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第30話 贈答用

 この物語はフィクションです。

 登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。

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 第30話 贈答用

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 馬王に貼るラベルに、『デウロ神の神酒』と明記することにした。酒好きにデウロ様の名前が広がっていくはずで、その後はその家族にも名が知られることだろう。

 最終的にはデウロ様を敬い信仰する者を対象に限定販売の酒を売るのもいいか。今は名前を広げるのが優先で、先ずは認知度を上げるため、限定販売はまだ先の話になるけど。

 特級酒は黒地に銀字、一級酒は赤地に黒字、二級酒は白地に黒字のラベルにし、これらは活版印刷で大量に刷れるようにしておいた。

 また、栓の封印には俺が変換で創った特殊な封印紙を貼ることにした。封印紙は魔力を流すと『デウロ神』という文字が浮かび上がるもので、一度封を切ると二度と発動しない。こちらはさすがに印刷では対応できないから、その都度俺が補充する。


 ・木(一キログラム)と樹液(五百グラム)と魔石(十グラム)を封印紙(千枚)に変換 : 消費マナ百ポイント


 魔石はアシュード・ダンジョンの三層以降のモンスターから得られることがある。

 それに十グラムは一番小さな魔石なので、手軽に手に入るものだ。

 封印紙は七夕の短冊のように長細く、防水性があり、しっかり貼り付くから間違って剥がれることはない。


 日本だと年の瀬という頃、お父様はバイエルライン公爵への挨拶用の馬王を準備していた。

 そして俺は新しいお酒造りにチャレンジしようと思っている。新しいと言っても所謂蒸留酒なので、真新しいというほどではない。

「坊ちゃん、これでいいですかい?」

「うん。いい感じだと思います。ありがとうございます。ボーマンさん」

 鍛冶師のボーマンさん(ベンの父)に頼んだのは、蒸留器だ。何度かの改良をしてもらっており、完成版になる。

 蒸留器を酒工房に運び込んでもらうと、早速火を入れる。二級酒を投入し、蒸留を行うと高濃度の酒が溜まっていく。これを三回繰り返すと、アルコール度は八十パーセントを超えた。アルコール度だけなら、特級酒よりもはるかに高い。

 残念ながらほぼアルコールというだけで、この蒸留酒は美味しくない。だから寝かせて熟成させる必要がある。

 俺専用の酒蔵に、一斗樽十本を安置する。そこには、俺が二回目以降に造った馬王が少しずつ保管されている。全部寝かせているものだ。数年後にもっと美味しくなってくれることだろう。


 さて、次は俺だ。

 用意したのは、村の中を流れる川の砂利である。これで作るのは、ガラスのボトルだ。

 この国では、ガラス製品がとても貴重で高価だ。ガラス窓は高位の貴族の屋敷や王都の城に使われているくらいらしい。城は見たことないけど、ライトスター家にはあった。ワインや他の酒も木の樽で販売されているのが一般的なんだ。

 今回は特別な馬王用として、差別化を図ろうと思って作ってみることにしたんだ。

「意外といい感じにできたな」


 ・川の砂利(一キログラム)をガラスボトル(一本・七百五十ミリリットル)に変換 : 消費マナ五十ポイント


 このガラスボトルを情報変換で確認すると、ガラスの製造法が分かった。それをメモ帳に書き込む。いずれガラスボトルも量産したいが、時期尚早だろうと考えている。

 今回は俺が秘蔵していた特級酒を寝かせたものを、このガラスボトルに入れ、封印紙で封印する。まだ熟成が足りないところはあるが、普通の特級酒よりは美味しくなっている。

「お父様」

「おう、トーマか。どうした?」

 執務室にいくと、笑顔で入れと手招きしてくれる。

「これをバイエルライン公爵に」

 緑色のガラスボトルを差し出す。

「これは!?」

 ガラスボトルを見たお父様が、こんなもの見たことないと目を剥く。

「これはガラスか?」

「はい。ガラスのボトルです。デウロ様が特別に下賜くださったものです」

「神が……!?」

 デウロ様が下さったスキル・変換を使って創ったものだから、嘘は言っていない。

「それほど貴重なものをいいのか?」

「中に入っているのは、今年の初夏に仕込んだ馬王です。少し寝かせてあったので、特級酒より深みのある味になっていると思います」

「中身も貴重なものだな……」

「これから当家のことをお願いするのです。世界にたった一つしかないものを贈って心証をよくしましょう」

「バイエルライン公爵閣下は懐に入った者には、誠意を尽くしてくださるお方だ。そこまでの配慮は不要だと思うが、トーマがせっかく用意してくれたのだ。有効に使わせてもらうよ」


 年が明けると、お父様はバイエルライン公爵家への挨拶のために、旅だった。

 実は直線距離だとライトスターのバルド領よりも、バイエルライン公爵家のアクセル領のほうが近い。でも、川を渡ることから移動にかかる日程はあまり変らなかったりする。


 そして、俺は八歳になった。


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【個体名】 トーマ・ロックスフォール

【種 族】 半神デミゴッド(ヒューマン・神族)

【情 報】 男 8歳 健康

【称 号】 創生神デウロの使徒

【ランク】 G

【属 性】 神

【加 護】 変換の神(未覚醒)

【レベル】 101

【スキル】 変換・レベル3

【ライフ】 2,863(5,727)

【スタミナ】 2,930(5,860)

【マ ナ】 3,080(6,160)

 = ・ = ・ = ・ = ・ = ・ = ・ = ・ =


 ライフ、スタミナ、マナの各能力値が、正規値の半分になった。

 十歳でステータスが固まるはずだから、あと二年でこういったマイナス効果は消えるはずだ。



ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


また、『ブックマーク』と『いいね』と『レビュー』をよろしくです。


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― 新着の感想 ―
挨拶で娘とわかるのかな?(。-ω-)楽しみ!
[気になる点] うーんお話は面白いけど酒に関しては常識が邪魔してそこで没入感が途切れちゃいますね アルコール度数80%といったら最早消毒液としても濃い目な濃度で危険物として保管に免許がいるレベルですし…
[良い点] 面白いです! [気になる点] この世界の人の肝臓の強度 多分地球とは違い、自然発酵でも高アルコールが精製される世界だから、アルコールを分解する専用の臓器がありそうw [一言] もう突き抜…
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