コノオワ
暑い夏にぴったりの恐ろしい話をしようか。
その夜は本当に暑かった。
ジメジメした肌が気持ち悪い。
街の明かりもなく街灯だけが僕を照らす。
公園で1人ベンチに座りこみ
気持ち上の空で地面を見ていた。
さほど広くもないが花壇に植えられた小さな雑草で
そこに僕がいるだなんて誰も分からないだろう。
その公園には野良猫が数匹いて何もしなければ
勝手に寄ってくる。
僕に懐いているのか
いつの間にか1匹が懐に潜り込んでくる。
邪魔だなって思いながらも、いつしか撫でていた。
寝転んで甘えてくる猫が可愛らしく見えた...。
ところで僕はここで何をしているんだ...?
いつからここにいるんだろう...。
気づいた時にはベンチに座って地面があった。
それ以前のことは覚えていない。
微かに耳に残る声、誰かを呼ぶ声がする...。
でも思い出せない。
何か悲しいことがあったような...。
胸が苦しいし思い出そうとすると吐き気がする。
突然、どこかから鈴の音がしたと同時に
「キミハイキ...。」
鈴の音に紛れて声がした。
なんだ、これ
抱いていてた黒猫が僕を見つめる...。
恐怖、苦痛、全てが甦る。
その猫はまるで全てを知っているかのように
僕を見つめてくる。
突然だ、、
思い出した、その夢を...。
夢だったのかもしれない。
現実だったのかもしれない。
でもそれは生々しい、体中が覚えている感覚。
伝えたい、誰かに...!