第1話 これ死んだな
この物語はフィクションです。
登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。
※2024/11/12 【トーマI】を改稿しました。
・話数を前後させてます。
・内容を変更しています。
・【トーマII】以降と辻褄が合わなくなるところもありますが、気にしないでください。
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第1話 これ死んだな
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修学旅行のバスの中、俺こと石動闘魔は、ただボーっと景色を眺めていた。緑豊かな渓谷を走っていると、バスが揺れた。左右に大きく蛇行しているようだ。
「な、何っ!?」
「おい、運転手! もっと静かに運転しろよ!」
その声は運転手に聞こえてなかった。俺が見たのは、ハンドルに顔を埋めるように力なく項垂れている運転手なのだ。あれは意識を失っているようだ。そう認識した瞬間、バスはガードレールを突き破った。
「「「キャーッ」」」
「「「ウオォォォォォォォッ」」」
浮遊感を感じ、クラスメイトたちの絶叫を聞いた。崖の下は石がゴロゴロとした河原だ。地面が迫ってくる。
「あー、これ死んだな」
そう感じた瞬間、激しい衝撃が体を貫いた。
なんかすごく寒い。目を開けると、そこは地獄絵図が広がっていた。クラスメイトたちが折り重なり、血を流していたのだ。
俺はシートベルトをしていたが、皆はしていなかったようで酷い有り様だ。だが、シートベルトをしていても、死ぬ。
「カハッ」
俺は血を吐いた。俺の腹に金属の棒が刺さっているんだ。前の席を貫いて、俺まで貫いている。串刺しだ。
「これ、マジで死んだな……」
痛みは感じない。だけど、北極にいるように寒い。このままでは、確実に死ぬ。
「ああ、短い人生だったな」
もっとも、やっと死ぬことができるというべきか。
俺は両親から暴力を受けていた。中学二年の時にそれが原因で入院したのが切っ掛けで、病院から通報があって俺は児童養護施設に引き取られることになった。あれから両親とは会っていない。どうなったのかも知らない。
児童養護施設から通った中学では、『親ナシ』とバカにされた。それは高校に入っても同じだ。クラスメイトたちはことあるごとに俺を『親ナシ』と言う。
そんなことは両親から受けた暴力に比べれば大したことではない。高校を卒業するまでの我慢だと思っていたが、ここで死ぬことになるとはな……。人生ってのは、本当に数奇なものだよ。そこで俺の意識は遠のいていった。
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