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三人称のつかい方

 三人称は、簡単なんだけど難しいですね。


 誰が何をした、何を言った、淡々と客観的につづるだけならとても簡単です。


 本当に、ただ話の筋を読者に伝えたいだけならこれでもいいと思います。



 だけど、なぜ彼はここでこんな行動を選んだのか? とか。


 この風景は実際に彼らにはどう見えているのか? とか。


 そういうのは、単なる客観視点では伝えきれないですね。



 だから、そういうのを織り交ぜながら、となると、じゃあどこまで登場人物の精神にダイブするのか、とかの線引きが難しくなってしまいます。


 彼は○○と思った、彼は○○と感じた、という、主観視徹底除外の書き方もあるでしょうけど、これじゃ味も素っ気も無い。



 ってことで、私はある程度、視点を登場人物と外の間で行き来させるテクニックを研究中です。


 研究ってほど大層なものじゃないですけど。


 普通の客観説明の地の文の次の段落で、突然、主観を入れていく感じ。


 たとえば。


***


 丸男は角男に向けて振りかぶった拳を突き出した。


 痛っ。


 なんでこいつはいきなり殴るんだ?


 俺は殴られるようなことなんてしていない、ただ、『曲美ってかわいいよな』って言っただけじゃないか。


 気がつくと、角男の唇から鮮血が漏れている。


***


 ……って感じで。


 何かの行動や事件に対する情緒的反応をトリガーにして登場人物の主観にダイブ。それから、何事も無かったかのように神視点に戻る。


 テクニックとか大仰に書いちゃいましたが、こつを掴めば簡単です。


 とりあえず、私の持っている三人称一人称ハイブリッドテクニックは、これだけです(笑)。


 これと、節で区切れたタイミングで丸ごと人称を変えるくらい。これも、誰の主観なのか分かりやすい入り方ができる場面専用ですけど。



 こういうのを入れ込んでいけば、三人称でもそこそこに人物が生き生きとしてきます。……と思います。



 ということで、三人称では情緒的な表現が薄っぺらくなりがちではありますが、一方、いろんな場面を網羅的に書いていけるという利点もあります。


 むしろ、こういう場面があるからこそ三人称を採用せざるを得ない、ということもあります。



 私はプロットを書き終わるまで物語の人称を決めていません。


 でも、プロットの中でどうしても主人公のいない別場面での展開を書かなきゃならない局面が出てくることがあります。


 そうなると、もう、三人称を選択するしかないんですね。



 あるいは、場面ごとに主人公の異なる多重一人称とかですが、語り手がぴょんぴょん変わる一人称は、個人的に嫌いです。語り手錯誤トリックを使った小説ですごく嫌な読後感を覚えたことがあって、ああいうのややるまい、と個人的に決めています。好き嫌いの問題なので、他人がやる分にはどうでもいいんですけどね、自分では手を出さないと思います。



 極めれば万能選手になれそうな三人称ですが、プロでもない身の私には、一生極められそうにありませんね。


 三人称だと筆が進まない進まない。


つづく?



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