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オークの討伐(ザック視点・ざまあ)

「アランが抜けてくれたおかげでパーティーはだいぶ楽になったな!」

「そうね。これで私たち一人一人の取り分も多くなったし」

「やっぱり追放してよかったね。無駄なものは切り捨てないと」


 『銀翼の烙印』は楽しげに酒を飲んでいた。

 アランを追放したことで、これまで以上に資金を使えるようになったからだ。


 アランはパーティーの資金も管理していたため、無駄遣いはなかなかできなかった。

 だが、ストッパーがいなくなったおかげで誰も邪魔する者はいない。


 お金はどんどん使われ、資金は枯渇していく。

 けれど三人はなんとも思っていなかった。


 なんせ自分たちはSランクパーティー。

 何かあれば自分たちで稼げばいいのだ。


 お金なんてどうとでもなる。


「さーて、そろそろ魔物討伐でもしにいくか」

「だね。お金もそろそろなくなってきたし」

「僕はいつでも準備はできてるよ」


 ザックたちは立ち上がり、受付嬢の下へと向かう。

 彼らはSランクということもあって、特別な依頼を用意されていた。


 特に貴族からの依頼。

 一つクリアするだけで一ヶ月は働かなくてもいいくらいの資金を調達することができる。


「いつも通りターリ伯爵からの依頼でいいよな」

「私は構わないわ」

「僕も。やっぱり一番身近な人に貢献してよくしてもらわないとね」


 ザックたちはターリ伯爵からかなり信頼されていた。

 アランが交渉上手だったこともある。


 それもあって『銀翼の烙印』はSランクに昇格したとも言える。

 ターリ伯爵から大きな支持があったのだ。


「今回はオークの討伐か。ま、楽勝だな」


 オーク。ランクにしてC相当である。

 Sランクであるザックたちにとっては雑魚でしかない。


 なんならオークを倒すだけで一ヶ月遊んで暮らせると考えたらニヤけが止まらない。

 これがVIPなんだろうなと思うと笑えてくる。


「それじゃ向かうぞ」


 ◆


 今回の依頼はオークの肉の納品。

 どうやらターリ伯爵の娘が珍しい食べ物を欲しがっているらしい。


「オークを食うなんて物好きな令嬢だな」

「まあいいじゃない。金になるんだから」

「面白い令嬢だとは思うけどね」


 ザックたちは森の中を走りながらオークを探していた。

 別に珍しい魔物ではないのですぐに見つかるだろう。


「カイル。周囲の魔物を探知してくれ」

「分かった……見つけたよ。正面だ」

「さっすがカイル。優秀な魔法使いは違うわね」


 相手を見つけたらもう早い。

 三人は一斉にオークがいる場所へと飛び込む。


 ――ガァァァァァァ!!


「よーし、さっさと済ませるぞ。リサ、俺の合図と同時に弓矢を放ってくれ」

「了解」


 静寂――そして、ザックが合図を送る。


「はぁぁ!!」


 リサが弓矢を放ったと同時にザックが剣を引き抜いてオークに攻撃を仕掛けた。

 いつもならこれで終わる。簡単な仕事だ。


 そのはずだった。


「あ、あれ?」

「どういうこと……?」


 リサが放った弓矢は刺さることなく簡単に折れ、ザックの剣はオークを切り裂くことはなかった。

 

 ――ゴォォォ!!


 瞬間、ザックはオークの一撃によって弾き飛ばされた。

 木々に思い切りぶつかり、血反吐を吐く。


「ザック!? ど、どうしてだ……いつもなら簡単に倒せたはずなのに……」

「と、とにかくザックを助けないと!」


 リサたちはザックに駆けより、状態を確認する。

 酷い怪我だ……この程度の攻撃、いつもなら傷一つつかなかったのに。


「な、何が起こったんだ……」

「ザック! 動かないで、とりあえずすぐに帰ろう!」


「ダメだ。分かっているだろう、失敗したらターリ伯爵からの叱責は免れない……」

「それは……」


「クソ……! 僕の魔法で!」


 カイルは攻撃魔法を発動する。

 少しでも状況が変わると願っての発動だった。


 しかしオークには傷なんてつかない。


「……ダメだよ。《帰還》」

「や、やめろカイル――」


 カイルの魔法により、強制的にギルドへと帰還する。

 しかし、これは『銀翼の烙印』にとって最悪の判断であった。


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▼▼▼新作です!最強剣士が無自覚に神々の迷宮を叩き斬る!▼▼▼

器用貧乏だと追放されたSランク剣士、暇だったので神々の迷宮に挑む~無自覚にクリアしていたら知らないうちに最強へと成り上がっていた件。俺は別に英雄なんかじゃない、ただの暇人だ~


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