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一夜明けて

 遠退いて行く馬車を、少しだけ開けたテントの入り口からそっと見送る。

 あの馬車には今、馭者さんや一般のお客さん達と共に、ジオナール殿下とテオナール殿下とセイシン様、そして日野春菜さんが乗っている。

 遠ざかる馬車とテントの間にはレオナール殿下が立ち、彼らの乗った馬車を見送っていた。

 私は馬車から視線を移し、背を向けて立つレオナール殿下の姿を見つめる。

 昨夜、全ての事情を説明され終わった後、私は混乱していた。

 まさか今までの行為が全て、日野春菜さんの企みから私を守る為にした彼らなりの気遣いだったなんて。

 結果的にそれは失敗だったわけだけど、眉を下げ、心底申し訳なさそうに頭を下げ許しを乞う彼らを見て、混乱した頭のまま、私はつい『許します』と口走ってしまった。

 けれど冷静になった今となっては、本当に今までの全てをあっさり許せるかと改めて自分に問えば、複雑な心境になり、許せるとは断言できない。


「……これからの対応次第かなぁ」


 一人小さくぽつりと呟く。

 愚策だったとはいえ、私を守ろうと彼らなりに行動した、その気持ちは、頑なに拒んでいいものではないと思う。

 けれど、その行為によって私が傷つき怖い思いをした事実も、無視はできない。

 だから……うん、とても複雑だ。

 だから、私が彼らを本当に許せるかどうかは、これからの行動を見て判断したい。

 保留だ、保留、うん。

 とりあえず、昨夜の今日で発言を翻して悪いけど、レオナール殿下にその旨を伝えよう。

 ……今日から暫く、隣国へ辿り着くまでレオナール殿下と二人旅だから、その道中の空気が重苦しくなる可能性はあるけれど……きちんと、伝えておかないと。

 馬車が完全に見えなくなったのを確認すると、私は意を決してテントを出て、レオナール殿下の元へと歩き出した。


「レオナール殿下、お話があります」


 私はそう切り出し、振り返ったレオナール殿下に自分の気持ちの全てを語ったのだった。 

このあとの展開をどうするか……候補がいくつかあって、只今迷い中です。

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