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SF技術と世界観

 どんな風に世界観を作るか。


 私の書くSFはたいてい未来世界なのですが。


 登場する新技術は最低限に抑えたい、というのが私のポリシーなんです。



 SFっていうと、なんだか、あれもこれもってついつい盛り込みたくなっちゃう。


 一瞬で知識を脳に書き込める学習装置とか空を飛べるジェットカーとか光線銃とか空中都市とか。


 案外、本筋と関係の無いものも多いんです、大御所と呼ばれる作家の作品でも。


 たとえば、空中都市を舞台としたジェットカーによるカーチェイスなんて話があったとしても。


 別に、普通のハイウェイでガソリン車でカーチェイスしててもいいですよね。


 そういう描写って、SFとしての話の本筋とは無関係に見えるんです、私には。



 世界を描くとき、そういう筋と関係の無いものをいっぱい書きたくなる気持ちは、分からないでもないんです。


 せっかく未来世界を書いてるんで。


 未来すげー!


 ってのを書きたくなるんですよね。



 その一方で、そういうのがいろいろ出てきた挙句に、話を読み終わってみると、「あれ? あの時あの男が手に持っていた武器は光線銃じゃなくて普通の拳銃でもよくね?」って思っちゃうこともあります。


 手に持っていたのが光線銃であることに、筋や世界の裏打ちのための意味があるのかどうか。


 こういうのって重要だと思うんです。



 手に持っていた武器が光線銃である必然性。


 たとえば、一般に出回る武器として光線銃が元も安価(経済的)である、という理由を付けてみましょう。


 なぜ光線銃が安価なのか。


 光線銃の仕組みを考えて見ます。光線銃の発射には、レーザー励起子が必要で、それは百万回の発射に耐えるのに原価は百円相当しかかからないのです。「弾」となるエネルギー(電力)は、高密度カプセル化技術が発達していて、液体として持ち歩くことができます。ゆえに、「弾」も安価にカートリッジとして電力を持ち歩ける。


 一方、火薬原料は低コストで産出されるものはほとんど掘り尽くされていて、もはや高コストなぜいたく品でしかないのです。


 こんな理由で光線銃が通常武器になっているのだとすると、話の本筋に「火薬が貴重品」とか「液体化電力」なんていうものを絡ませたくなってきますね。


 火薬が貴重なので戦争で高性能爆薬を使いにくい、単純な仕組みで電力を破壊力に変えることも難しい、単純な対物破壊は困難で、歩兵戦が戦争解決のメインの手段になってる、なんていう世界を妄想できますし。


 貴重な火薬を贅沢に使う花火大会は極めて珍しいイベントで、結果、花火師も仕事を失って世界に数人しかいない、そんな花火師が持つ火薬のノウハウを巡る陰謀がどうとか。


 液体化電力は船やパイプラインで運べる、となれば、電力そのものをもっと低コストで輸出入することが当たり前の世界になって、資源生産国=電力生産国となって資源国と消費国の格差がさらに広がった世界が、とか。


 ちょっとした小道具に背景を与えると、実はそれ自体がお話を生んでしまうんですよ。


 意味も無く「未来すげー!」をやるために小道具を出すと、その背景の物語が気になっちゃう。


 小道具が勝手に世界観を書き換え始めちゃう。


 ついつい踏み込んじゃう。


 私はそんな「たち」なんですね。



 なので、私は、付け加える技術を最小限にするんです。


 単なるポリシーというより、予防措置。


 話を妙な方向に膨らませるのを予防するための、自主規制。


 なので、いくつかの新技術を除くと、私のSFはとても退屈に見えるかもしれません。


 そこは、私の力量の無さってことで、一つご勘弁を。


つづく?

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