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第96話 覇天の状況

 この物語はフィクションです。

 登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。

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 第96話 覇天の状況

 ■■■■■■■■■■


 襲撃されると分かっていれば、対処はそれほど難しいわけではない。

 何せシュザンナ隊長はランクAのレベル二百七十、他の神殿騎士の二人もパーシナさんがランクBでレベル二百六十二、メティーナさんがランクBでレベル二六一だ。

 それにベンとシャーミーはランクAで共にレベルは二百九十を超えている。


 シュザンナ隊長たち神殿騎士は外で警戒し、俺たちはコンテナの中で待機している。

 そんな俺はベッドに腰かけ、地形把握で周辺を確認している。姿を消した二人はかなり姿が薄く見える。そういったスキルを持っていて、暗殺者としての腕は間違いなくいいのだと思える。


「きた。姿を消している二人が動いた」

「おう、いってくるぜ」

「気をつけろよ」

「任せろって!」


 ベンがフル装備でコンテナを出る。

 それが敵が迫っている合図だ。

 シュザンナ隊長たち神殿騎士が目で合図をし合う。


「おいっちにっさんしっ」


 ベンがラジオ体操を始めた。俺が教えたものだが、意外にも気に入っているようだ。


「暗殺者の二人が気配を消しながら、壁際を進んできている」

「それじゃあ、いってくるわ」

「ああ、頼んだ」


 シャーミーがコンテナから出たら、敵は近いという合図だ。


「さて、俺もいくか」


 変換・レベル三で覚えた転移で二人の暗殺者の後方に移動。俺が現れたことにまだ気づいていない。

 変換・レベル五で覚えた能力で、二人のランクを一気にFランクまで下げる。さきほど地形把握を通してランクを下げようとしたが、出来なかったので転移してから下げた。


 二人の元のランクはBとCだから合わせて七ランク下げたが、消費マナは五万二千五百で済んだ。

 これまでランクを一つ下げるのに、一万五千ポイントのマナを消費するため、七ランクだと十万五千と思っていたら半分で済んで驚いた。

 どうやらレベルが三百になって、消費マナが半減したようだ。


 同様に転移も消費マナが半減しているようだ。

 転移もかなり消費マナが多かったので、消費マナの低減は本当に嬉しくてありがたい。


 二人はその場に倒れるように膝をついた。額から大粒の汗を流している。


「なっ!? おい、姿が見えているぞ!」

「お前こそ!?」


 俺は転移でコンテナに戻って、さらに外に出た。

 あの二人はこの後、このダンジョンから生きて出ることはできないだろう。もし生きて出られたら、運がよかったと思って以後悪いことはしないことだ。


「シュザンナ隊長、制圧を」

「はっ!」


 神殿騎士のシュザンナ隊長、パーシナさん、メティーナさん、さらにベンが武器を手に、覇天たちへと迫る。


「敵襲だ! アシュテントが攻めてきたぞ!」(覇天A)

「黙れ、この邪教徒が!」(シュザンナ隊長)

「アシュテントめ!?」(覇天B)

「邪教徒死すべし!」(パーシナ)

「アシュテントなどに!?」(覇天C)

「天誅!」(メティーナ)

「貴様らーっ!」(覇天D)

「おせーんだよ!」(ベン)

「「「「ギャーッ」」」」(覇天×4)


 覇天は一分もせずに無力化された。

 四人は装備を剥ぎ取られ、縄で縛られた。

 ビシュノウのように口の中に毒を隠し持っていたので、四人とも奥歯を回収している。


「お前たち、またトーマ様を襲うつもりだったな!?」

「なんのことか」

「お前たちが覇天だということはすでに分かっている。あとの二人はトーマ様自ら天罰を下されたぞ」

「黙れ、邪教徒め!」

「お前たちが言うな!」


 パーシナさんが覇天の一人を殴った。

 上下の前歯が折れた。ちょっとマヌケな顔になったが、笑うところではない。グッと我慢する。

 しかし、前歯がないと食事が大変だろうな。もっとも、これまでやってきたことをこいつらは身をもって味わうことになるのだけど。


 ダンジョン内に覇天の悲鳴が響く。

 拷問はいかに心を殺すかだ。それは俺がよく知っている。心を殺すのは、拳だけではない。言葉でも殺せるのだ。


 俺はあることを試してみようと思った。

 変換・レベル四で手に入れた、事象変換! 覇天たちの心に大きな傷をつけることができるのではないか、と。


「な、なんだ!?」

「痛くないですからね。ちょっと心を殺すだけですから。フフフ」

「な、なななななな……」


 お、成功のようだ。覇天の目から光が消えた。


「俺を狙ったのはなんでだ? まだカトリアス派は俺を狙っているのか?」

「はい……アーサー総大主教様……ご命令……」

「おい黙れ! 懲罰ものだぞ!」

「黙るのはお前だ!」


 黙れと言った男がベンに物理的に黙らされた。口は禍の門と言うからな。


 その後の尋問で分かったが、カトリアス派三総大主教がそれぞれ覇天を動かしているが、すでに他の覇天はバイエルライン公爵家の暗部と神殿騎士によって壊滅させられているらしい。

 暗部も神殿騎士もデウロ様の使徒なら、ランクを上げている。それだけで戦力を大幅に強化できるのだ。

 この国で活動していた覇天の生き残りが、今回の六人だった。六人は最後のチャンスと思って、俺たちがダンジョンに入ったのを追ってきたのだとか。


「カトリアス聖王国に残っている覇天は、どのくらいいるんだ?」

「覇天の……全容は……所属員にも……不明……でも……残りは……少ない」

「シュザンナ隊長。今の話、どう思いますか」

「ほとんど残っていないというのは、本当のことでしょう。神殿でもかなり力を入れて覇天を始末しておりますので」


 この国にいた覇天はこれで壊滅。本国(カトリアス聖王国)の覇天もかなり数を減らしている。ただ、他の国に派遣している覇天はまだ残っている。これが現状らしい。


 この男が知らないだけで、本国には結構残っているんじゃないの?

 もし、この話が本当なら、カトリアス聖王国の三総大主教は莫迦だ。これでは自国の情報網だってガタガタになってしまったと気づかないのか?


 一応、お爺様にカトリアス聖王国の情報網がズタズタの可能性があると伝えないといけないな。



ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


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デウロ様の力すげぇ レベルが上がるごとに、使い方が洗練されていくごとにチートが加速していくぜ 流石、唯一神!よっ、創世神! たぶん弱体化しまくってるから扱いが難しいだけで、本来はほぼ全知全能なんで…
おはようございます! 楽しく読ませてもらって、ようやくここまで追いつきました。 それで、プリンは焼き菓子です!!! (たぶんいっぱい書かれてるでしょうけど) ★×5入れておきますので、インスタントじゃ…
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