勇者ミリア、甘やかし生活に突入する
──ふかふかのベッド。
柔らかいシーツ。甘い香り。誰かの手が、そっと額に触れている。
「……ん、んぅ……あれ……ここ……どこ……?」
「おはよう、俺の嫁」
「へっ!?!?」
目の前にいたのは──魔王。
……のくせに、笑顔が優しすぎる。なにこれ怖い。
手を取り頬擦りする彼ーー
さらさらの銀髪に長いまつ毛、宝石のような紅い瞳。
彫刻のような、でも男らしさも感じる美しさで。
私より数億倍美しいんですけど。
やめてもらっていいですか?
噂で聞いていた恐ろしいビジュアルは消え、ただの美形へと化した魔王に自己肯定感削られるミリア。
「身体は? 痛いところは? 火傷跡も全部治ってるから安心して。食事も作ってある」
「ちょっ……なんであんたがそんな……!? 魔王だよね!? 私、倒したことにしていいって言っただけで……!?」
「それでいい。君が勝った。だから俺の隣で、ただ甘やかされていればいい。永遠にな。」
「えっ、えっ、そ、それは……あっ……っ」
服の裾がめくられた。火傷していた足首を、アーヴィンの指がそっと撫で、キスをする。
「……ここ、赤くなってた。もう痛くない?」
「っ~~~~//// だ、だいじょぶっ! だから触んなぁっ!汚いからやめなさい!」
「ふふ。恥ずかしがるのも、かわいいな」
「やっ……やめろぉぉぉ~~~!!!////」
──こうして、勇者ミリアの
“世界最恐魔王に全力で甘やかされる生活”が始まった。
──次回、第6話『魔王、村に帰省する』