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科学技術と『想い』

 ちょっと前に、「SFに技術を盛り込みすぎない」って話を書きました。


 最小限の新技術だけで新たな世界を妄想する。


 それが私のポリシーです。



 実のところ、私が今公開している小説、一番最初に書いた部分で、五つほど、新技術を導入してしまいました。


 そのうち四つは、本当に背景の小道具のつもりだったんです。


 本当に物語のキーを握るのは一つだけのつもりだったんです。



 ……結局、全部、最後の最後で物語の行く末を握る超重要キーになっちゃってました。


 やっぱり、そんな技術が生まれた背景、そんな形で浸透した背景、そんなのが気になって、バックストーリーが気になっちゃうんですよね。


 気になり始めちゃったら、将来的に執筆するかどうかは別にして、その誕生の物語を箇条書きレベルで書き起こしちゃう。


 つまり、ついついプロットを書いちゃうんです。



 すると。



 そのバックストーリーが、本編に影響を及ぼし始めるんです。


 最初は、あれとこれとそれが三つ巴でぐちゃぐちゃやって大変な事態になって、でもその一つの超技術の真の力がすべてを解決しちゃうぜ、みたいな話だったのが。


 その一つの超技術が、別の二つの技術を組み合わせた奇跡的な技術を生み出し、最後にはもう一つ、誰も気にさえしていなかったアレが実は、みたいなノリになってきちゃう。



 書いてるほうは楽しいんですけど、読者的には、あれ? あれ? って感じになっちゃいますよね、きっと。


 まあ、やっちゃったものはしょうがない。ので、それはそれでそのままです。



 まあ、この辺も、アシモフの影響ですね。ファウンデーションの流れとロボット帝国の流れ、ついでに言えば永遠人の流れ、全く別物だと思ったら最後の最後で「お前いたんかい!」的な、でも、やっぱりお前かー、みたいな納得感もあって。一応読んだこと無い人のために詳しくは書かないけど。あんなのを目指したくてついつい、技術一つ一つに重厚なストーリーを付け足したくなっちゃう。



 一つの技術を生み出すのには、とてつもないエネルギーが注ぎ込まれています。


 それはカロリー的な意味のエネルギーじゃなくて、人のエフォート的な意味でのエネルギー。



 実現したいという強い想い。


 実現を阻もうとするいろんな障害との闘い。



 そんな小さなストーリーが、すべての技術に詰め込まれています。



 私だって技術者の端くれとして、そんな経験をしてきました。



 最初は与えられた仕事。


 でも、知れば知るほど愛着が湧いて。


 それが実現したらどれだけいろんな世界が広がるだろう、と想像の翼を広げ。


 規格会議に乗り込んで実現に向けて何度もチャレンジして。


 でもようやくそれを達成したと思ったら、社としてその技術の導入は見送りました、なんていう寂しいオチが待っていて。


 標準化の達成という栄光から社での不採用という転落、このカタルシスだけでご飯一杯かきこめます(他人事だなあ)。


 逆に、しょーもないアイデアだなあ、と思いつつもノルマだからと書いた特許、退職してしばらくしてから「結構ライセンス料で儲けちゃったんでおすそ分け」なんつってが突然小金が振り込まれてて、なんていう逆のカタルシスもあったり。



 世間的には小さなドラマなんでしょうけど、私みたいな小さな個人にはとても大きな経験で、どんな技術にもきっとそんなストーリーがあるんだろうなあ、って思うと、背景的アイデアだからとないがしろにできないんです。



 それがもう私の性質なので、しょうがないですね。



 なんだか単なる自分語りになっちゃいました。


 ちょっとでも共感してくれる人がいたらうれしいなあ。


つづく?

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