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月立淳水の執筆法・後編

 小説の書き方の話。その二、設定。


 設定は大事。


 というか、プロットを書いていると自然と設定に目が行きます。


 設定項目はこんな感じ。


■小道具

■時代背景

■舞台、組織

■登場人物


 SF書きとして一番大切なのは「小道具」です。どんな道具を登場させるか。それはどんな原理で動くものか。


 たぶんここに一番時間をかけます。仕組みが整ったら、人はそれをどう見ているのか、社会にどんな風に組み込まれているのか、そのためにどんな変化が社会に起こっているのか。


 そういったところを徹底的につめるのが私流のSFです。


■小道具

●幻覚ステッキ

 幻覚っぽい現象を起こすステッキ。単に周囲の人の脳に幻覚を見せるだけ。特定パターンの脳神経電流に干渉して増幅する。人間誰しも脳内に何らかのイメージを持っているので、それを刺激し想起させるのが基礎原理。たとえばチューリップのイメージパターンに干渉することで記憶の中のチューリップを視覚野に浮き上がらせ、周囲をチューリップでいっぱいにすることができる。ただし、もし生まれて以来、チューリップという言葉も概念も知らずに生きてきた人に使っても何も起こらない。でも目の前に対象があれば大丈夫。見せたいイメージが「眉の太い人に囲まれて恐怖体験をする」のであれば、目の前に眉の太い人を置いてステッキを使うことで、どんな相手にも同じイメージを見させることができる。運転中、操縦中の人が誤って幻覚を見る事故が初期は絶えなかったため、免許制になっている。万一事故を起こしたら大変な罰則が待っている。魔法ステッキの製造ノウハウは●●社独占のため、軍事利用をたくらむ各国の諜報機関が●●社に積極的にコンタクトしている。


 こんな感じですが、実際に長編を書くときはこの五倍くらいは書いちゃうことになります(プロット書きながらどんどん付け足していくので)。


 時代背景はまあ、同じ世界観の別の話があるときに、それとの相対関係くらいは考えときます。


■時代背景

西暦2020年ごろ。アンチ幻覚ステッキの発明はこの6年後。


 あとで、「え?あの技術って発明されるのもっと後だよね?」的な矛盾が起こらないように。


 舞台、組織は、話の中で使うであろう仕組みを作っていきます。単に惑星●●ってだけのこともありますけど。なんとなく時間がかかっちゃいます。「小道具」の項で作った社会の変化は、たぶんいろんな新しい社会の仕組みを作るでしょうから。


■舞台、組織

●太眉ラー

 太い眉の同好会が高じて、世界征服を狙うようになった。

 女の太い眉には萌えるが、男の太い眉に囲まれると失神するレベルのショックを受ける。


 これも、プロット考えてるとどんどん膨らんじゃう項目の一つですね。


 最後に登場人物。まず主人公、それから、プロットを書きながらどんどん書き加えていきます。組織をかくときにも、じゃあその組織の幹部とか必要だよねえとか、そんな感じで増えていきます。


●月立淳水

 主人公、十六歳。黒髪茶眼、黄色だが色白、眉が濃い。167・59。

 ごく普通の高校生。しかし実は●●の血を引いていて●●の条件が整うと覚醒し、眉の太さを倍にできる。

△行動原理

 基本的に動くのがめんどくさい。

 でも困ってる人はついつい助けちゃう。

 助けた結果面倒なことになったら、それはそれで愚痴る。

 人に話を遮られると怒る。

 ちょっとの無駄も気になって眠れない。


 こんな感じです。この最後の△行動原理ってのも重要で、これに沿ってプロットを読み直すと、おかしいことが起こってないかチェックできるんです。


 この流れは明らかに行動原理に反するよな?ってなのを見つけたら、その部分のプロットを直していきます。全体の流れを変えないために事件を一つ無理やりに挿入してみたり。


 すべての登場人物について行動原理とプロットの整合性をチェックするわけです。


 で作業を終えてみると、後は文章にするだけ、っていう状態になってます。こっからはひたすらキーボードのキートップ塗装を削る作業。


 あ、そうそう、単発ネタだと思ってたら長いシリーズになりそうだ、って時には■グランドプロットっていう項目を急遽足します。


 あとは、書いてる途中で思いついた後々使いたいフレーズを溜め込んどくファイルを一個。


 ってことで私的な執筆作法のお話でした。


つづく?

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