聖杖物語 黒の剣編 エピソード5黒の剣第3章北の黒王こと黒の剣Part2
虎牙を閉じ込めた扉の前で、父母と出会った美琴は虎牙を目覚めさせる為呼び掛ける。
狼牙お父さんが指し示す扉は、固く閉ざされている。
「美琴、あの扉は黒王ジキムによって、閉ざされてしまったの。私達では開ける事が出来なかった。けど美琴なら、美琴の声が虎牙に届ける事が出来たなら、きっとあの子は扉を開ける。」
「美琴。頼む虎牙を助けてやってくれ。」あたしは2人に微笑み、
「うん。必ず虎牙を助ける。救って見せるから。」そう答えて、扉の前に行く。
ー虎牙、お願い聞いて。あたしの声を。-
「虎牙、迎えに来たよ。帰ろうよ、あたし達の世界に!」しかし何も返事も、動きさえも無い。諦めず、
「虎牙。あたしを一人にしないで!約束したよね、あたしを必ず守るって。いつまでも一緒に居ようって。もし出られないのなら、あたしも中へ入れて。お願い!お願いだから虎牙!」最後は叫ぶ様に扉に縋り付いて呼び掛けた。そして・・・、
「美琴・・・オレの美琴・・・。」
ー!虎牙だ!!-
「虎牙!聞こえる?虎牙、あたしだよ。美琴だよ!!」あたしは扉を叩きながら呼ぶ。
「・・美琴なのか?」
「そうだよ!虎牙。出られる?出てきてお願い!」
「ああ。美琴、今行くよ。」
<ぎぎぎぎぎぃー>扉がゆっくり開きだした。
ーああ、虎牙だ。虎牙が、帰ってきてくれた。-
「虎牙ぁ!」あたしは扉から出て来る虎牙に抱きついた。
「美琴。」抱きついたあたしを優しく抱き留めてくれる。
「ばか!ばかっばかぁ!どれだけ心配したと思っているの!」涙を流しながら、あたしは虎牙に訴える。
「美琴、ありがとうな。呼び覚ましてくれて。」
「虎牙。」狼牙お父さんと美久お母さんが、あたし達に呼び掛けてくる。
「さあ、2人ともお行きなさい。パクネとお友達の所へ。そして勝って、ジキムを倒して!あなた達なら、きっと勝てるわ。」
「・・オヤジ、母さん・・ああ、勝って見せるさ。」そう虎牙はあたしの肩を抱きしめて答えた。
「うん!必ず!!」あたしも力強く頷いた。
「美琴、行こう。魔王ジキムを倒しに!」虎牙は、あたしの顔を、瞳を見つめて言う。
「うん。虎牙!」あたしと虎牙は、光の雲から飛び出した。
「んっ!うっ。」マコの抱いている美琴が、気が付いた。
「美琴!」
「んっ、マコ。・・・虎牙は?」あたしの気懸かりを訊く。
「マコッタン。虎牙兄さんが!白井先生も気が付いた。です。」ヒナがメガネを掛け直しながら、報告する。マコがあたしを抱き起こして、
「良かったね、美琴。」マコが髪を櫛挙げてツインテールに戻しながら、あたしを支えてくれる。
「うん。」あたしは、マコに助けられて起き上がった。目の前に虎牙が居る。その瞳は、
ーああ、虎牙の瞳に光が。-
「虎牙!」あたしは虎牙に抱きついて、
「良かった。目が醒めたんだね。虎牙!」瞳を涙で一杯にしたあたしは、虎牙の胸に顔を埋めて言った。
「ああ、美琴。助けてくれて、ありがとうな。」そう言うと、虎牙は頭を撫でてくれた。
「・・さて!役者が揃ったようだな。虎牙君、大丈夫か?」パクネが訊く。
「ああっ、大丈夫だ。久音も、ありがとう。」<ピクンッ>パクネがちょっと顔を紅く染めて、
「い、いや。これは、こいつらのお蔭だ。礼はこいつらに言ってやってくれ。」と、マコとヒナを指差した。マコとヒナは、少し照れて笑顔で虎牙を見ていた、
「マコちゃん、ヒナちゃん。ありがとう。でも、どうして魔獣界に?」
「虎牙兄さん、その話は後で。それより、この後どうするのですか?」マコが訊くと、
「このまま、逃げても黒王は、復活する。そんな事になれば世界はジキムの思うが侭になってしまう。」虎牙が皆に言った。
「オレは、ジキムを倒す。皆は安全な所へ避難してくれ。」その先は言うなとばかりに、パクネが、
「なーにかっこつけてんの、虎牙君。乗りかかった船を降りろって言うのかい?そいつは無理ってもんでしょ。私もサポートするわ。」
「あたし達も力になるの、です!」ヒナが言う。
「・・邪魔にならない様にします。」マコが言う。
「ふふっ、みんな虎牙の仲間なんだから。虎牙の力になるって、決めてるんだよ。これが絆、これが力。そう、これが人の強さなんだよ。」あたしが言うと虎牙は目を見開き、そして静かに頷いた。
「美琴、これが最期の闘いだ。一緒に闘ってくれ。」
「うん、行こう。虎牙!」あたしと虎牙の最終決戦が、幕を開けた。
いよいよ、最終決戦に突入する美琴と、虎牙。
しかし、魔王ジキムは覚醒の時を迎えようとしていた。ジキムの触手が美琴を襲う!
闘え!虎牙。負けるな美琴。例え、その身に何が起ころうとも・・
次回Part3 も期待してね。
次回も、いえ、次回はヒロインピンチ!美琴は耐えられるのか?・・無理・・かも・・
次回も読んでくれなきゃ駄目よーん!!




