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第103話 十五歳になったトーマ

 この物語はフィクションです。

 登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。

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 第103話 十五歳になったトーマ

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 俺は十五歳になった。

 この四年、俺の周りでは多くの変化があった。


 まず、二年前にお爺様が息子のアレクサンデル様に公爵位を譲って隠居された。といっても、お爺様は俺の後見をしておられ、バルド領と王都をいったりきたりして忙しくされている。

 お婆様も俺のところに住み、家内の面倒を見てくれている。


 アシュード領は加速度的に人口が増え、この国の陞爵要綱をクリアしたことでお父様は男爵に叙せられた。

 騎士爵が男爵に陞爵するためには、戦や内政で大きな功績があることが前提になる。今回は内政面の功績だ。騎士爵領の人口が七千人を超えて二年維持すれば、男爵になれるのだ。

 元々人口が七千人近い領地ならなんとかなるかもしれないが、アシュード領の人口は元々千人程度だった。それを七千人もの人口にした功績は大きい。が、今のアシュード領はなんと人口が一万五千人になっているのだ。人口が加速度的に増えている。

 人口が増えるのはいいことだが、悪いこともある。それだけ犯罪が増えてしまうのだ。あの長閑だったアシュード領からは考えられないくらいの変わりようであった。


 お母さんは今も記憶が戻っていない。一度、変換で記憶を取り戻せないかと考えたことがある。でも、過去を思い出したはいいが、俺たちとの記憶が失われるかもしれないと思うと、実行はできなかった。


 弟のジークヴァルトは元気に育っている。今は護衛をつけてダンジョンに入っているそうだ。お父様の血を引くだけあって、武辺者の片鱗を見せているらしい。


 妹のエルゼも元気に育っている。とても可愛いエルゼに、たまにしか会えないのが寂しい。


 アシュード領とアクセル領、そしてバルド領の三地点の中継地となっているジャドーズ領もかなり景気がよくなっている。

 ジャドーズ領はリッテンハイム男爵の領地で、俺の母違いの姉であるタリアが養女になっている。

 これらの領地と王都を結びつけるライバー川は、毎日多くの船がいきかっているのだ。


 バルド領に建設していたデウロ神殿は、今も工事をしている。完成予定は五年後だ。

 ただ、必要な施設はほとんど使えるようになっている。

 あと五年もかかる理由はレリーフだ。細かいことに拘ると、どうしても時間がかかるものだ。前世の世界でも教会とか神殿は芸術の宝庫だったもんな。


 バルド領で起こした産業として、ビールと冷蔵庫がある。

 ビールは複数の工房で大量に生産しているが、生産量は需要に追いついていない。アシュード領の馬王などの酒もそうだが、本当によく売れていて常に品薄状態だ。ありがたいことだと、毎日デウロ様に感謝をしている。

 冷蔵庫も工房を増やして増産しているが、こちらも生産がおいついていない。特にビールの需要が増える夏には、購入の問い合わせが多くなって担当者たちは大変な思いをしている。


 バルド領に建設しているデウロ神殿だが、デウロ信徒がデウロ神殿に安置した神光石に祈ると、神の奇跡に触れるとあった。その効果は、なんと伝染病に罹らなくなるものだった。

 伝染病と一概に言うが、麻疹はしかやインフルエンザのようなものからペストのようなものまで伝染病に罹患しなくなるのは大きい。風邪だって人にうつることを考えれば伝染病だ。

 二年前にインフルエンザ(この世界ではイビニックという)が大流行したが、デウロ信徒+神光石に祈った人に一人の被害者も出なかったのだ。

 そのことがあってから、デウロ信徒のデウロ神殿詣でが密か……でもないブームになっている。

 これもライバー川の船の数を多くしている原因の一つになっている。


 なぜかラインハルト君たち同級生が、毎年の長期連休をバルド領の俺の屋敷で過ごしている。二年、三年、四年と三連続だ。ラインハルト君に関しては一年の時もきているので、四年連続になっている。

 そのおかげなのか、ラインハルト君はデウロ信徒になっていた。ベンの婚約者のクラウディア嬢、ブルーノ君、ダニエル君、デボラ嬢、レーネ嬢もデウロ信徒になった。


 ベンは王国騎士団の教官を始めた。その数カ月後に騎士爵に陞爵している。陞爵はベンが十七歳の時だから、二年前のことだ。

 こちらの陞爵は騎士団の教官という役職からくるもので、准爵から騎士爵への陞爵はそこまでハードルは高くないことで実現した。

 教官として招聘された理由は、軍務卿のバルツァー伯爵をぶちのめしたことが知られたからだ。あの人、軍部でも有名な脳筋で、レベルも高いもんだから手がつけられなかったらしい。それをぶちのめしたベンの勇名が轟いて、騎士団の教官として呼ばれたのだ。


