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第34話 ダルデール卿

 この物語はフィクションです。

 登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。

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 第34話 ダルデール卿

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「『ステータスオープン』」


 = ・ = ・ = ・ = ・ = ・ = ・ = ・ =

【個体名】 トーマ・ロックスフォール

【種 族】 ヒューマン

【情 報】 男 8歳 健康

【称 号】 デウロの使徒

【ランク】 S

【属 性】 無

【加 護】 至上の名匠

【レベル】 101

【スキル】 物作りの心得・レベル3 品質向上・レベル2 器用・レベル2 見極め・レベル1

【ライフ】 310(620)

【スタミナ】 425(850)

【マ ナ】 460(920)

 = ・ = ・ = ・ = ・ = ・ = ・ = ・ =


 俺がステータスを立ち上げると、ダルデール卿が覗き込む。十数秒、ダルデール卿は身じろぎせず、ステータスを見つめた。年齢によって垂れた瞼の奥にある眼が、俺のステータスの嘘を暴いてしまうのではないか。そんな不安が心の奥底で渦巻く。

「ホホホ」

 急に笑い出したダルデール卿に、俺はビクッと肩を跳ねさせた。そんな俺のことを知ってか知らずか、ダルデール卿はゆっくりと立ち上がった。な、何をするの?

「使徒様にご挨拶申し上げます」

 ダルデール卿は床に左膝をついて頭を垂れた。これは謁見礼という最敬礼の上のこれ以上ないという敬意を表す礼だ。

「えぇぇ……」

 ダルデール卿が謁見礼をしたら、後ろに控える神殿騎士や女官もそれに倣った。ダルデール卿は仮にも枢機卿だよね。枢機卿といえば、教皇の側近として助言をし、神殿騎士団を統括する立場だよな。そんなお偉い様が俺のような子供に膝をつくのか!?

「………」

「トーマ」

 お父様の声により、俺は思考の渦から引き戻された。

「……はい?」

 ああ、頭を下げさせたままにするなってことだね。

「ダルデール卿、皆さん。頭を上げてください」

 ダルデール卿に座り直してもらう。ここからが本番だ。気を引き締めよう。

「使徒様におかれましては―――」

「その使徒様は止めていただけないでしょうか。トーマと呼んでください」

「……では、トーマ様」

「『様』も要らないのですが」

「申しわけありません。そればかりは何卒ご容赦を」

「そうですか……」

「話を進めてよろしいでしょうか」

「……どうぞ」

「まず、トーマ様を総本山にお連れしたいのですが、それは叶わぬことだと聞いております。それで間違いないでしょうか」

「俺にはデウロ様のお酒を造り、世に広げる使命があります。ですから、しばらくはこのアシュード領を離れることはできません」

「承知しましてございます」

 無理矢理連れていかれるかもと思っていたけど、分かってくれてよかった。

「ロックスフォール卿にお願いがございます」

「某に? なんでしょうか?」

「このアシュード領の神殿を拡張させていただけないでしょうか」

 神殿を拡張? それは俺がここにいるから?

「それと、神殿騎士団をこのアシュード領に配置させていただきたいのです」

「む……それは」

 アシュード領を治めるのは、お父様だ。そのお父様が指揮できない武装集団がアシュード領に駐留するのは統治権の侵害になりかねない。それを分かっているから、ダルデール卿は頭を下げているのだろう。

 大きな領地なら、神殿騎士の十人や二十人が留まろうとそこまで問題ではない。だけど、うちは小領で領軍も三十人くらいしかいない。ダルデール卿がどれほどの神殿騎士を駐留させるのか分からないけど、一人や二人などという数ではないはずだ。

 一時的な駐留なら大きな問題にはならないが、仮に俺がいる間ともなれば、最低でも数年は駐留することになる。それでは、統治者であるお父様の邪魔になりかねないのだ。

 それに、この国では土地を治め民を守ることが、領主に求められることだ。そこに他の武装集団がいては、統治者にその能力がないと言われかねないのである。

「トーマ様を総本山にお連れできないのであれば、我らとしても座しているわけにはいきません。トーマ様の護衛を是非神殿騎士にお許しいただけないでしょうか。それ以外のことでロックスフォール卿にご迷惑をおかけしないと誓います。どうか受け入れていただけないでしょうか」

 お父様は眉間にシワをよせて難しい顔をして考え込んだ。

「神殿騎士の駐留については、善処します。詳細が折り合えば、受け入れます」

「ありがとうございます」

「まだ受け入れると決まったわけではありませんよ」

「ロックスフォール卿もトーマ様の身を案じておられるはず。必ずや折り合いましょう」

 随分と自信がある言い方だ。こういった交渉に長けているんだろうな。それとも年の功かな?

 それからの話し合いで決まったことは、まず俺が使徒だと正式にニルグニード教の教皇が認めることになること。

 本来は総本山でそういった式典が行われるらしいが、事情が事情なので認定書が贈られてくるそうだ。

 それからアシュード領の神殿の拡張は、特に問題なくお父様の許可が下りた。

 神殿は森に面した場所に建っているので、森を切り開けば村民が立ち退きをしなくても拡張ができるからだ。

 あと、懸案の神殿騎士の駐留だけど、常駐は十五人を上限にすることと、領主屋敷の一角に詰所を建てることで合意した。

 ダルデール卿は神殿から補助金を出すから領軍の拡張をと提案してくれたが、お父様はこれを固辞した。ただ、領軍の拡張は元々考えていたことだから、人員増強は約束した。

 あと、酒麹のことも頼んでおいた。ダイゴ神父だけより、ダルデール卿のような権力者にも頼んでおけば、全国の神殿に早く情報が伝わるだろう。

 そして最後に……。



ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


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[気になる点] 使途様と呼ばれることを拒否する必要ある? 神の名を広める役目あきらめたんかい? [一言] 初対面のじいさんにいきなり呼び捨て強要するのは違和感ありますね。友達じゃないんですよ
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