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聖杖物語黒の剣編エピソード5黒の剣  作者: さば・ノーブ
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聖杖物語(セインステッキ・ストーリーズ)黒の剣編エピソード5黒の剣第4章決戦Part1

闘いのさなか、魔王ジキムに捕らえられ力と精神を喰われてしまった美琴。

今彼女はジキムの精神空間に囚われていた。美琴を救う者は・・・

「美琴!あたしの可愛い娘。美琴、しっかり!あなたはまだ死んではいけないのよ。」声がする。

ー此処は、何処なんだろう。-

「あなたは、誰?」あたしの問いに、

「聖姫。あなたの母、聖姫。あなたと同じ水晶の巫女。ジキムに囚われて喰われてしまったの・・。今あなたも喰われてしまった、でも肉体はまだ残っている。帰れるのよ、美琴は。」あたしの視界が開けていく。

「お母さん?お母さんなの?」あたしの前にぼんやりと、人影が見えた。

「お母さん!逢いたかった!話したかった!もっとはっきりと見たいよ。お母さんを!」あたしは目の前の人影に向かって、手を伸ばし求める。逢いたかった、ずっとずっと逢いたかった本当の母に向って。

あたしの手に、暖かい優しい温もりの手がそっと握り返してくる。

ーああっ、お母さんの手だ。やっと触れる事が出来た。もう、離したくない。ずっとこのまま・・。-

「美琴、あなたは。あなたには、まだ遣らなければいけない事があるわ。私の様に魔王に喰われて終わってしまう人生じゃあいけないのよ。だって、あなたには大切な人達が待っているもの。」お母さんが諭す様に、あたしに語りかける。

ーそう、あたしには皆が、虎牙がいる。生きて戻るのを待ってくれている。-

「お母さん。でも、どうやったら・・・帰れるの?」あたしはお母さんに訊く。

「美琴の水晶と、私の水晶。二つの力を合わせれば、黒の剣の力を上回るから。水晶は砕けても、その力は砕けない。砕けない力を2つ合わせれば、ジキムの剣の力を上回る事が出来るの。」

ー水晶は砕けても、力はその一つ一つが同じ力を持っているって事、なんだね。そっか、お母さんの欠片とあたしの欠片。同じ力を持っているんだ。2対1って簡単には測れないけど、上回る事ができそう。-

「うん。解ったよ。・・でも、お母さんはどうなるの?」

「美琴、お母さんの肉体はもう・・失われてしまったの。帰るべき処は、聖獣界転生の間。狼牙や、美久の待っている所よ。」少し寂しそうな声で、聖姫お母さんは言う。

「お母さん、あたしが帰っても、またジキムに負けてしまうかもしれない。どうしたら打ち破る事が出来るのかな。」あたしは、不安を口にした。そんなあたしの手を力強く握り、

「美琴、迷ってはいけません。あなた一人で闘っている訳ではないでしょう。あなたには素晴しい仲間がいるじゃない。愛する人達がいるじゃない。その人達を信じなさい。力を貸してあげなさい。」あたしは、はっとして顔を上げる。

ーそうだ。あたしには皆が居る。マコ、ヒナ、白井先生、虎牙。あたし一人で闘っているんじゃない。-

「うん!信じる。皆を、虎牙を!!」あたしは力強く頷いた。お母さんは少し悲しそうに言った。

「強くなったのね、美琴。でも、それだけではジキムに勝てない。今、ジキムは手に入れてしまった。本来の姿を。九つの首を持つドラゴンの姿を。・・これを倒すことが出来るのは獣神だけ。獅騎導士の中でも、最高位である黄金騎士のみ。」

ーえ?黄金・・騎士?それって、伝説のレベル5。そんな・・それじゃあ・・-

「そんな・・じゃあ、あたし達では勝てないの?」俯くあたしに聖姫お母さんが、

「一つだけ、方法があるわ。・・でも、それはあなたを失う事になるかもしれない。」

「死ぬの?」あたしの問いに、

「・・そうかもしれない。ただ、言えるのは自分を失う身代わりに、成せる業。という事。」

ー自分を失う?肉体を失うか、精神を失うって事なのかな。でも、それでもあたしは!-

「お母さん。その方法を教えてください。あたしは仲間を友達を、愛する人を救いたい。たとえあたしがどうなろうとも!」あたしの瞳をじっと見つめた聖姫お母さんが、

「美琴、解りました。<聖杖セインステッキ>を使うのです。その力をあなたが愛する虎牙に、獅騎導士に託すのです。その後は、きっと虎牙がジキムを倒してくれる筈です。」聖姫お母さんが、あたしを抱き締めてくれた。あたしの瞳はお母さんの顔をまだはっきりと見れないでいる。

「お母さん、ありがとう。」勝手に瞳から涙が零れ落ちる。それは母の顔がこんなに近くても見れない悔しさか、もう二度と逢えなくなる悔しさか。それともこれから起きる自分を失う事へのもどかしさか、解らなかった。それでもあたしは涙を拭かずに顔をあげて、

「あたし、やってみせる。勝ってみせる。だから、心配しないでね、お母さん。」

「美琴、本当に強くなりましたね。さあ、私も一緒に念じます。聖杖の出現を、そして美琴の巫女への昇華を!」聖姫の手から、優しい光が溢れ出す。

「はい、お母さん。また・・いつか逢おうね。待っててね。」あたしはお母さんの手を握り締めて言った。

ーそう、あたしはもう挫けない、迷わない。自分の信じる道を、信じる人達を。-

ジキムによって囚われて、身動き一つしない美琴。その姿に絶叫するマコ、ヒナ。

さあ!今こそ、その力を美琴の為に使う時。パクネの弓が唸りを挙げる。

次回決戦Part2

ジキム!あたし達の絆、よーく味わいなさい!<です!>

次回も読んでくれなきゃ、駄目よーん!

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