2年前の過去へ
4章
目の前には、知らない景色があった。
あちらから、笑い声がする。見ると寛樹がスーツ姿で他2人と夜のお店で楽しそうに飲んでいた。
わー寛樹のスーツ姿、めっちゃカッコいい!
私は近くに行って話を盗み聞きした。
3人はとても仲が良さそうだった。3人は同じ高校で野球部だったらしい。野球の事で熱く話ていた。3人の内の1人が山元慶介といい寛樹と一緒に店を経営している様だった。店は今風の感じでお客様は途絶えていなかった。もう1人の友達は佐伯匠海といい寛樹がトイレに席をたった時にこの後、2人で別の店に飲みに行こうと誘った。
寛樹が帰った後、2人は別の店に行き何やら秘密めいた話をし始めた。山元が自分のお店のお金を全部持ち出し、佐伯に半分山分けするから自分をちゃんと逃してくれと言っていた。
翌日、寛樹が店に行くと店の現金と通帳全てがなくなっていた。慌てて山元に電話するも応答が返ってくる事はなかった。店のSNSにも誹謗中傷が書かれ一気に拡散され店は潰れて寛樹は借金を抱えたのだった。
その誹謗中傷を書いたのは佐伯だった。
寛樹は色んな人や色んな所に行ってお金を貸して貰えないだろうかと頼んで回った。だが、中々貸しては貰えない。寛樹は人間不信になり引きこもる様になった。そんな時佐伯が利子付きでお金を貸すと言ってきた。寛樹はすがる思いで佐伯からお金を借りた。
しかし、利子が高くて返しても返してもなかなか借金は減っていかない。寛樹は精神的な苦痛も重なって、ついに会社を辞めてしまい引きこもってしまった。
俺は山元慶介、寛樹とは高校の野球部で知り合った。あいつは明るくてポジティブで野球部でもムードメーカーだった。誰も疑う事なくいつも笑ってるあいつが憎かった。俺は母子家庭でいつも1人だった。
母は朝から夜中まで働きずめでよくいろんな男を連れ込んでいた。それに母は男に貢ぐクセがありいつも貧乏だった。俺は誰にも愛される事もなく、褒められた事もない。あいつの失望した顔が目に浮かぶよ。
私は次の瞬間、カフェに戻った。
確かに寛樹は友達に騙されて借金したんだな。雨が上がったので店を出た。
でも寛樹はお金を返すと言ったけど戻っては来ないんだろうな。私が馬鹿なんだ。男の人は若い女性がいいと言うけど女性も若くてイケメンが好きだからね。
私はもう寛樹にかかわりたくなくて、他にマッチングした人と会う事にした。色んな人と会った。
歳は22歳〜60歳まで幅広く会った。
ドタキャンや音信不通は当たり前。私の歳でもヤリモク多数。私は一緒に食事したり映画を見に行ったり、
一緒に笑い合えたらいい人を探しているのに、もう結婚も考えてないのになんでこんなに難しい…