 シャーミーも准爵から騎士爵に陞爵した。シャーミーの陞爵は神殿からの推薦だ。理由は休みの日に神殿で治療行為を無償で行っていたというものになる。

 それとデウロ神殿の司祭にもなっている。元々シャーミーは幼い時から神殿に出入りしており、ダルデール卿とも親しかった。何よりもシャーミーほどの光魔法の使い手は滅多にいないからね。


 教皇は退位した。体が動くうちに後進に道を譲ると言っていた。それと同時にダルデール卿も引退した。

 二人はバルド領のデウロ神殿で、後進育成を行っている。ダルデール卿は分からないではないけど、上皇になった前教皇はそれでいいのだろうか?


 神殿騎士のシュザンナ隊長は副司教から司教に昇格し、さらに結婚して子供が出来た。

 子供が出来た時に俺の護衛隊長を辞し、以後はバルド領のデウロ神殿に併設された子供たちの養育施設の責任者をしている。


 だから、今の俺の護衛隊長はメティーナさんになっている。彼女はシュザンナ隊長の部下だった人で、俺たちと一緒にダンジョンに入っていたメンバーだ。

 もう一人のダンジョンメンバーだったパーシナさんは、デウロ神殿の警備副隊長に昇進している。


 カトリアス聖王国についてだが、あの国は周辺国から経済封鎖が行われている。

 この国の王子であるラインハルト君と神殿関係者の俺を攫おうとしため、この国の外交官たちと神殿が総力を挙げてカトリアス聖王国包囲網を築いた。

 カトリアス聖王国は食料自給率が低く、食料を他国から輸入していた。それが輸入できなくなって、多くの民がこの国に流れてきている。

 民に罪はない。とは言えないけど、仕方がないのでバルド領で受け入れている。俺なら食料を土から変換できるから、流民が自立するまでの支援ができちゃったりする。

 それにバルド領はまだまだ開発できる余地がある。ライバー川によってもたらされた肥沃な土地は伊達ではないのだ。


 ただし、うちが受け入れるのは、カトリアス派でない人だけだ。それが引き受ける最低条件になる。

 本当はデウロ信徒だけにしたかったが、そういった人をデウロ信徒に改宗させることも俺の使命の一つだからね。


 でも、意外とデウロ信徒は多かった。カトリアス聖王国の民がデウロ信徒なわけないと思うかもしれないけど、意外といるんだよ。デウロ信徒の工作員(バイエルライン公爵家配下の暗部所属の人でデウロ信徒)やデウロ神殿の神官たちがカトリアス聖王国で布教しているのだ。「デウロ様を信じれば助かる」「デウロ様に助けを求めるのだ」と。

 心身共に弱ったカトリアス聖王国の民はデウロ様を信じやすかった。そして実際に助けることで、さらに多くの信徒を増やしているのだ。


 そんなカトリアス聖王国を攻める準備が、このクルディア王国で進んでいる。カトリアス聖王国を弱体化させ、諍う力を奪って攻める。聖王はどうでもいいが、三総大主教は必ず捕縛したい。

 お母さんの記憶を奪った報いはしっかり受けさせる。そうじゃなければ、怒りで俺の気が狂いそうだ。


 あと、アリラック・ダンジョンが成長した。元々二十五層が最深層だったが、今は四十層まで増えている。

 これだけじゃなく、アシュード領のダンジョンも十五層から三十層に成長している。アシュード・ダンジョンの成長はまだ先だと思っていたが、早かった。国内の他のダンジョンも成長しているらしい。

 神光石の封印がなくなったら、国内全てのダンジョンが成長を始めた。何か関係があるのだろうか? デウロ様は笑うだけで教えてくれないんだ。


 成長したアリラック・ダンジョンを探索し、俺のレベルは四百六十まで上がっている。

 変換はレベル九まで上がっている。これまでレベル五十間隔で変換のレベルが上がっていたのだけど、レベル四百五十の時には上がらなかった。

 スキルレベルは九が最高なのだろうか?


