の通り…

「ちょっと佑奈さん、何当てたんですか? …1等!?」

「みたいですね。金色なので」

「佑奈すげー!!」

「1等って…、ペアでニューヨーク旅行!?」

 商品一覧を見て勲が驚く。本当にそんな商品があったのか。せいぜい家電や温泉旅行の類だと思っていたら、まさかパスポートが必要なレベルの商品とは思っていなかった。

「ニューヨークって、珍しいですね。ハワイとかならよく聞くんですけど」

「確かに。LCCのチケットでも余ったかね」

「あ、でもあそこに書いてありますよ。『ビジネスクラスで行く』って小さく」

「あ、ホントだ」

「学生が乗っていいもんじゃないなぁ」

「まぁ、当てちゃったものは仕方ないですね。有難く頂戴しましょう」

 商店街の係の人が「目録」と書かれたのし付きの封筒を佑奈に手渡す。周りからは拍手喝采。

「やったー。佑奈、いつ行こうか?」

 すでに佑奈と真白二人が行くことに決定したらしい。勲は指をくわえて日本で待つのみ。それはそれで悔しい。でもパスポートもってないし。

「さて、随分買いましたから。あと9回できますね。どうしましょう?」

 10回引けた最初の一発で見事射貫くその運。佑奈はもう自分はないだろうと思い、回すことを遠慮する。

「ダーリン引きなよ。今年ついてなかった分、運貯まってるかもよ」

「個人的には十分ついてたと思うんですけど、僕としては」

「1等3本もあるみたいだから、もしかしたら出るかもよ。出たらみんなで行けるねー」

 真白に促され勲が回すことになる。くじ運がいい方ではない、それは昔からのこと。どうせティッシュか何かだろう。そう思って思いっきり福引マシーンの取っ手を回す。

「とりゃ!」

…コロン

「ほら…、え?」

「あ」

「お?」

 東北の山奥では、座敷童と狸が旅館の屋根の上で笑っている。

 ちなみに、10連福引結果


 旅行(1等):佑奈

 旅行:勲

 箱ティッシュ(参加賞):勲

 箱ティッシュ:勲

 箱ティッシュ:勲

 箱ティッシュ:勲

 箱ティッシュ:勲

 箱ティッシュ:勲

 箱ティッシュ:勲

 国産高級牛肉5㌔(4頭ではなく4等):真白

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