第23話 ダンジョン探索の準備
この物語はフィクションです。
登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。
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第23話 ダンジョン探索の準備
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酒工房を造ったら、ダンジョンを発見した。
馬王の注文も結構あって、特にバイエルライン公爵家が大量に購入してくれ、さらに定期的に購入することで合意したと聞いている。
おかげでお父様は毎日忙しくしている。そんなお父様に、俺はお願いをした。
「何、ダンジョンに入りたいだと?」
あの日以来、酒倉庫になっている旧坑道以外は、全ての旧坑道が閉鎖された。ダンジョンになってないか確認をし、俺が見つけたところ以外は特に問題ないことが確認された。
だが、いつダンジョン化するか分からないため、旧坑道の封鎖は続けている。定期的に領主軍によって確認がされることになっている。
そんな中、ダンジョンは一般公開された。ダンジョンは放置していると、モンスターを大量に生み出し放出する。だから、ダンジョンのモンスターを間引く人を入れることにしたのだ。
ダンジョン探索をする人を一般的に探索者と呼び、数組の探索者がすでにやってきている。
探索者がダンジョン内で狩ってくるモンスターの素材を扱うために、商人もやってきた。今は掘立小屋やテント暮らしの彼らだけど、そのうちちゃんとした店や宿ができることだろう。
「だが、トーマはまだ七歳だからな……」
「無理はしません。十分に安全マージンを取って探索します。ですから、お願いします」
「……分かった。トーマはロックスフォールの男だ、モンスターと戦う宿命の家を背負って立つのだから、モンスターとの戦闘は避けられん。だが、本当に奥へはいくなよ」
「はい、ありがとうございます!」
宿命を背負っているかはともかく、モンスターとの戦いはレベル上げをするためにも避けては通れない。
「鎧よし! ヘッドギアよし! 剣よし! 短剣よし! 弓よし! 矢三十本よし! 食料よし! 水よし!」
ダンジョンに入るために、俺は装備と持ち物を点検した。鎧といっても胸当と籠手、それから脛当だ。まだ体が小さいから金属鎧はない。剣も刃渡り四十センチくらいの短いものだ。ベンのお父さんである鍛冶師ボーマンさんに鍛えてもらった。
弓はやっとプルプルがなんとかなり、的に当てることができる程度の腕になった。遠距離攻撃のほうがいいモンスターもいるかもしれないから、持っていく。
これから俺が入るのは、アシュード領で初めてのダンジョンということで『アシュード・ダンジョン』と名づけられた。お父様には言えないが、馬王に比べるとインパクトはない。
「それではいってきます」
「本当にいくの? 今からでも止めていいのよ」
お母さんに心配をかけるのは本意ではないけど、『名を奪われ、忘れ去られた者』様との約束を果たすために、俺はどうしてもレベルを上げないといけないのだ。
「心配をかけてごめんなさい。でも、俺はいきます。無事に帰ってくると、約束します。ですから、いかせてください」
「アリューシャ。トーマを笑顔で送り出してやるんだ。なに、トーマなら大丈夫だ。アリューシャと俺の子じゃないか」
「……はい。トーマ、無事で帰ってくるのですよ」
「はい! では、いってきます!」
屋敷を出て歩いていると、酒工房の前にベンが立っていた。
「遅いぞ、トーマ」
「はいはい」
俺がダンジョンに入ると知ったベンが、俺も入ると言ったことでこうなった。
ベンは先端にトゲトゲがついたモーニングスター、鉄で補強された小型の木の盾、剣道の胴のような防具、皮の手袋、脛当、靴は金属で補強し、鍋のようなものを被っている。
「てか、それ鍋じゃんっ!?」
思わずツッコんでしまった。
「オヤジがこれでも被っていけと言うんだよ」
「ないよりはマシだな」
シリアスなダンジョン探索だが、こういったお笑い枠があっていいのかもしれないな。
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