カタルシスを作ろう
せっかく読み物を書くのなら、カタルシスのある話を書きたいものです。
でもカタルシスって何だろう。
辞書によれば、抑圧からの開放、らしいです。
何かでとても困っている主人公が、最後にその問題を解決する爽快感、みたいなものですね。
バトルモノで言うなら。
どんどんいろんな戦いに臨んで(あるいは巻き込まれて)、敵もどんどん強くなって。
最後にどうしても勝てない強敵が出てきたとき。
滅多打ちにされて、主人公も読者も、強いストレスを感じるような状態に追い込んでおいてから。
突然の転換で最強の敵を打ち破る。
たとえば、実は主人公は闇の魔王の血を引く者で眠っていた力が覚醒しました、とかね。
さて。
カタルシスを作るときに、ちょっとした問題があります。
「抑圧状態」をどう作るか、ってことです。
読者がカタルシスを感じるためには、読者にも抑圧状態を経験してもらわなければなりません。
登場人物だけが「うわー抑圧だー困ったなー」って言ってるだけじゃダメなんですよね。
読者を抑圧状態に追い込むには、簡単に言えば、いろんな逃げ道を一つ一つ塞いで見せなきゃならないんですね。
これって書くほうもストレスですけど、読むほうもストレスです。
いや、ストレスを与えたいからそうしてるんですけど。
でも、ストレスが強すぎると、嫌になって読むのやめちゃうかもしれないじゃないですか。
とくにWEBメディアでやってると、「そっ閉じ」ができちゃうから。
カタルシスに追い込むためのストレスが、ブラウザの閉じるボタンに読者を追い込む。
読者はいいんです。お話の中のストレスを、ブラウザを閉じるという形で解消し、カタルシスを感じるので。
でも書く側としてはたまらないですよね。せっかく用意したオチを披露できないんですから。
とすると、抑圧状態は長すぎないほうがいいのかもしれない。
んですけど、それだと、主人公の置かれた抑圧状態に対する共感が少なくなって、さっぱりとしたカタルシスを感じない。
ジレンマですね。
なんか、「カタルシスまであと○○文字なのでがんばって!」とか脚注を付けたくなります(笑)。
ところで、カタルシスは無くちゃだめなのかな?
そんなことは無いと思います。
カタルシスってヤマとオチの落差が生むものだと思います。
盛り上がり=ヤマ(主人公ピンチ、どうなってしまうのか)から種明かし=オチ(主人公覚醒)の落差が、カタルシスですからね。
だから、「常にヤマ」っていう話は、言ってみれば原理的にカタルシスは無いはず。
なんでしょうけど、それはそれで案外、楽しく読める。
主人公チートもので最初っから最後まで相手を圧倒するような話って結構多いですもんね。
まあそういうものでも、最強の主人公を仲間のところから切り離して、仲間を抑圧しておいてから最強主人公が颯爽と解決、っていう手法が取れますね。っていうか、最強主人公モノってこの手法がメインなのかな?
でもそうじゃなくても、主人公がひたすら圧勝する物語でも結構面白いものです。ストレス無く悪いやつらをばっさばっさとやるのは、それはそれで爽快です。
ともかく、カタルシスにこだわらなくても楽しめる作品は書けるってことです。
私にその技量が無いだけで。
つづく?