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第106話 眷属変換

 =・=・=・=・=

 新年、明けましておめでとうございます!

 今年もトーマをよろしくお願いします!

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 第106話 眷属変換

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 川に遊びにいったら、水晶を発見した。

 水晶に限らず鉱石は国の管理下に置かれるが、そこから上がってくる収益の六割はその領地を治める貴族のものになるそうだ。つまり、四割は国が吸い上げる仕組みができている。


 アシュード領でも集光ランプの素材であるショウク石を使っている。ただし、ショウク石は使いどころがないただの石と認定されているので、国の横槍はない。今のところだけどね。

 もし、国が介入しようとしたら、神殿を動かしてでも邪魔をしてやるけどね。


 王都に帰った俺は、学園に通う日々を送っている。ということもない。相変わらず学園には週二日しか通ってないので、それ以外は自分のために時間を使っている。


 現在、俺のレベルは四百六十まで上がっている。そして、変換のレベルは九だ。

 変換・レベル八で覚えた生命変換は、対象が死んでいない限りどんな怪我や病気でも治すことができる。

 これまでは物質変換で薬を創ることで、病気を治すことができた。それが直接治療できるようになったのだ。


 そして変換・レベル九で覚えたのが、眷属変換だ。

 これはすでにベンとシャーミーを眷属にしてその効果を確かめた。その結果を少し述べよう。

 まず、眷属化すると、ランクが上がり加護が変化する。ベンとシャーミーは眷属化の際にランクSからSSにランクアップした。

 一般的にはランクSSは存在しないことになっているが、俺に近しい人には眷属になってもらっている。おかげで、ランクSSは十数人になっている。彼らはランクSSになって、さらにデウロ様を崇拝している。


 それから俺のライフ、スタミナ、マナの各能力を眷属に分け与えることができる。俺の能力はインフレどころの騒ぎではないくらいの数値なので、ベンとシャーミーの二人に数万ポイントを譲渡しても誤差範囲でしかないが、ランクSSの十数人に譲渡するのは大変だからしてない。必要になった時に譲渡すればいい。

 また、能力を譲渡すると、ステータスに現れない攻撃力なども上がっている。ベンの場合はライフに二万ポイント、他は一万ポイントを譲渡したが、その前と後では攻撃力が段違いに上昇していた。シャーミーもマナに二万ポイント、他に一万ポイントを譲渡したが、魔法の攻撃力や治癒力がかなり上昇している。

 これらのことから、眷属化でランクアップと加護進化、能力譲渡でさらなる強化ができると分かった。

 あと、譲渡した能力は返してもらうこともできるのを、ちゃんと確認している。


 そこで今日は王都近郊でモンスターを眷属化してみようとやってきた。

 王都近郊では、アシュード領の南にあるイクスタン大森林のような強いモンスターはいない。高くてもせいぜいレベル百くらいだ。

 モンスターの眷属化の訓練には丁度いいかな。


「いいか、ベン。モンスターを殺さず、捕縛するんだからな」

「分かっているぜ」


 その自信満々の顔が逆に心配だ。


「あっちにモンスターがいるわ」


 シャーミーがマナ操作で周辺のモンスターを探ってくれた。索敵や罠の発見に役立つスキルだ。


「いたわ。馬の魔獣のようね」


 ・アースホース : 馬型モンスター レベル70 足が速くパワーも持久力もある 草食で大人しい性格だが、危険を感じると手がつけられないくらい暴れる 弱点はない


「うん。あれにしようか。逃げられないように、展開してくれるかな」

「おう」

「分かったわ」


 俺のそばにはパーシナ隊長と四人の神殿騎士がいる。この五人もレベルは四百を超えており、自然とランクが上がった人たちだ。もちろん、デウロ信徒である!


「フラッシュ!」


 シャーミーの魔法でアースホースの目をくらませた。今のシャーミーは、詠唱を行っていない。

 そもそも神でもない神使クズたちに感謝など不要だ。だから、詠唱をしなくても魔法は発動するはずだとシャーミーに教えたら、詠唱しなくても問題ないことが分かった。

 人間はクズどもに騙されているのだ。だから、デウロ信徒には詠唱をしないようにと指導している。おかげでデウロ信徒のほとんどの魔法使いは無詠唱で魔法が使えるようになっている。

