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第112話 そうだ、ワイバーンを捕まえよう!

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 第112話 そうだ、ワイバーンを捕まえよう!

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 カトリアス聖王国侵攻作戦が迫ってきている。

 弱体しているとはいえ、一国を滅ぼすのは簡単ではない。ただ単に兵力を揃えればいいというわけではないのだ。兵が多くいればいるほど、消費する兵糧は莫大になる。その兵糧を運ぶのも一苦労だ。俺には異空間倉庫があるから兵糧の運搬に苦労はしないが、俺が全部隊に兵糧を運搬するのは非現実的だ。

 そこで俺はかなり前から空を飛ぶモンスターを眷属化している。その眷属に物資を運んでもらうつもりなんだけど、いかんせん今回の侵攻作戦には二十万を超える兵士が参加するから数が足りていない。

 まあ、急を要するものだけを空輸する、そういった運用もあるけど。


 クルディア王国軍の陣容は、年が明けてすぐに発表された。

 総司令官はエーレンフリート第一王子。主席幕僚に軍務卿のバルツァー伯爵、参謀長にバイエルライン公爵、第一軍団長はエーレンフリート第一王子が兼任、第二軍団長はラインハルト君、第三軍団長はエリス第四王女、第四軍団長はブラックライド侯爵になる。


 バルツァー伯爵は主席幕僚だから、まず前線に出ることはない。つまり、大変不満に思っているらしい。軍部のトップなんだから前線に出られるわけがないと、最初からそう言ってるよね。それに、バルツァー伯爵の周囲にいる人は文武両道が多いらしい。トップが脳筋でも、そういった優秀な人たちがしっかりフォローする体制ができているため、各軍団への指示や進行状況を正確に把握し、それをエーレンフリート第一王子に報告することができる。


 今回の主要メンバーに若い王子王女が起用されているのは、第一王子、第七王子、第四王女の王位継承争いがあるからだ。

 その中に第四軍団を任せられた異質(?)な人がいる。ブラックライド侯爵だ。

 今回はエーレンフリート第一王子が総司令官なので、後方で指揮を執る。そのため第一王子派の重鎮であるブラックライド侯爵が第四軍団を率いて実際に敵と戦うことになっているのだ。


 王国軍はそれぞれ二万人だが、そこに各派閥の貴族軍が加わる。最も勢力の大きい第一王子派がプラス五万、ラインハルト君の派閥でプラス三万、第四王女派がプラス二万といったところか。その他の派閥や中立の貴族は第一軍団に配属されるが、希望すれば前線で戦う他の軍団に配属されるらしい。

 そこに元カトリアス聖王国の民だった兵士五万人が加わる。


 国王はこのカトリアス聖王国侵攻の結果で、次の国王を決めると明言している。各派閥は必死になって戦うことだろう。


 俺はラインハルト君の派閥だと思われがちだけど、中立だからね。それに国王も俺の軍事力を警戒しているようで、今回は後方支援部隊を任せられてしまった。

 警戒といっても王国に弓引くとかではなく、俺が自軍だけでカトリアス聖王国を亡ぼすのではないかという危惧だ。そうなってしまうと、王子王女の王位争いに水を差すことになる。俺としても、そんなものに介入するつもりはないし、カトリアス聖王国の三総大主教を逃がさなければそれでいい。





 今日は空飛ぶモンスターを眷属化するために、シュイラング領へとやってきた。

 シュイラング領はジュライドン子爵の領地で、そこにはアスランダ山脈がある。そこにワイバーンの巣があるんだ。

 ワイバーンくらいの大きなモンスターなら、それなりの物資が運べるはずだ。


 シュイラング領のデウロ神殿を拠点にするわけだけど、領主のジュライドン子爵へ挨拶しにいこうとしたら、向こうからやってきた。

 ジュライドン子爵は三十前の英気溢れる人物で、ワイバーンが住む地域の領主をやっているだけあって武闘派の貴族だ。なんでもお父様と友誼があるらしく、お父様の話をマシンガンのようにして帰っていった。

 まさに嵐のような人だったが、お父様を尊敬する気持ちが伝わってきた。それだけで、ジュライドン子爵がいい人だと分かるってものだ。


「トーマ。皆、揃ったぞ」

「神殿騎士総勢三十五名、揃いましてございます!」


 ベンが率いるロックスフォール騎士隊百人と、パーシナ隊長が率いる神殿騎士隊三十五人が神殿の前に勢揃いした。

 これからワイバーンという極めて危険なモンスターを捕縛にいくのだから緊張……してないな。ここに集まっている騎士と神殿騎士たちは、全員レベル三百を超える猛者たちだ。ワイバーンごときに怯むような人はいない。


 一般的に、レベル五十までは新兵、レベル百までが一般兵、レベル百五十までが熟練兵、レベル百五十一以上は精鋭と呼ばれる兵士になる。

 だけど、うちやデウロ神殿では、レベル百までが新兵、レベル二百までが一般兵、レベル三百までが熟練兵、三百一以上が精鋭となる。

 これはお父様のロックスフォール男爵家やバイエルライン公爵家も同じだ。


 うちは常備兵が八千人ほどいるが、そのうちの五千人はレベル二百五十以上になっている。ロックスフォール侯爵家はお父様流の訓練と実戦経験を積ましているため、とにかく練度とレベルが高いんだ。


 その中でもベンが率いる三百人は特にレベルが高い精鋭中の精鋭だ。今回はベンの部下から百人を連れてきている。

 ちなみにベンは二年ほど前から自分の部隊を持っている。隊員のほとんどは平民か貧民で組織されている。要は、あぶれ者を引き受けて鍛え上げている。それだけに精鋭だけど、言動が粗暴な兵士が多い。


「よし、出発」

「「しゅっぱーつ!」」


 全員が騎馬に乗り、アスランダ山脈へと向かう。



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― 新着の感想 ―
ワイバーンならまず、攻撃に使うことを考えてしまうなあ。 直接攻撃ではなくとも、上空から岩を落としたり、油を撒いたりとか。
粗暴な兵「ひゃっはー! あの村に井戸を掘れぇ! 塀を立てろぉ! 家を作れぇぇい!」 こうですね。(概要 民明書房)
わざわざ「粗暴」と書いてあるということは、後々……
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