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二人きりの旅路と私の浄化

 二人で街道をてくてく歩く。

 馬車を見送ってしまったので、次の街に着くまでは徒歩だ。

 私が『許す』と言った発言を翻した事により、レオナール殿下は『……仕方が、ないですよね。わかりました。挽回できるよう、努力します』と悲しげな顔で言い、その後しばらくは二人の間に気まずい空気が流れたのだけれど、私が草に隠れていた地面の窪みに足を取られ転びそうになったのをレオナール殿下が慌てて支えた時から、それは一変した。

『……あの、危ないので……その、手を、繋いでも、いいでしょうか……?』と恐る恐る聞きながらおずおずと手を差し出すレオナール殿下に、少し躊躇った後、私が頷くと、途端にパアアッと効果音が付きそうな程顔を輝かせたレオナール殿下が、私の手を取った。

 以来、殿下はにこにこと満面の笑顔を浮かべ、時折チラチラと繋いだ手を見ながら上機嫌で隣を歩いている。

 ……なんか、頭とお尻に、ないはずの耳と尻尾が見える……。

 出発当初はペタリとしなだれていたそれらが、今や耳はピンと立ち、尻尾はぶんぶんと揺れている気がするよ……。

 ……か、可愛い、と、ちょっと……思わなくもない、かも……。

 うぅ、私はまだ怒っている筈なのに、許せない筈なのに……こんなの、なんか卑怯だ、レオナール殿下……。

 そうしてただひたすら手を繋いだまま歩いていると、ふいに、レオナール殿下が立ち止まった。

 くんっと手を引かれ、私も立ち止まり、殿下を見る。


「レオナール殿下? どう」

「シルバーウルフベビーです」

「えっ?」

「ち、コバルトウルフベビーもいる……二匹か……。……まあ、この程度の魔物なら、問題ないか」

「へ? ま……魔、物……?」


 レオナール殿下の言葉に、その視線を追ってみると、そこにはこちらを見て威嚇している銀色と紺色の毛並みをした二匹の子供の狼がいた。

 ……いや、あれはただの狼ではない。

 ただの狼なら、背中に翼など生えていない。

 あれが、魔物。

 初めてそれを目にして、私は顔を青ざめさせる。

 けれど次の瞬間、繋いでいた手が離され、レオナール殿下がスッと私の前に出た。


「大丈夫です、ナツメ様。あの程度の魔物なら容易く倒せますし、貴女は必ず俺が守ります。倒した後、浄化をお願いします」

「あ、は、はいっ……わかりました!」


 私がそう言って頷くと、殿下は剣を抜いて駆け出し……そして、本当に容易く、二匹の魔物を倒してしまった。

 レオナール殿下、強い……!

 そういえば、昨夜、私を助けに来た時も……っと、いや、ダメだ、これは思い出すべきものじゃない。


「ナツメ様」

「え? ……あっ、はい!」


 振り向いた殿下の呼び掛けに促され、私は即座に思考を振り払うと、恐る恐る倒れた魔物に近づく。


「えっと……そういえば、浄化って、どうやったらいいんでしょう?」

「対象に手をかざして、浄化と唱えて下さい。そうすれば術が発動します」

「は、はい。……じょ、浄化!」


 言われた通りに唱えると、七色の光が私の手から溢れだし、魔物達を包んだ。

 やがてそれに黒いもやみたいなものが混ざったように見えると、光が消え、そして。

 二匹の魔物が立ち上がり、お座りをした後尻尾を振って、こちらを見上げた。

 その様を見ると、"仲間になりたそうにこちらを見ている! 仲間にしますか?"なんて、某有名ゲームの文が頭に浮かぶ。

 ……って、え、待って、え?

 浄化って、そういう事なの??

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