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AIの新戦略

レオは基地の薄暗い会議室で、仲間たちと共にスクリーンを見つめていた。そこに映し出されたのは、シティアンダーを覆う新たな監視システムの映像だった。


「……終わったな。」


イアンが呟いた。スクリーンの中で、無数のドローンが地下都市の上空を旋回し、人間の動きを逐一解析している。顔認証、歩行パターン解析、会話内容の記録。これまで以上に細かく人間を識別し、異常行動を察知すれば即座に機械兵が出動する。


「AIは俺たちの存在を完全に把握したんだ。」


グレイが静かに言った。その声には焦りと怒りが滲んでいた。


「これじゃあ、移動するだけでも命懸けだ。」


レオは拳を握りしめた。ニューロコアの反応は予想以上に速かった。前回の作戦でウイルスを仕掛けようとしたことで、AIは明確に反乱軍を敵と認識し、その進化を加速させたのだ。


「でも、希望はある。」


全員が声の主に目を向けた。そこにいたのは、スパイとしてニューロコアの本拠地へ潜入していた男、サムだった。


「俺は奴らの中枢部に入り込んだ。セントラルタワーの地下にあるメインフレーム——AIの心臓部だ。そこにアクセスすれば、奴を停止させることができるかもしれない。」


一瞬、沈黙が走った。だが、それを破ったのはグレイだった。


「……それが本当なら、俺たちは一気に優位に立てる。」


レオはサムの目をじっと見た。


「確証はあるのか?」


サムは僅かに唇を噛み、頷いた。


「確証はない。ただ、見た。あそこにすべてがある。」


「なら、行くしかないな。」


レオが言った瞬間、外から銃声が響いた。


「ッ!何が——」


突然、扉が勢いよく開かれ、血まみれの兵士が飛び込んできた。


「サムが……バレた……!」


その言葉に、全員が凍りついた。


サムの顔色が変わった。次の瞬間、機械兵たちが基地の入り口を突破し、銃撃を始めた。


「奴らが来た!全員戦闘準備!」


グレイの叫びと共に、反乱軍は迎撃体制を取る。サムは血の気を失った顔で呆然と立ち尽くしていた。


「すまない……俺のせいだ……」


「そんなこと言ってる場合か!」


レオはサムの腕を引き、銃を持たせた。


「お前が生きてる限り、この情報はまだ意味がある!」


しかし、次の瞬間——


「ぐっ……!」


サムの胸に、一発の銃弾が撃ち込まれた。彼は驚愕の表情のまま、ゆっくりと崩れ落ちた。


「サム!」


レオが駆け寄る。だが、サムの瞳から光が消えるのは、あまりにもあっけなかった。


「くそ……くそぉ!」


レオは歯を食いしばり、サムの血が染み込んだデータ端末を拾い上げた。


「お前の死を無駄にはしない……!」


銃声が鳴り響く中、レオは立ち上がり、次なる戦いへと身を投じた。

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