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第51話 発展するアシュード領

 この物語はフィクションです。

 登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。

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 第51話 発展するアシュード領

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 アシュード領では各種酒の出荷や、集光ランプの出荷などで賑わっていた。

 ここ最近は特に神殿関係の商人も多く出入りしていて、本当に人が多い。

 アシュード領の発展は目覚ましい。領主屋敷があるエリアだけでは受け入れることができず、少し北側の平地に商店や宿、歓楽街の村が出来てしまった。

 あそこは地面が岩盤だから、農業には向かないから丁度よかったのかもしれない。

 お父様はそこに湊を造っており、ライバー川の物流を促進させている。その工事に僕を襲ったライトスター侯爵家の兵士を使っていた。五体満足な四人を奴隷にして、強制労働させているのだ。

 もちろん、それだけじゃ数が足りないから、職を求めてアシュード領にやってきた人たちも使って工事を進めている。

 湊が完成すれば、物流がもっと盛んになることだろう。


 俺はベンとシャーミー、そして三人の神殿騎士でダンジョンに入った。最近は忙しくてあまりダンジョンに入れていなかったので、ここからペースを上げてレベル上げをしようと思う。

「おいっちに、さんしっ、うっし、やってやるぜ!」

 ベンがラジオ体操で体をほぐして気合を入れた。ラジオ体操は俺が教えたものだけど、ベンは気に入っているようだ。

「久しぶりだから、ちょっと緊張するわ」

 シャーミーも体をほぐしている。体、柔らかいね……。

 二人も今では一人前の探索者だ。これまでの探索で得たモンスターの素材を売って得たお金で、装備を買い揃えている。

 ベンは鉄の盾とモーニングスター、全身を鉄製の鎧で覆っている。剛腕の籠手もちゃんと使っている。

 シャーミーは彼女の背丈ほどある杖と鉄で補強した革の胸当、ヘッドギア、籠手、ブーツ、そして魔法使いらしい白いマントを着ている。白いマントが光の魔術師のシャーミーにぴったりだ。

 俺も装備を一新した。俺の場合はお爺様が用意してくれたものだ。なんか光っているんですけど……。

 ヘッドギア、胸当、籠手、脛当、そして剣。全てミスリル製だ。白銀色の装備に少し引いている。

 それと弓も新しくなっており、雷樹の弓という大層な名前がついている。これは魔道具で、弦も矢もない。弦を引く動作をすると、矢が現れるんだ。

 これらはとても高額な装備だと思うけど、お爺様がどうしても使ってくれと言うので使っている。最初断ったら、とても悲しそうな目をするもんだから、使うしかないよね……。

「何度見てもお前の装備、派手だな」

「私より光の魔術師みたいよ」

「勘弁してよ……」

 ダンジョンの中でも光っているから、隠密行動には向いていない装備だ。

「まあ、周囲が明るくていいんじゃないか?」

「アハハハ。それもそうね」

「いや、目立つのはよくないんだけど……」

 一番最初に見つかり、ターゲットにされるじゃないか。

 一層と二層はスライムを狩る子供たちで溢れていた。そのおかげでスライムどころかロングラビットさえ一匹も見当たらない。

 ロングラビットも肉が得られるし、皮も使えるから子供にはいいお金になるんだ。うちの村の少年少女は逞しいよ、本当に。人のことは言えないけど。

 足早に進み、何度かモンスターと戦って五層へと入った。階段を下りたところで、休憩している領軍の兵士たちに会った。階段の付近はモンスターが寄ってこないので、安全地帯になっているんだ。

「坊ちゃんも探索ですか」

「はい。皆さんは帰りですか?」

「はい。俺たちは八層から帰ってきたところです」

 ロックスフォール騎士爵家の領軍は三十人だったけど、今は六十人ほどになっている。俺が言うのもあれだけど、精鋭揃いの軍だ。

 増員された新兵の、比較的レベルが低い兵士がダンジョンでレベル上げを兼ねて戦闘訓練をしている。

 それに、領兵が探索することで、ダンジョン内での犯罪抑止になるらしい。ダンジョンの中の犯罪はなかなか立証が難しいため、性質の悪い探索者が他の探索者を襲うこともあるのだ。

 うちのアシュード・ダンジョンではそういった犯罪はまだ行われていないが、できればずっと起こらないでほしいと思う。

「五層はまだいいですが、六層はモンスターが一気に強くなりますし、罠もありますから気をつけてくださいね」

「「「分かりました!」」」

 俺たちも休憩してから五層の探索を開始した。

「リトルバッファローだ」

 通路の先にウシ型のモンスターがいた。すでにこっちを認識しており、やる気満々で地面を蹴っている。

 ダダダッと地面を踏み鳴らして突進してくる。前世のウシほど大きくはない、ポニーくらいの大きさだけど、立派な角がある。あの角で刺されたら痛そうだ。

「光の大神ライトルイド様に祈りを捧げます。ライトジャベリン!」

 シャーミーのライトジャベリンを左肩に受けたリトルバッファローは、少し速度が落ちた。

「うおおおっ!」

「ブモォォォッ!」

 ベンとリトルバッファローが激突した。金属同士がぶつかり合うような甲高い音が通路に響く。

 ベンはリトルバッファローの突進を盾で受け止めた。シャーミーの攻撃で速度が落ちていたのがよかったようで、押し負けることはなかった。

 ベンと力比べしているリトルバッファローの横腹が見えた。弓を構え、弦を引く動作をすると矢が現れた。

「いけ!」

 風を裂き飛翔する矢がリトルバッファローの腹部を抉った。

「ブモォォォッ」

 腹部に深々と矢が刺さり、リトルバッファローが痛みによって悲鳴をあげ、後ろ足立ちになった。

「折れろやっ!」

 ベンはモーニングスターを右前足に叩きつけた。胴体は太いが、足は比較的細い。その足がベキッと音を立てて折れた。

「光の大神ライトルイド様に祈りを捧げます。ライトジャベリン!」

 姿勢を崩して倒れそうになったリトルバッファローの首筋に、ライトジャベリンが刺さった。これがとどめになった、リトルバッファローは倒れた。

「よっしゃー、肉だ!」

 ベンはよく食べるからな、ハハハ。

 こんな感じで八歳の年は暮れていった。



ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


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『ブックマーク』『いいね』『評価』『レビュー』をよろしくです。



トーマは本話で完結です。

明日からトーマIIをお楽しみください。



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