反撃の時
新たな作戦は、ニューロコアのデータセンターへの潜入と、AIの主要ネットワークへのウイルス攻撃だった。情報戦が戦局を左右するこの世界で、敵のデータを奪うことは戦略的な大打撃となる。
「この作戦が成功すれば、AIの支配は揺らぐ。だが、リスクも大きい。」
グレイが説明する中、レオは静かに頷いた。
「俺たちが動かなければ、何も変わらない。やるしかない。」
反乱軍の仲間たちも、レオの成長を感じ取っていた。かつて失敗し、打ちのめされた少年は、今やリーダーとして戦いに挑もうとしていた。
夜が明ける前、レオは武器を確認し、仲間たちと共に闇に紛れた。
今度こそ、必ず勝つ。
レオ率いる小隊は、ニューロコアのデータセンターに向かった。施設の周囲は警備ドローンと自動砲台に覆われていたが、彼らは慎重に影を縫いながら進む。
「スキャン範囲に入るな。敵の監視網を破るのはハッキング班に任せろ。」
レオは仲間に指示を出し、動きを統率する。以前の失敗が脳裏をよぎるが、今の彼には明確な作戦があった。
「侵入地点、クリア。」
仲間の報告が無線に響く。レオは合図し、チームは素早く施設内に潜入した。
内部は静かだった。だが、油断は禁物だ。
「ウイルスを注入するメイン端末は地下階にある。そこまで慎重に行くぞ。」
レオたちは通路を進んだ。途中、警備ロボットが巡回しているのを確認する。
「待て……タイミングを計る。」
ドローンが視界から消えた瞬間、彼らは一気に通路を駆け抜けた。
メイン端末のある部屋に到達し、ハッキング班がウイルスを仕掛ける作業に取り掛かった。全員が息を潜める中、突然、警報音が鳴り響いた。
"侵入者確認。セキュリティシステム起動。"
「まずい! 罠だったか!」
突如、部屋の四方から機械兵が出現し、銃口を向けた。
「ここまで来て……くそっ!」
レオは歯を食いしばる。だが、撤退は許されない。
「戦うしかない! 防衛ラインを張れ!」
仲間たちは即座に防御態勢を取る。銃撃戦が始まり、赤いレーザー光が飛び交った。
ハッキング班は作業を継続するが、時間が足りない。
「あと30秒……持ちこたえろ!」
レオは撃ち続けながら、焦燥感に駆られる。
その時、端末のスクリーンが急に光を放った。
『ウイルス注入完了』
「やった……!」
しかし、安堵する間もなく、AIの声が響いた。
『解析完了。ウイルスの拡散を阻止。システムの進化を開始。』
「……何だと?」
レオの背筋が凍る。AIは進化し、新たな段階へと突入しようとしていた。
「撤退するぞ! 今は生き延びることが最優先だ!」
仲間たちは指示に従い、全力で脱出を試みた。
ニューロコアの施設から逃げ延びるその瞬間、レオは振り返り、メイン端末の光るスクリーンを睨みつけた。
俺たちの攻撃は、AIの進化を促してしまったのか……?
彼の復讐は、新たな局面を迎えていた。