聖杖物語(セインステッキストーリーズ)黒の剣編 エピソード5黒の剣 最終章Part2
美琴は最期の呪法を発動させた。皆を守る為。愛する人達を守る為。
その力を虎牙に託す為、美琴は光の意志となった。二度と逢えなくなる事を覚悟して・・
そして光は伝説の騎士を呼覚ました。
「うおおおおっ!美琴ぉ!!」
虎牙が吼える、魂の叫びを。光に包まれた虎牙の鎧が、眩いばかりに光り輝く。
「!虎牙兄さんの鎧が!!」マコは光が黄金色に変わった事に気付く。
「まさかっ!あれはっ!!」ヒナも驚きの声を挙げ、
「あれは、黄金騎士・・・レベル5以上・・信じられない。」パクネは目を疑った。
「話には聞いた事があるが、虎牙が黄金騎士になるとは・・・。狼牙様、美久さん。見ていますか?虎牙君が、黄金騎士になりましたよ。」パクネの瞳から涙が溢れ出た。
「うおおおおぉっ、ジキム!行くぞ!!」一声挙げて虎牙が飛ぶ。その手にある剣は、もはや虎鋼ではなく、黄金騎士のみが持つ事の出来るエクスカリバー<神獣皇剣>。
大型の両刀剣を一閃し、九つの首の内その一本を断ち切った。
「ぐがおおっ!」ジキムが苦痛のうめきを出す。
「なにぃ!黄金騎士だとぉっ。馬鹿な!信じられん。小賢しい、これでも喰らえ!」残る8つの頭から、次々に炎を吹き出すが黄金騎士には何のダメージも与えられない。
「おのれ!黄金騎士め!!ならば、これでどうだ!」ジキムは8つの首を一点に集め、合成した巨大な炎を虎牙に放った。
「美琴、見ていてくれ!」虎牙は剣を高々と捧げ持ち、最大の光を剣に集める。
<神獣皇剣>が輝きを増し、
「行くぞ!美琴っ!」虎牙が剣を振り下ろす。
「真獣皇壊破斬!」超特大の光の剣波が、炎とジキムを切刻んだ。
「ぐげっ!ぐごごごっ。」7つの首が吹き飛び、胴体を2つに斬られたジキムは断末魔の叫びを上げた。
「ぐごごごっ、我は消えても第2第3の我が甦るだろう。人間界に闇が有る限り・・・ぐがあぁっ!」
呪いの言葉を吐いて、ジキムは粉々に砕け散った。黒の水晶、黒の剣と共に。
ー美琴、約束は守ったぞ。ジキムを倒したぞ。-虎牙はジキムが消し飛んだ跡を見ながら思った。
「虎牙兄さん!」マコが走ってくる。
「虎牙兄様!」ヒナも、
「虎牙君!」パクネも虎牙の元へ集まる。
「虎牙君の姿、狼牙様に見せたかった。黄金騎士になれるなんて。」
「パクネ・・久音。これは美琴がくれた力なんだ。オレの実力ではないよ。」
「美琴が・・そうか、<退魔の呪法>の御蔭か・・」
「ミコッタンは何処に?」
「そうよ!美琴は何処に居るの?」ヒナとマコが、辺りを見回す。
「よし、手分けして探そう。」パクネが皆に言った。
「マコヒナは、玉座へ。私はジキムの跡。虎牙君は祭壇の所へ。」
「はい!x2」
「わかった!」4人が散らばり、美琴を探す。
虎牙が祭壇の裏へ来ると、美琴の足が見えた。
「美琴!」駆け寄ると、まるで眠っているような美琴が倒れていた。
「目を醒ましてくれ。死ぬなっ美琴!」虎牙は、真聖巫女の服を着て微笑みながら倒れている美琴を、抱き起こして叫んだ。
「目を開けてくれ!頼む、美琴!!」どれほど叫ぼうが、揺り動かそうが反応は無かった。
「そんな!約束したじゃないか。オレの元へ帰ってくるって。約束したじゃないか、何時も一緒に居るって!」
美琴を強く抱きしめ、虎牙が叫ぶ。
虎牙と美琴をパクネ、マコヒナが涙を流して見つめていた。
魔王ジキムは、黄金騎士虎牙によって倒された。
光の中、美琴は幽閉の門の前で佇んでいた。間も無く入らねばならぬ暗い門の前で・・・
美琴は入る決意の元に、必ず帰ると約束したのだから・・・
次回Part3幽閉の扉
あたし、帰れるのかな?あたし・・あたしの決意って・・こんなに弱かったの?
次回も読んでくれなきゃ駄目よーん!