読む、速く
皆さんはどのくらいの速さで読みますか?
私は結構遅い方だと思います。
文庫本サイズで一ページに二~三分はかけちゃうと思います。
速読的なことはできなくも無いですが、後で思い返すと全然頭に残って無いですね。
なので、よし続きを読もう、と思って開いて、あ、ちょっと思い出せないから何ページか前を見てみよう……とさかのぼった結果、前回の読み始めまで戻ってたりします。
速く読めたほうが、たくさん読めるから有利だとは思うんですけど、こればっかりは能力の差でしょうかね。
小説を読むとなると、普通の単行本一冊に、最低一週間はかかります。
読む時間が通勤中くらいしか無い、ってのに加えて、集中力が続かないです、最近。
なので、たぶんたっぷり時間があっても同じくらいのペースになると思います。
一日に何冊も読むなんて話を聞くと、かなり驚いてしまう感じ。
読む速度を計るWEBサイトとかあるじゃないですか、あれだと、毎分二千文字位のスコアは出るんですよ。
でも、ちゃんとしたお話を読むと、その十分の一くらいに落ちちゃう。
いちいち、情景を作って、登場人物のせりふとかもきっちり正しい速度で脳内再生していたりするからなんでしょうね。
『ハリスはいつもの手順ですばやくダイヤルロックを破り金庫内の小袋に手をかけた』
とか書いてあると、読むだけなら五秒ですよね。
でも、なんとなく、秘密の手順でキリキリとダイヤルを回して慎重に錠を開けていき、解けた錠を前に一息ついておもむろに扉を開き、目的の小袋にゆっくりと満足げに手を伸ばしていく、そんな情景を勝手に再生してしまう。
なんてことが結構多くて。
速く読みたいなら本当に目を滑らせていくだけでいいんでしょうけど、やっぱりどうしてもお話や登場人物の動き、せりふを楽しみたいと思っちゃうんですね。
我ながら、本の値段当たりの楽しみ量は結構多い方だと思います(笑)。
逆に、一つのことをくどい表現で繰り返したり、日常的に使わない言葉遣いや普通の人は一生に何度も目にかからないような物事を使って比喩してあるような文章は、苦手ですね、同じ理由で。
情景を想像できなくなっちゃう。
話の筋や流れや登場人物の言葉や行動、ストーリーと世界、そんなものを純粋に楽しみたいだけなのに、そこに余計な要素が入ってくる。
『ノーラはその白磁器のごとき肌に覆われピンクスピネルの輝きを持つ爪で彩られた四指に座する一そろいの鍵束を、凱風に舞うアッツ桜の花弁のようにふわりと宙に躍らせた』
ただ鍵束を放り出したってだけのことにこんなくどい表現を使われたら、話の筋についていけなくなります。
なので、余計な表現の多い、いわゆる「文学作品」は苦手。
翻訳のときにほとんど無駄な表現が消えてしまう海外SFとか、いわゆるラノベとか、そういうのが、やっぱり好みになってしまいますね。
読む速さと言うより、読み方のスタイル、という感じの話になってしまいましたが。
私が書くものも私の読むスタイルに合わせてあるので、ちょっと淡白すぎるかもです。
趣味の合う方の手にとってもらえれば。
つづく?




