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宇宙人襲来

 個人的には、SFに宇宙人を出すのはフェアじゃない、と思っていますが。


 とは言え、宇宙人という存在を真面目に考えてみても良いのかな、と思ったので、そんな話。



 ここで言う宇宙人ってのは、地球ではない他の星で進化して知能を持つまでに発達した生命的な何かのことを言います。


 あやふやな言い方になっちゃってますが、地球で言う『生命』と全く同じ定義が適用できるかどうかもわからんようなものも、ここで語る宇宙人の枠内に取り込んでしまおうという欲張り設定です。



 宇宙人の形については、この際考えません。収斂進化がどうとか理論で人間と同じような形になってるんじゃね? 的な議論はどこででも見つけられるので、そういうのは、ぶっちゃけ、ググってください。いくらでも出てきます。


 それよりも、それをSFというお話に登場させるときの属性として、どんなものなら許容できるのか(私のSF脳が)、その辺を考えます。



 空飛ぶ円盤に乗ってくる。


 この辺は、まあ、いいかなあ。


 何らかの形で四つの力のうちのどれかを浮上に使ってるのであれば、あまり仕組みにこだわらなくても、「なんだかふわふわ浮いて移動できる乗り物」くらいなら乗っててもいいです。


 ヘリコプターも似たようなもんですし。



 謎のビームで攻撃してくる。


 謎ビームは、まあギリギリ、アリ。


 でも横から見て『ビームだ!』って分かるのはダメ。


 ビームの射線が横から見えちゃうってことは、照射されたビームが空気をプラズマ化とかして光ってる、とか説明はできます。


 でも普通に考えたら、それってビームの威力を無駄に散乱させてるわけだから、できるだけ避けると思います。


 ビームは横からは見えない、見えない光の筋が攻撃して突然爆発とかなら、現実味がありそうです。



 バリアで絶対防御。


 たとえばバリアが宇宙船を球状に包む、と設定すると。


 その表面に当たったものは、運動量をゼロにされるか反転されるかすることで、宇宙船に当たることを防がれるわけです。


 石つぶてだろうがミサイルだろうがレーザーだろうが、運動量をゼロにするバリア、ありえそうです。


 が。失われた運動量がどこかに行かなきゃなりません。


 バリアそのものは質量を持っていない場のようなものなのでしょうから、最終的に運動量を一手に受けるのは、実体、つまり、宇宙船になります。バリアの表面にミサイルが当たって爆発したら、その爆発の威力は全部宇宙船が受けます。


 ダメじゃん。バリアがあっても宇宙船壊れます。


 一つ可能性があるとすると、宇宙船の中にバリア発生装置があって、バリアが受けた運動量はすべてその発生装置にかかる、という設定。


 そして、その発生装置を、膨大な容量を持った緩衝材ダンパーの中に浮かべてある、そんな設定。


 だけどこれでも、ダンパーが吸収した運動量は最終的には宇宙船本体に伝わります。少し遅いだけで。宇宙船がありえないほど重い、とかいう設定でもない限り、ミサイル連続攻撃であっさり落とせます。




 逆に、仮の話として、核も何も効かないんだけど、地球で始めて晒される病原体には弱かったのです、ってのは。


 これも、ほとんどありえないはず。


 単純な毒、特に化学毒については、ある程度は効くと思います。単に化学構成を破壊する、というシンプルな意味で。


 でも、細菌感染となると怪しい。


 細菌は感染するとき、宿主の何らかの生体機構を利用します。


 たとえば、細胞壁を構成しているたんぱく質を選択的に溶かすような酵素を作って、中身を美味しく頂く、みたいな。無差別にたんぱく質を溶かすような酵素だと、自分も溶けちゃいますからね。標的だけを攻撃するよう、選択的な酵素を作るわけです。


 細菌感染が比較的選択的に起こるのはこういうわけです。


 そもそもたんぱく質がベースかどうかもわからん宇宙人には、効きそうもありません。たんぱく質がベースだったとしても、ほぼ無限にあるたんぱく質のパターンの中から偶然に一致している確率なんてゼロに等しいはずです。


 ウィルスが宇宙人に感染するなんてのは、もっとありえません。


 ウィルスは、RNAが単独で移動しているようなものです。


 ウィルス粒子が小さくて自然に入り込めるやつはまだしも、エンベロープのたんぱく質が宿主細胞をだまして細胞の中に入るタイプのやつは完全にアウト。


 次に、細胞核に近づいて、複製遺伝子をコードした部分を活性化しなくちゃならないし、自分をリボソームに読ませて必要なたんぱく質も作らせなきゃならない。


 宇宙人がリボソームを持ってるかとかって前に、遺伝情報をコードする方式が偶然に一致している可能性があるか、ってこと。


 ありえませんね。仮にたんぱく質ベースだったとしても、アミノ酸には他にもいろいろ引っ掛けるクチがありそうなので、リボ核酸でコードする必然性もありません。



 さて、そんなわけで、現実的な宇宙人像は、こんな感じ。


 知的な生命的なもの。わりと壊れやすい乗り物でやってきて、ビームくらいは撃つかも知れないけれど、ミサイルや爆弾で簡単に撃退可能。そもそも超長距離の旅行をするコストのことを考えたら船を危険に晒すリスクは避けるはずなので、できるだけこっそり隠れて地球を見てる。もちろん、無駄な重量にしかならない武器防具の類は持ってない。宇宙人そのものは、酸素が毒とかはありえるけれど、地球の微生物やウィルスは平気。もし資源でも求めて旅してるんなら、地球を見つけても「あの星めんどくさそうだからやめとこう」、他の星に向かいます。


 うん、やっぱり、地球に宇宙人は攻めて来ませんね。


 やっぱり私のSFには宇宙人は出てきそうにありません。


つづく?


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