聖杖物語黒の剣編エピソード5黒の剣第3章北の黒王こと黒の剣Part3
ついに北の黒王との決戦が幕を開ける。虎牙と美琴の攻撃は魔王に通用するのか?
黒の剣は覚醒してしまったのか?
祭壇の頭部で黒の剣ジキムが、覚醒の時を迎え様としていた。剣からは、闇が溢れ出しとぐろを巻いてのたうち廻っていた。さも形を形成しようとするがごとく。あたしと虎牙は、そのおぞましい化け物と対峙していた。
「美琴、行くぞ!」剣を構えて、虎牙が走り出す。
「はい!」答えて右手を高く掲げて、
「超爆弾!」を打ち込む。黒い渦で爆発があがる。虎牙の必殺剣が唸りを上げ、数十本の光が渦に叩き込まれる。
「次、行きます!」あたしが連続攻撃を掛ける。
「超破弾!」
「獣破斬!」2人の波状攻撃が炸裂する。辺りに閃光が走る。
ー!なんてヤツなの。あたし達の攻撃で、掠り傷位しか受けないなんて。-あたしがビックリしていると、
「美琴!まだだ。気を緩めるなよ。」虎牙の言葉に気を引き締めて、更なる攻撃を掛けた。だが、
「ぐはははっ、足らぬ。まだ、足らぬ!水晶の力が足らぬ。巫女よ、そなたの全てを喰らわねば、足らぬのだぁー!」黒の剣黒王ジキムが闇の渦から喚く。
「美琴!さがるんだ!!」虎牙が、あたしを後退させようと手を伸ばした時、<ビシュッ!>
ーあっ!虎牙!!-あたしの体に、闇の渦から伸びた触手が絡みつく。
「しっ、しまった!」あたしは触手を引きちぎろうと、呪文を詠唱しようとしたが、
「んっ!うぐっ!」いきなり口を塞がれて悶える。
「美琴!美琴を放せ!!」虎牙が、あたしを取り返そうと剣で切りつける前に、あたしは黒の剣まで手繰り寄せられた。
「くははははっ、巫女よ。お前を喰ってやる。我の一部となれ!」ジキムが吼えるのと同時に、塞がれた口が解放される。体に巻き付いた触手の先端がぱっくりと割れ、刺々しい牙を剥く。
「くっ!誰がお前なんかに喰われるもんか!超破だっ!!」そこまで呪文を唱え掛けた時、
「えっ!ぎぃっやあああぁぁっ!」強烈な痛みが全身に走った。牙を剥いた触手の先端があたしの左胸に喰らい付いて、そこから全ての力を吸い取ろうとする。
「うわああああーっ!」あまりの激痛で目が眩む。体の力がどんどん吸い取られていく。気が遠くなるが、痛みで気を失う事も出来ない。体中に次々に電撃が走る。頭の先から、足の先まで、体のあらゆる場所に痛みが走る。あたしは仰け反り、必死に逃れ様ともがく。だが、それも直ぐに出来なくなる。
<グッポグッポ>触手があたしの力を吸い取っていく。
「うあっあああああー。」あたしは苦痛のあまり、叫ぶ事しか出来くなってしまう。
ーああっ、虎牙。助けて、痛い。苦しい。このままじゃあ、ジキムに喰われちゃうよ。-
「美琴を放せ!」虎牙がジキムに切りかかってくれている。
ー虎牙ごめん、もうあたし持たない。食われる前に・・-
「虎牙!お願いっ、あたしを斬って!殺してぇっ、喰われてしまう前にぃっ!早くぅっ!」
「だまれっ巫女よ。」ジキムが更に強く吸い付く。
「あっぎぃっ、ひいいぃっ!」あたしは白目を剥いて悶える。それでもジキムは、容赦しない。
「ひっ、ひいいっ。もう駄目!死ぬぅっ、死ぬっ、死んじゃうぅぅっ。」体中を強力な電撃が走った様な苦痛を受け、更に無理やり体中の気力が失われていく。
「ぐははははっ!もう少しだ巫女。お前を喰らい尽くしてやる。」ジキムは勝ち誇り、更にあたしを汚し尽くす。
<ブリュウッ、グチュウッズリュッ>絡みついた触手があたしの力を、気力を吸い込んでいく。
「あうっあっひっいっ、虎・・牙・・あうっうっうぅぅ・・。」あたしは意識を失いかける。体が痙攣するだけしか動けなくなり、声も出なくなった。俯いた瞳から涙を零して、
ーも・・もう・・駄目、喰われてしまう。虎牙、あたしを・・斬って早く。でないとジキムが復活してしまう。お願い・・あたし・・も・・う・・も・・た・・な・・・い・・・・-あたしの瞳が閉じていく。
<プツッ!>・・ついに意識がジキムに飲まれてしまった。
なんてことでしょう。美琴がジキムに喰われてしまうとは・・・。
わたしの可愛い娘まで喰らってしまうなんて・・・でも、美琴には帰れる肉体が残っている。
私と同じ目には遭わせない。助けて見せるわ。私の娘を・・・
次回!エピソード5第4章決戦 これからが本当の決戦なんだからね!ジキム!!覚えてらっしゃい!
次回も、読んでくれなきゃ駄目よーん!