聖杖物語黒の剣編エピソード5黒の剣第2章友情Part1
美琴が虎牙をくい止めている間に、獅道はオーガと雌雄を決していた。
四天王オーガの前に、力尽きようとする獅道に最期の望みはあるのか・・・
「くそっ!獣破斬!!」獅道の剣をオーガが跳ね除ける。
「どうした、獅騎導士!その程度の剣で、オレ様は斬れぬぞ。」勝ち誇った様にオーガが吼える。
「ほざけ、まだ負けた訳ではない。」獅道が次の手を出す前に、オーガの魔導剣が黒い邪波を放つ。もろに喰らった獅道が吹っ飛ぶ。
「がはっ、くっそぉ。」ふらふらと立ち上がった獅道に、
「諦めが悪いガキめ。くたばるがいい、オレ様の剣でな。」オーガが魔導剣を振りかざす。
「僕は父さん、母さんに約束した。虎牙兄さん美琴を守るって、力になるって。貴様に負けるわけにはいかない。」オーガが獅道を睨みつけ、
「死にぞこないが、これであの世へ逝くが良い。邪壊斬。」剣を大きく振り上げる。獅道は念じた、
ー父さん、母さん。僕に力を貸してくれ。こいつを打ち破る力を。-獅道の心に光が溢れ、光の中から魂の響きが聞こえた。
(獅道、お前はまだ負けた訳ではない。)-父さん?-
(そうよ獅道、あなたには闇を打ち破れる力が残っているから。)-母さん!僕はどうすれば良い?-
(お前の鎧を、獣力を全て剣に込めて立ち向かえ。私達夫婦がした様に。)
(そう、獅道。あなたの獣力を剣に込めて・・・あたし達も共に言うわ。)-ああ、解ったよ父さん、母さん。それで僕の獣力が失われようとも、構わない。美琴を、虎牙兄さんを救えるなら・・・打ち破ってみせる。どんな大きな壁だって。-獅道の鎧が消え、剣が光を放ちだす。
「?何のまねだ獅騎導士。ぐはははっ、死を選んだか。良かろう、死ぬが良い。」オーガは振り上げた剣を薙ぎ払う。
ー父さん、母さん。行くよ!-獅道が目を見開き、
「獣皇壊破斬<バスターダークスレイブ>!」獅道の獣力を開放した一撃が邪波を押し戻し、
「な、なんだとぉ!まさかぁっ!!」オーガに強力な破壊波が打ち当たる。
「ぐがああああっ!!」断末魔の叫びと共に、オーガは粉々に砕け散った。
ー父さん、母さん僕は勝ったよ。・・ありがとう・・・-獅道は、力尽き気を失った。
「なんだ、この空・・・」
<ゴロゴロゴロ>空を見上げると、学園の上だけ黒い雲が渦巻き、雷鳴が鳴り響く。
「なんなんだ、あの雲。何故だか胸騒ぎがする。」マコはただ事ではない感じがして、
「アコ姉、あたしちょっと出てくるから!」
「こんな時間に何処行くのよ!マコ。」止める姉を無視してマコは学園に向って走り出した。
ーこの胸騒ぎ、きっと美琴に何かあったに違いない。アイツまた無茶をやったんだ、一人で。ったく!世話焼かせやがって。-マコの胸のネックレスがピンク色に発光している。
「マコッタン!」学園に向う途中で、声を掛けられた。
「ヒナ!お前も来たのか?」
「はい、です。胸騒ぎがしますです。」
ーそうだよな、取猫さんがくれたこのネックレスが、教えてくれている。そしてあたし達の絆が、美琴のピンチを。-
「ヒナ!とにかく学園まで急ぐぞ。」
「はい。です!」
マコとヒナは走る、学園に。あの黒雲の元に・・・
マコとヒナは学園に向う。美琴の身に危険が迫っているのを感じて。
2人が学園に着く前に、もう一人不穏な空気を感じている者がいた。
次回Part2にご期待ください。
次回も読んでくれなきゃ駄目よーん!