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不運な転生者は、溺愛してくれる家族への恩返しをやりすぎる!?  作者: 大野半兵衛
トーマIII 二章

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第123話 戦線維持、されど……

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 第123話 戦線維持、されど……

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 カトリアス聖王国侵攻を停止して三カ月が経過した。

 現在、エーレンフリート様や伯父上ら首脳陣が頭を悩ませているのは、ライカ王国とカトリアス聖王国だ。

 ライカ軍はカトリアス聖王国に少し入ったところに駐留している。引き返すわけでも、進軍するわけでもなく留まっている。この行動はカッシュ港に留まっている第二軍団をカトリアス軍と挟撃する機会を窺っているように見える。

 エーレンフリート様は何度か使者を送り、ライカ軍に進軍するように要請している。ライカ軍は被害がなかったので、進軍しても支障はない。

 他の連合軍が動かない中で、ライカ軍だけ突出するのは避けたいというのは理解できる。

 また、俺の眷属をライカ軍とライカ王国に放っているが、共にカトリアス聖王国と繋がっている証拠はでなかった。

 何はともあれ、押し問答のようなことになり、ライカ軍への不信感は大きくなっている。


 さて、問題のカトリアス聖王国だが、この三カ月の間に動きがまったくない。占領された土地の奪還に動く気配もなければ、聖都に眷属が入ることができないのも相変わらずだ。

 何をしているのか、さっぱり分からない。皆に苛々が募る。


「各国もこれ以上の侵攻は厳しいと判断をしているようです」


 伯父上の言葉に、エーレンフリート様は唸った。


「占領地の維持を主眼に、我が国の統治を行き渡らせる方向にするべきか……?」


 方針変更は重大事だ。これまでカトリアス聖王国を亡ぼすために頑張っていた人たちも多い。そういった人の心の箍を外すことになる。


「連合軍としてのまとまりがない以上、侵攻はできぬ。一度、ラインハルトらを集め、協議することにする」

「では、すぐに伝令を出します」


 竜騎士隊で使者を送り、ラインハルト君やエリス様たちを集める。

 第四軍団はブラックライド侯爵の死亡に伴い、現在はハルク伯爵が率いている。ハルク伯爵は武人然とした風貌の人だけど、慎重な性格の方だと聞いている。


「戦線は維持するが、駐留軍は縮小させることにする」


 協議を重ねたことで、このような結果になった。

 これによって、カトリアス聖王国征伐遠征軍は事実上の解体となり、論功行賞はエーレンフリート様の主導で行われることになった。

 貴族や参加した旧カトリアス聖王国の住民たちに土地を分け与えていく。

 がめつい貴族が理由をつけては多くの土地を渡せと、遠回しに言う。エーレンフリート様は働いたかどうかで褒美を決めているので、ただ参加しただけの貴族はほとんど何も得るものはない。

 あと、旧カトリアス聖王国民にも土地が与えられた。基本的に第二軍団に所属していたので、カッシュ港方面で土地が与えられていった。戦い自体があまりなかったこともあり多くは与えられなかったが、それでも男爵に叙された人が三人、騎士爵が十人いて、四万人がそれら貴族になった人の領地に分かれて入ることになった。

 元々農民の人が多く、多くは大地を耕して暮らすことになる。俺とデウロ神殿もそれらの支援をすることにした。


「そんなわけで、俺たちも解散だ。引き上げるぞ」


 バルド領に帰ろうと準備をしていると、お父様がジュラ港へやってきた。


「トーマ。元気だったか」

「はい。お父様も元気そうで何よりでした」

「戦というほどの戦いはなかったし、本当に何をしにきたのかと思うよ」

「カトリアス聖王国が何をしたのか分かりませんので、皆さん不気味なのでしょう」

「ああ、何があったのか、気になるな……」


 俺とお父様が話をしている横では、ベンが地面を蹴っている。


「くっそー! 俺、戦ってないんだけど!」


 ベンのボヤキは無視しよう。


「お父様はカッシュ港の近くに領地を得たとか、おめでとうございます」

「小さな土地だが、褒美をもらえたよ」


 ロックスフォール男爵家が今回の戦いで活躍したことを評価されてのことなんだが、問題もある。簡単に言うと、その飛び地を誰が管理をするかだ。

 ロックスフォール男爵家は急速に伸長した家だから、アシュード領の運営だけでも大変なんだ。うちからも伯父上のところからも人を出しているので、また人材で頭を悩ませることになるというわけだ。


「いっそのことベンを送りますか」

「お、それいいな!」

「なっ、莫迦なこと言うなよ! 俺なんかが領地経営できるわけないだろ!」

「安心しろ、軍務卿からも人材を送ってもらうから」

「それいいな、トーマ! よし、ベンと軍務卿に丸投げしよう!」

「ちょっと、止めてくださいよーっ!」

「でもさ、カトリアス聖王国が侵攻してきたら、すぐに戦えるぞ。それでも嫌か?」

「え……ちょ、ちょっと待ってくれ……本当に攻めてくるのか?」

「可能性は高いと思う」

「……よし決めた! 俺がその領地を管理してやろうじゃないか!」


 それでいいのか、と思わないではないが、本人がいいと言うのだから、いいのだ。

 あとはベンの舅になる軍務卿のバルツァー伯爵に、領地経営できる人材を送ってもらうだけだ。



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― 新着の感想 ―
そんな領主の下になる領民は不幸だな(笑)。
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