新たなパーティー
負傷した冒険者たちは無事ギルドによって救出された。
死亡者はゼロ人。ギルドの職員は奇跡だと言っていた。
そして、俺はエルドリ王国王都までやってきていた。
なぜ王都なのか。それは単純にアリシアとドリスの活動拠点が王都だから。
王都ってこともあってギルドは広い。
多くの冒険者たちがいて、賑わっている。
「単刀直入に言うけど、私たちの仲間にならない?」
「なりませんか?」
「お、俺が!?」
あまりにも単刀直入すぎて驚いてしまう。
なんせ俺はクビにされたばかりの落ちこぼれである。
「申し訳ないけど……俺はパーティーをクビされたばっかの落ちこぼれ。さすがに迷惑をかける」
「あなたがクビ!? どういうこと!?」
「ありえません! あなたのような人が!」
全員が机を叩いて俺の方に顔を寄せてきた。
そんなに驚くことだろうか。
ともあれ事情を彼女たちに説明することにした。
俺が【デバフ師】であること。認められずに追放されたこと。
「う、嘘でしょ……馬鹿じゃない……?」
「だろ? 俺って本当に馬鹿だよな」
「いやいや違う! あなたを追放したザックたちのことよ!」
「え!? ザックたち!?」
まさかザックたちを馬鹿というとは思っていなかったので驚いてしまう。
確かに実力を信じてくれなかったのは確かだが、それほど俺が地味だったというわけだ。
それに、俺がいらないほど彼らたちは強くなったとも言える。
「だってデバフを反転させて超強化できるんでしょ! そんな人間がどこにいるのよ!」
「その通りです! 自分以外にそんな人がいるって聞いたことがありますか?」
「いや……確かに聞いたことはないけど。でも、それほど俺が地味だったって言えるわけで――」
「「そんなことない!」」
「ええ……」
食い気味に言われるもので、俺は困惑してしまう。
どうしたものかと困っていると、二人は手を差し出してきた。
「私たちは少なくともあなたを必要としているわ。Cランクでよければ、私たちのパーティーに入らない?」
「歓迎します。全力で歓迎します」
「こんな俺を引き入れてくれるのか?」
「当たり前じゃない! あなたみたいな強い人を放置するわけないわ!」
「もちろんです!」
俺は正直、人を信用するのが怖い。
だって、あれほど裏切られたばかりなのだ。
けれど、目の前にいる少女たちを見る。
彼女たちの目は……本物だ。
俺を本当に必要としている。
「……俺はアラン。【デバフ師】のアランだ」
「わたしは【魔法使い】のドリスです」
「私は【剣士】のアリシア。ようこそ、『勇気の一手』へ」
信じてみることにした。
もう一度、人間を。
誰かを信用することにした。
彼女たちとなら、俺はもう一度信じることができるかもしれない。
俺は新たにCランクパーティー『勇気の一手』で、活動することにした。
二人の手を取り、強く握りしめた。