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 人称をどうするか?


 難しい問題ですね。



 世の中には、どうやら、一人称、二人称、三人称があるようです。



 この中で、二人称だけは、ちょっと毛色が違います。


 語り手と受け手があって初めて成立する人称ですので、「語り手を筆者、受け手を読者」としての二人称か? 「語り手を読者、受け手を主人公」としての二人称か? 「語り手を主人公、受け手を読者」としての二人称か? 「語り手を筆者、受け手を主人公」としての二人称か? いろんな解釈の幅があり、たぶん「これが二人称小説だ」と確定的に言えるものは無いと思います。いずれも、一人称か三人称と解釈できてしまうものです。



 ってことで、ここでの話題は、一人称と三人称に絞ります。



 まず、私がどちらが好きか、って話からはじめましょう。


 昔、SFよりはミステリーにはまっていた時代があります。


 はまっていたというか、小学生くらいの話なので、家に落ちていた、シャーロック・ホームズシリーズや江戸川乱歩などを読んでいたくらいなのですが。


 そのときに、強く印象に残ったことがあるんですね。


 なんか「江戸川乱歩はずるい」という印象。



 これは、ホームズはワトソンの一人称、乱歩はたいてい三人称だったから、ということに後に気付くわけですが。


 ホームズシリーズは基本的にワトソン視点で進みます。ワトソンが感じた通りのことが読者に伝えられ、ワトソンの知らないことは読者も知らない。


 主人公たるホームズが知るべきことは助手のワトソンもたいていは知ることになります。それでいて、ワトソン自身の不覚によって起こる錯誤や、ホームズがワトソンにも秘密で用意した奥の手に驚かされる、そういう構造なんです。


 一方、乱歩は、三人称。誰も見ていないところで起こっていることも書いてあったりします。


 問題は、誰も見ていないにもかかわらず「錯誤」が起こってることがあるんです。客観的事実を書いていると見せかけて、実はそれは「読者が見間違えた別の出来事」だったりするんです。後に不出来なぬいぐるみが霧のせいでそう見えていただけと分かるのですが、初出時は恐ろしい怪人が現れたと断定的に書いてある、そんなことがあるんです。


 これはずるい、と思ったものです。



 数年後。


 なんだか小説を書こう、と思ったときに、このときの印象が強く残っていました。


 三人称はずるい。


 そんなわけで、読者には、主人公の知るすべての情報を開示したいし、もし錯誤が起こるのであれば主人公と同じ錯誤を共有して欲しい。


 そんな意味も込めて、処女作は一人称でした。



 決して得意というわけではありませんが。


 とりあえず、一人称で書くのが好きですね。


 筆も進みます。



 最近は、三人称で一人称のエッセンスを入れる、という書き方に繰り返し挑戦中。地の文で突然人称が切り替わる、それをいかに上手くやるか、その辺のテクニックを研究中。


 同じ小説の中で両方使えると、表現の幅が広がっていいかなあ、というくらいの軽い気持ちなんですが。


 難しいですね。



 次回、一人称についてもう少し掘り下げてみたいです。予定は未定。


つづく?


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