 俺のレベルを聞いたお父様が、アシュード・ダンジョンに入ってレベル上げをしているらしい。

 俺に対抗意識を燃やしたわけではなく、息子の俺にレベルで引き離されては父親の威厳が保てないという危機感からだとお母さんの手紙に書いてあった。


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【個体名】 トーマ・バルド・ロックスフォール

【種 族】 半神デミゴッド(ヒューマン・神族)

【情 報】 男 15歳 クルディア王国侯爵 健康

【称 号】 創生神デウロの使徒 デウロ信徒の庇護者

【ランク】 G

【属 性】 神

【加 護】 変換の神

【レベル】 460

【スキル】 変換・レベル9

【ライフ】 1,360,150(-30,000)

【スタミナ】 1,363,976 (-179,177)

【マ ナ】 1,374,279(-30,000)

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【変換・レベル1 : 物質変換 : 物質を別の物質に変換できる】


【変換・レベル2 : 情報変換 : 情報を閲覧・変換できる】


【変換・レベル3 : 場所変換(転移) : 視認できる場所Aを別の場所Bと変換できる】


【変換・レベル4 : 事象変換 : ある事象を別のものと変換できる】


【変換・レベル5 : ランク変換 : 対象のランクを変換できる】


【変換・レベル6 : 異空間倉庫 : 空間を変換し、別の空間を倉庫(異空間倉庫)として使用できる】


【変換・レベル7 : 地形把握 : 周辺の地形を把握し、その情報を変換する】


【変換・レベル8 : 生命変換 : 対象のライフ、スタミナ、マナを変換する】


【変換・レベル9 : 眷属変換 : 対象を眷属に変換する 使用者は自分のライフ、スタミナ、マナを眷属に分け与えることで、能力を強化できる 分け与えた数値分上限が減る】


 生命変換は対象の人のライフ、スタミナ、マナを回復させることができるものだ。もちろん、ライフを奪うこともできるから、いざという時の回復手段にも攻撃手段にもなる。


 眷属変換は対象を俺の眷属にするという能力だ。この眷属変換によって、ベンとシャーミーを眷属にし、強化した。

 これは眷属を強化できるだけでなく、離れている二人とも念話で会話ができるようになった。さらに、二人の視覚や聴覚を共有することもできるようになった。


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【個体名】 ベン・フレイムバルク

【種 族】 ヒューマン

【情 報】 男 19歳 ロックスフォール侯爵家騎士 クルディア王国騎士爵 変換神の眷属

【称 号】 デウロ信徒 脳筋 トーマの相棒

【ランク】 SS

【属 性】 炎・雷

【加 護】 炎雷進撃軍将えんらいしんげきぐんしょう

【レベル】 455

【スキル】 重撃・レベル9 炎撃・レベル9 剛腕・レベル9 物理攻撃増強・レベル8 雷撃・レベル6 指揮・レベル3

【ライフ】 15,322(+20,000)

【スタミナ】 14,119(+10,000)

【マ ナ】 12,047(+10,000)

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【個体名】 シャーミー・サンヒール

【種 族】 ヒューマン

【情 報】 女 17歳 ロックスフォール侯爵家騎士 クルディア王国騎士爵 デウロ神殿司祭 変換神の眷属

【称 号】 デウロ信徒 トーマの理解者

【ランク】 SS

【属 性】 光・氷

【加 護】 光氷芯清聖女こうひょうしんせいせいじょ

【レベル】 450

【スキル】 光魔法・レベル9 魔法効果増強・レベル9 氷魔法・レベル6 魔法耐性・レベル5 マナ操作・レベル5

【ライフ】 12,934(+10,000)

【スタミナ】 13,903(+10,000)

【マ ナ】 15,250(+20,000)

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 ベンとシャーミーはなんとランクがSSになっている。これには二段階のランクアップがあった。まず、二人がレベル四百になった際に、ランクがAからSに上がったのだ。この時は俺は何もしてない。

 その後、俺が二人を眷属にしたら、なんとランクがSSになってしまったのだ。眷属化はランクを引き上げる効果もあるようだ。


 レベル四百は、ある意味壁なのかもしれない。この壁を越えた人はランクが上がるボーナスを得るのではないだろうか。

 そう思っていたら、シュザンナ隊長が俺のところにいる時にレベル四百を超えランクアップしたのだ。

 レベル四百は重要な意味があるのかもしれないが、デウロ様は何も語っていない。


 しかし、俺の能力はインフレを起こしすぎてないか? これもランクがゴッドという最高だからなんだろうか。デウロ様に感謝しないとな。



ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


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ダイジェストみたいな感じで数年間が語られて、思わず最終話かとおもって焦りましたw タイトルのとこのⅢプロローグでほっとしました
トーマはもう言わずもがなとして、ベンとシャーミーも大概バケモノみたいな強さになってて草 これ…数年後に異世界転移が予約されている勇者が来たところでトーマ達からは雑魚扱いされてしまいそう。
チクっとしなくていい万能ワクチンちょっとうらやましいです。 >ブームになったいる。 誤字でしょうか?
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