 無詠唱ならそれだけ発動が早くなるため、対人戦でも有利に戦えるようになる。いいことばかりだよ。


 目が見えなくなり、跳ね馬のように暴れるアースホースにベンが踊りかかった。


「大人しくしやがれ!」


 アースホースの太い首に腕を回して、押さえつける。さすがは四百五十オーバーだ。パワーがあるアースホースを簡単に押さえつけた。


 俺はアースホースに近づき、その体に触れる。

 ―――眷属変換。


「ヒヒィィィンッ」


 アースホースが嘶くと、その目から混乱が消え、動きを止めた。


 = ・ = ・ = ・ = ・ = ・ = ・ = ・ =

【個体名】 

【種 族】 アースホース

【情 報】 女 55歳 変換神の眷属

【レベル】 70

【スキル】 疾走・レベル3 体力上昇・レベル3 蹴り・レベル3

【ライフ】 522

【スタミナ】 619

【マ ナ】 307

 = ・ = ・ = ・ = ・ = ・ = ・ = ・ =


「もういいか?」

「うん。もう大丈夫だ。眷属にできたみたい」


 ベンがゆっくりとロックを外す。

 情報変換の表示が変わった。俺たち人間のような情報を出してくれたが、モンスターにはランクや加護がないようだ。

 あと個体名がないところを見ると、名づけをしたら表記されるのかな。


「お前は今からアースだ」

「ヒヒィーン!」


 喜んでくれたようだ。

 一応、俺の命令を聞いてくれるか、いくつか確認した。

 その結果、ベンやシャーミーのように念話で会話はできないが、俺が言っていることはしっかり理解しているから意思疎通は可能だ。それに、YEsやNo、嫌とか嬉しいなどの意思表示は伝わってくる。


「モンスターまで眷属にできるのですか……」


 パーシナさんたち神殿騎士が驚いている。


「眷属化すると、ある程度の感情や意志が俺に伝わってきますね」

「そんなことが……。さすがはトーマ様です!」


 これでカトリアス派の三総大主教の監視がしやすくなったぞ。

 俺はすぐに虫系や鳥系のモンスターや生き物を集めて眷属化していった。

 虫は蚊を含め小型のものをドンドン眷属化し、バイエルライン公爵家の暗部を通してカトリアス聖王国へ連れていってもらった。そして聖都で放してもらったのだ。





 お爺様が城から戻ってきた。俺が国王に呼ばれたけど、色々忙しかったので、申しわけないけどその代理として登城してもらったのだ。


「陛下がまた飲み過ぎたようだ」

「また体調を崩されたのですか……?」

「まったくあのお方は……」


 国王は肝臓が弱いくせに酒好きで、俺だけじゃなく皆に止められているのに酒をガバガバ飲んでいる。

 一年半前にも体調を崩して俺が呼ばれた。酒に関しては、まったく学ぶということを知らない人だ。


「王妃様とも相談し、今回は治療はしないことにした」

「いいのですか?」

「構わん。治療してもまた飲み過ぎて同じことを繰り返すのだ」

「でも、国王としては《《それなりに》》優秀なんでしょ?」

「うむ。調整能力はかなり高いな。だからと言って、こんなことでトーマを毎回呼ばれては敵わん。それに来年になったらラインハルト王子も成人する。次の国王を誰にするか、そろそろ決めてもらわねばならん。それを要求するいい機会だ」


 次期国王として有力なのは、第一王子、第七王子、第四王女の三人だ。言うまでもないが、第七王子はラインハルト君である。

 第一王子のエーレンフリートは王妃の子供で最有力なんだけど、ラインハルト君を担ぎ上げる勢力も勢いがある。

 はたから見たら、ラインハルト君は俺と仲がいい。俺と仲がいいとなると、神殿がラインハルト君につくと考えられているのだ。俺を政争に巻き込まないでほしいが、俺の立場はこの国にとって極めて重要なんだとお爺様が言っていた。


「最近は王妃様とも仲良くしてますよ、俺」


 王妃の部屋に冷蔵庫を設置してから、度々お茶会に呼ばれたりしている。


「エーレンフリート様とも顔見知りですし」


 王妃のお茶会には、必ず第一王子のエーレンフリートがいる。それが俺とエーレンフリートの関係を良好だとアピールするものだと、もちろん知っている。

 エーレンフリートはなんというか、掴みどころのない人だ。育ちがいいせいか、ほんわかしている。

 平時ならエーレンフリートが国王でいいのかもしれないと思うが、戦時ではちょっと不安になる感じかな。



ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


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― 新着の感想 ―
面白くて一気に読んで最新話 でも眷属化はちょっとやばくないですか? より上位の存在が相手の意思に関係なく従属させるって、考え方がクズ神使と同レベルというか、、、 なにかの伏線だろうか
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