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第4話 理不尽

 この物語はフィクションです。

 登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。

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 第4話 理不尽

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 最後に俺が管理者の前に立つ。俺以外の全員が加護をさずかり、ステータスが見られるようになっている。

 これまでの観察で、管理者がランクに異様に反応していることが分かった。おそらく、ステータスの各項目の中でランクが一番重要なんだと思う。できれば『B』ランクくらいがもらえると嬉しい。

「あなたで最後ね……ん?」

 管理者が俺の左手の甲を触ったら、戸惑った顔をした。嫌な予感がする。こういった時の予感はよく当たるんだ。そんな能力要らないのに……。

「おかしいわね。あなた、なんでここにいるの?」

「……あの、言っている意味が分かりません」

 俺が自分の意志でここにいるわけじゃないのに、そんなこと言われても困るんですけど。

「なんでリストにない子がここにいるのよ?」

 それは俺が聞きたいんですが? これは絶対あかんヤツだ。こればかりはハズレてほしいが、多分無理だろう。

 管理者がホログラムを立ち上げ、それを見て目をカッと見開いた。

「……この子、まだ生きていたようね」

 今、なんか不穏な言葉を聞いたような? 俺はまだ生きていたの?

「おかしいわ! 私が連れてきた子たちは、全員死んでいるはずよ!」

 いきなり取り乱し始めた。情緒不安定もいいところだ。

 俺が生きていたら、何かマズいのだろうか? 元の世界に戻すだけじゃないのか?

「ファストクラウドの神とは死んだ者の魂だけってことで許可を得たのに、生きた者を連れてきたら何を言われるか……」

 ブツブツ言いながら俺を睨むのは止めてほしい。それはともかく、しっかり聞こえてますよ。

 そういった経緯があるから、慌てているわけだ。

「あー、もう!」

 ヒステリックに叫ぶ管理者は、かなりテンパッているようだ。

「よし、廃棄するわ!」

 おい、管理者!?

「そんなことして、ファストクラウドの神に知られたら言いわけできないと思いますよ? 素直に謝ったらどうですか?」

 俺は理性的に解決を提案してみたが、管理者の俺を睨む目が怪しく揺れる。

「そんなこと言えるわけないじゃない! この管理者たるティライアがなんでまた頭を下げなければいけないのよ!? 鬱陶しいったらありゃしないんだから!」

 何言ってんの、謝っちまいなよ、You! てか、マジで間違ったお前が悪いんだから、素直に謝れよ!

「もう決めたのよ! お前は廃棄よ!」

 やっぱりその流れなのか。なんで俺はいつもこうなんだ。俺が一体何をしたというんだ。

「あんたのおかげで、私は危ない橋を渡ることになったじゃない! このクズ!」

 俺より、ティライアのほうがよほどクズな思考だろ! 俺は明らかに被害者だ!

「ギャハハハ。クズだってよ! 廃棄だってよーっ!」

 石破拳がバカ笑いし、腹を押えている。他のクラスメイトもやっぱり俺を蔑んだ目で見ている。こいつらは自分がその立場になった時、どういう顔をするのかな。

 俺はいつも表情消し、不安や恐怖といった感情を表に出さないように押し殺してきた。それが生きていくための処世術だったんだ。

 お前たちは、そんな経験ないだろ? 気が狂いそうになるんだぜ。お前らも、その恐怖を経験してみろよ。

「そんな、おかしいです! まだ生きているなら、石動君を元の世界に戻してあげてください!」

 桂美麗さんだけが俺を擁護し、俺の前に立つ。その瞬間、ティライアの姿が消えたと思ったら桂美麗さんの腹を殴っていた。

「うっ……」

 桂美麗さんは意識を失い、その場に倒れてしまう。こいつ、なんてことをするんだ!?

「お前最低だな。そっちの都合で連れてきて、都合が悪いから廃棄するのか!?」

 俺は生きていたのにここに連れてこられただけの被害者だぞ! 間違いを認め、地球に帰してくれればいいのに、なんで廃棄なんだよ!?

「あん? 生意気ね、あんた」

「生意気? 生きていた俺をここに連れてきた間抜けが何を言っているんだ?」

「だ、誰が間抜けよ!?」

 俺はティライアを指差した。

「お前だよ、クズ。俺を庇った桂さんを攻撃するとか、フザけるなよ! お前のようなクズを見ていると、反吐が出るぜ!」

 俺は一気にまくし立てた。こんなものは心の中で思っていることの一パーセントも吐き出してない。だけど、これまで我慢して口を閉ざしていたことが癖になり、上手く言えない。

「よく言ったわ! 吐いた唾、呑むんじゃないわよ! 覚悟しなさい!」

 ティライアらから眩しい光りが発せられ、俺を包み込む。

「お前は最低のクズだ! 神罰が下ればいいんだ!」

「アハハハ! 私たちが神なのよ! このクズが!」

 ティライアの言葉が最後となり、俺は意識を手放した。



ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


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