聖杖物語黒の剣編エピソード5黒の剣第1章オーガの罠 Part2
虎牙と獅道が対魔に向う。美琴が遅れて現場に着いた時、虎牙が連れ去られていた。
「くっそおぉっ!」獅道兄さんが叫ぶ。魔獣界の結界が消えてしまっていた。あたしは驚いて獅道兄さんに訊く。
「どうしたの?獅道兄さん。虎牙兄は何処に?」
「・・・連れて行かれた。罠だったんだ。僕が悪かった、虎牙兄さんを四天王オーガが捕らえていったんだ。」 あたしは血の気が引く思いだった。
「虎牙が・・・虎牙兄が連れ去られた?」あたしはショックで跪づいてしまう。
「美琴、しっかりしろ!」獅道兄さんが、あたしを立たせて、
「すぐに、取猫の所へ行こう。そして兄さんを救出するんだ。いいな。」あたしは目の前が真っ暗になって、返事も出来なかった。
ー虎牙が、虎牙が魔獣界へ連れ去られるなんて・・・どうしよう、もし虎牙の身に何かあったら、あたし・・・あたしはどうすればいいの?-頭の中が真っ白になり、その事意外に何も考えられなくなってしまった。
「とにかく、取猫の所で兄さんを追跡するんだ。急ぐぞ。」
「は・・・い。」獅道兄さんに手を引かれて、あたし達は急いで白猫堂へ向った。
「くっくっくっ、虎牙。いい様だな。」オレを見下しながら、オーガが勝ち誇る。
「くそっ、何故殺さない。殺すならさっさと殺れ。」オレの手足を拘束具が、締め付けている。
「勇ましさだけは褒めてやる。だが、簡単には殺さぬ。お前が必要なのでな。巫女を落とす為にはな。」
「なんだと、美琴に手を出すな。」
「くっくっくっ、我々は手を出さぬ。お前が手を出す事になるがな。」
「くっそっ、オレが何で美琴に手を出さなければいけないんだ。」
「貴様が水晶の巫女を打ち負かし、ジキム黒王に巫女を渡せば復活の儀式を始めるだろう。そこをオレ様が横取りすれば、オレ様がこの世の全てを支配できるって寸法よ。」オレは歯軋りして、
「お前は、王まで裏切るつもりか!」
「何とでも言え。オレ様が絶対君主になる為の捨て駒なのだ、お前は。」
「オレはお前の意のままにはならない。」だが、オーガは、
「なるのだよ、こうすればな!」と、言うと同時に、オレの魂を拘束した。
「うっ!がっあっ!!」オレは瞬時に気が遠くなっていった。
「ふっふっふっ、これで良し。後は、巫女を此処まで誘き込むだけだ。あーはっはっはっ。」オーガは高笑いしながら、美琴を誘い込む行動に入った。
「ん、出ました。美琴様、獅道様。」取猫さんが、聖導器で虎牙兄の反応を見付けた。
「位置は?特定出来そうか?」
「はい、・・・これは!」
「どこだ、取猫。」
「・・・黒王の居城からです。」
「な、なんだと?」獅道兄さんが、驚きを隠さず言う。
「黒王の城って?」あたしが訊くと、
「黒王ジキムの居城。言わば魔獣界の心臓部です。美琴様。」
「ええっ!そんな所に虎牙が?」
「その様です。如何致しましょう?」
「行くわ、あたし。何があろうとも。必ず虎牙を見つけて助ける。」あたしが決意を語ると、獅道兄さんが、
「待て、美琴。これは罠だ。美琴を誘き寄せる罠だよ。」あたしは獅道兄さんに振り向いて、
「うん。解っているよ。・・・解っているけど虎牙を助けたい。だから、行くの。」あたしは凛とした声で言った。
「美琴。そんなに兄さんの事を。」
「うん。もう離れないって決めたから。虎牙と一緒に居るって決めたから。」そう言ってあたしは取猫さんに、結界を開いてもらう。
「取猫さん、行きます。結界を開いてください。お願いします。」
「・・・美琴様、くれぐれもご注意くださいませ。」
「うん、取猫さん。・・・後を宜しくお願いします。」あたしが決意を込めて頭を下げる。
「美琴様・・・お待ちしております。では・・・」
取猫さんが、魔法陣を造ると中央に黒い穴がポカリと開く。あたしは一息すうっと吸い込むと穴へ飛び込んだ。続いて獅道兄さんが入った。
「美琴、いいか。僕から離れるな。」
「はい。」あたしの手を、獅道兄さんが握って言う。そしてあたし達は魔獣城の中へ降り立った。
黒王の居城に侵入した2人。その前にオーガと虎牙が現れる。
美琴は虎牙を助けられるのか?
次回Part3御期待ください。




