聖杖物語黒の剣編エピソード5黒の剣第3章北の黒王こと、黒の剣Part1
パクネとマコ・ヒナが美琴を救い出す。だが、依然虎牙は立ち尽くしたままだった。その時魔獣鬼が襲い掛かって来た。「危ない!美琴。」マコの悲鳴が響く。
「炎の矢!」横からの一撃を喰らい、魔獣鬼は消え去った。
「はあはあはあっ、間に合ったみたいね。」そこには、服がボロボロになって傷だらけのパクネが立っていた。
「白井先生!」ヒナが迎える。
「先生、大丈夫ですか?」マコが駆け寄る。それを制して、
「ああ、なんとかな。・・・美琴、大丈夫か?」逆にパクネはあたしに問い掛ける。
ー白井先生が、あのパクネ・・・だったなんて。-あたしは何も言えず、立ち竦んでいた。
「虎牙君は?どうなんだ、美琴!」強い言葉に、我に返る。
「あ!はい。まだ、目を醒ましてくれません。」あたしがそう報告すると、難しい顔をしてパクネが言う。
「成程、コイツは厄介だな。魂を抜かれてしまっている様だ。・・魂を呼び戻すしか手は無いが。」そうパクネは3人を見渡し口ごもる。
「どうすれば、魂を呼び戻す事が出来るのですか?先生!」あたしに向って、少し笑いながら、
「先生か・・そうだな・・美琴、お前が良い。お前が呼び戻してこい。時間が無いから説明を省くが、私がお前を虎牙君の魂の所まで送ってやる。必ず虎牙君の魂を呼び戻せ。いいな!」
「はい!お願いします。先生!」あたしは叫ばずにはいられなかった。パクネは虎牙を中心にして、魔法陣を描き、
ー狼牙様、美久さん。どうか虎牙君に力を、美琴に力を貸してあげて下さい。お願いします。-念じて、
「魂回天!」と、呪文を解放する。光の塊が美琴の体に吸い込まれて、
「!美琴ぉ!!」
「白井先生!」マコとヒナが叫ぶ。パクネと美琴が、同時に倒れたからだ。
「・・マコッタン、どうしよう・・です。」パクネの魔法陣から噴出す冥界の風を受けた二人に変化が現れる。瞳の色が、元の色より濃くなる。
「ヒナ!2人を信じて・・待とう。必ず美琴は戻ってくる。それまで、どいつも近寄せるな!」
「・・・解ってます。ふふっ、久しぶりにやりますか?野間眞子いえ、ネクロマンサー眞子さん。」
「・・・それは、時と場所による・・・西の・・魔姫那よ。」
2人の胸元に光るネックレスが、その球状の水晶の中に2人の過去の姿を映し出していた。2人の強力な力をネックレスは押し留めていた。
「美琴。約束だぞ、アタシ達は絶対離れない。どんな事が起き様とも、それが絆だ。」マコは美琴を抱かかえて、呟いた。ヒナは、そんなマコを見つめて、
「絆・・そう・・です。3人は離れてはいけないのです。だから、戻ってきて下さい。姫巫女美琴。」
ー光が優しい。ここは、どこだろう?ーあたしは光の雲の中で探す、虎牙を。
「美琴。」あたしを呼ぶ声に振り返ると、そこには狼牙と美久が立っていた。
「お父さん、お母さん。」
「美琴、強くなったのね。」美久が微笑みかけてくる。
「虎牙を探しているのね、美琴。」
「うん。連れ戻しに来たの。」あたしは美久お母さんに返事した。
「美琴。お前しかあいつを救えないのかも知れん。」狼牙お父さんが寂しそうに言った。
「我々夫婦では、虎牙の魂に辿り着けなかったのだ。見ろ。」そう言って指差す先に、扉が有った。
虎牙の魂を連れ戻すため、転生の間(冥界)で父母に会う美琴。
虎牙の魂をジキムの呪縛から解き放つ事が出来るのか?
次回Part2も期待してね。
次回も読んでくれなきゃ駄目よーん!