書き出し考
物語の書き出しをどうするか。
プロットができたら、最初に悩むところですね。
まあ、適当に始めて、完結してから書き出しを考える、という方法論もあると思いますが、あくまで一般論として。
(あれ、今ちょっと良いこと書いたぞ、今度これでやってみよう)
私はそんなに多作ではないので、書き出しを考えた回数なんて高が知れていますが、やっぱり書き出しは難しいもの。
と言うか、いわゆる「よくある書き出し」を無意識に避けたくなっちゃうんですよね。
あまり例が無いような書き出しで読者を驚かせて話に引き込もう!
要するに「掴み」を書き出しに与えようとして、よくあるような書き出しをどうにかして避けられないか、と考えちゃう癖があります。
実際問題、書き出しの一文二文くらいで読者の心を掴めるんだったらこんなところで素人小説書いてないです(笑)。
そんな大それたことなんぞできないんだから謙虚に身の丈にあった書き出しを考えましょう。
とは思うんですけどね、やっぱり、拡大した自意識を押さえ込むのは容易ではないです。
さて、ぐだぐだ書くのもめんどくさいので、いくつかの書き出しパターンを並べておこうと思います。後々の引き出しも兼ねて。
●真夏のある日、一人の男が芝生に寝そべっている
時代、場所、季節、風景、登場人物などをシンプルに説明しきっちゃう書き出し。
なんとなく陳腐な感じになっちゃいますが、効率的でもあります。
小説的、なんて定義するとトートロジーになっちゃうので、論文的、とでも表現しておきます。
もちろん、私が書くものはほとんどがこれです(笑)。
●べとつくようなセミの声をものともせず鮮やかな緑をたたえる芝生に小さな木陰が落ちている
凝った情景描写から入る書き出し。雪国タイプとか呼びたくなっちゃう。
自己満足感はとても高いんですが、読者的にはいきなり敷居を上げられたように感じる気がします。
映画的な手法かもしれないですね。
先にシーンを作って、そこに登場人物と出来事を配置していく感じ。
その時、シーンをさらりと思い浮かべてもらうのにどんな表現を使うか? 結構頭を使いますが、その割に作品の面白さへの寄与は小さい気がします。
●○○は起き上がり視野に飛び込んだ光景に我が目を疑った
人物の行動から入るタイプですね。情景とか抜きに。
いろいろ見てると、これが一番多いんじゃないかなあ、と思います。
だからこそ無意識に避けちゃうところはあるんですが、登場人物への感情移入という観点では一番これが良いんじゃないかなあ。
●「そんなはずは……ない」
はい、いきなり台詞からです。これも便利。
いわゆるライトノベル的な小説ではこれが多いんじゃないでしょうか。
誰かが発言した内容だ、ということなので、シンプルであり人物も出るので無機質でもなく発言内容で情景説明も可能だし口調などでその性格の説明も兼ねる、結構万能な書き出しだと思うんですが。
多用されすぎって気もするので、私の書くものではあまり採用されてないです。
なんとなく、絵で情景や行動の説明を省略して書き文字が台詞だけな漫画から輸入された手法っぽいので、漫画的、とでも定義しておきます。
●私は○○、△△だ
一人称用の万能書き出し。これを使うのは最後の手段にしておきたい(笑)。
もちろん△△にすごいことが書いてあったらそれはそれで面白そうですけど。
台詞書き出しにちょっと通ずるものがあります。
●ドカーン!
うわあ(笑)。
これも最終手段以下にしておきたいですけどねえ。
コメディなら割とありかもしれない。
●これは○○が××する物語である
ごめん、ふざけすぎた。
今のところ思いつくのはこんなところですが、まあ、あまり書き出しに凝ってもしょうがないよ、というのが実際のところですかねえ。
最初は適当に書いて、書き終わってから見直すのが一番かもしんない。
つづく?




